BtoBセールスでは、営業スキルをただ磨くだけではなく、お客様の事業戦略や業界動向まで深く理解する総合力が求められます。
戦略・戦術・作戦という3つの切り口をしっかり押さえることで、「モノ売り」ではなく「コト売り」へシフトできる法人営業が実現できるのです。
ICT業界の法人営業としてSaaS提案などに取り組むあなたが、ワンランク上のプロセス設計を行うための第一歩を一緒に踏み出してみませんか。
みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。
ここでいう「戦略」とは、単に「売上を伸ばすためにどうするか」を思い描くだけではありません。
むしろ、お客様や業界のビジネスモデルをどう捉えるか、外部環境として何が変化しているかを体系的に理解したうえで、自社がどのような位置付けと役割を果たしていくかを示す道標(みちしるべ)です。
あなたがICT業界でBtoBセールスを行う背景としては、ケータイショップで接客をスタートした新卒時代と比べ、現在はSaaSや回線以外のクラウドソリューションを提案する機会が増えています。
その変遷に応じて、お客様のニーズは当然変わってきます。モバイル契約や通信回線だけでなく、企業のDX推進を伴走しながら一緒に作り上げていくことが求められる時代です。
だからこそ、何となく商材を勧めるのではなく「外部環境の変化(新しいテクノロジーの進化や資金調達手法の変化など)に合わせ、どのように企業の課題解決へ寄与するか」を描く必要があります。
このとき多くの方が抱えている悩みは「戦略を立案する方法論を知らない」という点です。
上司から「もっと戦略を組み立ててから動いてくれ」と言われても、「じゃあ具体的に何をどう考えるの?」という疑問が出てきます。それは、そもそも戦略が「長期的視点をベースにビジネス成果を最大化するための全体方針」であり、その考え方は軍事分野からビジネスに転用されたものだという原点を理解できていないことが一因です。
軍事用語としての戦略(Strategy)は、最上位の目標をどう設定し、それをどう達成するかにフォーカスします。組織として「地域中小企業のDXを推進する」「付加価値の高い人材として顧客の事業課題を根本から解決していく」などの目指す姿を明確にするほど、営業個人として日々のアクションがブレにくくなります。
自分の配属先では「回線を売る」から「コトを売る」へ変革を進める方針が打ち出されていますが、これがあなたの組織の“戦略”です。
もう少し噛みくだいて言えば、「社としてどんなDXソリューションを核にして、いかに地域企業とのパートナーシップを拡大し、業績拡大と社会貢献を両立させるか」という長期目標設定だといえます。
この大枠を理解できれば、あなたの営業活動が「会社の戦略とどう結びついているのか」が見えるはずです。
「戦略」「戦術」「作戦」はセットで使われる言葉です。
まず「戦略(Strategy)」は大きな方向性や目標の設定。そして「戦術(Tactics)」はその戦略をいかに実行に移すかという中期~短期視点の具体策を指します。
さらに「作戦(Operations)」とは、実際の現場行動レベルでいつ・どんなふうに実行するか、誰に・どんなアプローチをとるかというリアルタイムのアクションをまとめたものです。
例えば、あなたの上司や事業部門トップは「中小企業のDX支援を必須ミッションとして、ソリューション商材をパッケージ提案していこう」という戦略を掲げているかもしれません。
では、どのような製品ポートフォリオを組むのか、どうやって認知を広げるのか、どのような費用対効果が見込めるのか、そういった要素をまとめるのが戦術レベルの仕事です。
具体的には、ICTセミナーを開催して潜在顧客のリード獲得を図るとか、自社が扱う通信キャリアの最新SaaSプラットフォームを優先的に紹介するとか、いくつかのシナリオを作るイメージです。
一方で「作戦」は、まさに現場の営業パースンであるあなたが行うカスタマイズされた実際の行動設計を指します。
「来週火曜日に、A社の新規導入検討部長へオンライン商談を申し込み、DX導入の予算とスケジュール感を共有する」といった具体的なステップが「作戦」です。戦略や戦術がどれほど素晴らしい構想でも、作戦が正しく遂行されなければ成果に繋がりません。
自分は戦略立案を必要以上に身構えてしまいがちだけど、実は「戦略と戦術を短い周期でPDCAを回しながら、日々の作戦を緻密化していく」ことがBtoBセールスの醍醐味とも言えます。
上司から「なんでこのアプローチで行くんだ?」と聞かれたとき、「戦略をこう捉えて、そのための戦術としてこういう提案を考えました。その最初の作戦として来週はこう動きます」と答えられるようになると組織内での信用が高まります。
何より、自分自身が納得しながら動けるので、お客様への提案に説得力が増すのです。
BtoBセールスにおける戦略立案は、「お客様を取り巻く内外環境を踏まえたゴール設定」が肝となります。
ICT商材であれSaaSソリューションであれ、最終的にはお客様のビジネスを成長させたり課題を解決したりするのが目的です。そのためにはまず、お客様がいる市場環境や業界動向をリサーチし、そのうえで自社(あなたの営業組織)が目指す戦略との擦り合わせを行う必要があります。
たとえば地域の中小企業にDXを根付かせるには、現場レベルで「DXとは何か」を教育するプロセスが必要です。
顧客側は「DXといっても具体的に何をすればいいかわからない」と感じているかもしれません。だったら、予算化の計画や社内承認フローから支援できるサービスを戦術として組み込んだり、勉強会の場を提供するという作戦を作ることが効果的かもしれません。
このとき意識してほしいのは、単に「自社商材を売り込む」ではなく、「お客様の業界やビジネスモデル」や「他社事例」を押さえたうえで課題解決の筋道を示すことです。
業界の固定観念が強いお客様なら、過去の成功体験が邪魔をしてSaaS導入を後ろ向きに捉えているケースもあるでしょう。
でも、競合他社がDX投資に積極的だという情報を共有して将来的な差別化を説得材料にするなど、外部環境と内外要因を掛け合わせたヒアリングと情報提供を行うことで、相手の意識を変えられる可能性があります。
また、自社内部の目標との整合も重要です。代理店ビジネスでは通信キャリアからのインセンティブや重点商材が毎期異なりますよね。
そのうえで自分のお客様に何をどの順番で提案すべきかという羅列だけでなく、「お客様にどう価値があるか」を語れる状態に戦略的にまとめておく必要があります。
そうすると、あなた自身の視点も自然と広がっていき、世の中の動きやICTソリューションがどこに刺さるかを考えるようになります。
こうした戦略の組み立てをするにあたっては、生成AIを活用するのも一つの方法です。
たとえばChatGPTやCopilot、今後リリースされるGoogleのGeminiなどを使えば、過去事例分析や幅広い業界情報を下調べする時間を大幅に短縮できます。
情報をまとめる下準備に生成AIをうまく利用し、コンサルティングセールスの思考プロセスに注力できる環境を整えるのは、まさに「戦略」的な取り組みと言えるでしょう。
戦略が決まれば、次は戦術と作戦を具体的に設計するフェーズに移行します。ここで大切なのは、戦術が一度決まったら終わりではなく、日々の業務や市場の変化に応じて常に見直すPDCAサイクルを回すことです。そしてその戦術の実行手順を現場で運用するのが「作戦」となります。
たとえば戦術としては「SaaSセミナーを毎月1回開催し、見込み顧客を集めよう」「無料トライアルキャンペーンを実施してDXサービスに興味を持ってもらおう」というようなプランが挙げられます。
これを具体的なスケジュールや担当者、目標KPIなどに落とし込むのが作戦立案です。たとえば「来週水曜までに営業メンバー全員がリストを作成し、金曜までに招待メールを送る。申込み確認は専用のフォームで実施」など、細かいタスクを洗い出すことで成功確率が高まります。
現場での悩みとしては「作戦を考えるのは好きだけど、戦術はピンとこない」というケースもあれば逆もあります。重要なのは戦略→戦術→作戦の流れがシームレスに繋がるように、組織内で意識合わせをすることです。
上司に対しても「この戦術が当社戦略のどこにフィットし、どんなインパクトがあるか」を論理的に説明できれば、作戦への支援やリソースの振り分けを快く受けられるでしょう。
差別化という面でも、作戦レベルでの実行力がモノをいいます。たとえば他社も同じSaaS商材を扱っていたとしても、事前にお客様のヒアリングを綿密にして、具体的な運用メリットを提示できれば大きく優位に立てます。
生成AIを使って異業種の事例を取り寄せたり、上司や先輩、部署外のエンジニアからの知見を統合するのもおすすめです。これらを踏まえ「自社の得意分野」をどう活かすかを織り込んだ作戦こそが、まさにコンサルティングセールスを体現する行動計画と言えます。
今回のテーマでは、《戦略》《戦術》《作戦》の違いとそれぞれの設計方法を確認しました。
法人営業としてコンサルティング型のアプローチを磨くには、この三位一体の理解が欠かせません。まずは、自社が描く戦略とお客様の課題を照らし合わせること。
そのうえで具体的な戦術を組み立て、作戦レベルの行動プランに落とし込みましょう。生成AIなどのテクノロジーを使いこなしながら、広い視点で業界や世の中を読み解く力を身につければ、あなたのセールスは次のステージへ飛躍していきます。
今回の記事は、ChatGPTの学習モデルをGPT-4oからChatGPT o1に切り替えて書いてみました。o1というのは「推論機能」を組み込み強化している最新のOpenAIの開発した生成AIです。
プロンプトを書いた意図を更に踏み込んで書いてくれるのが良くわかります。
本来は生成AIの技術的仕組み上「行間にある意図(コンテキスト)を読む」というのは苦手な分野のはずですが、GPT o1は偏差値が急に10ぐらい上がった気がするくらい良い文章を出してくれます。
GPT o1でも、4DLオリジナルのプロンプトデザインをするためのフレームワーク《ODGC》は有効に反映されています。
ぜひ、コレからも新しい学習モデルが登場するときに汎用的に利用できる非エンジニア向けのプロンプトエンジニアリングの実践力を向上させる《ANT-B1》というトレーニングをお勧めします。
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