BtoBセールスの世界では、目の前の数字を追うだけでなく、お客様の経営課題を深く理解し、最適なソリューションを提案する力が求められています。
特にICT業界で法人営業を担当していると、SaaSなどのソリューションビジネスを通じ、お客様の将来像に貢献してこそ初めて高い評価が得られる時代になりました。
みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。
数字を上げることは企業にとって欠かせない命題です。営業としても成果を出すのは当然の責務ですよね。
しかし、ICT業界のBtoBセールスで活躍する方々に今求められているのは、単なる契約件数の積み上げだけではなく、お客様の経営課題を掘り起こし、将来像に沿った支援を行うコンサルティングセールスの提供です。
上司から「ニーズではなく、将来像を描いてみろ」と言われて戸惑う経験はありませんか? これは実は、現場の問題解決ばかりを優先すると短期的な売上にはつながりやすい反面、お客様の未来に対するインパクトを創造できなくなる恐れがあるからです。
たとえば、回線契約からスタートし、SaaSツールやクラウド環境の最適化を提案する中で、「この企業は何を目指しているのか」「経営者が抱えている大きな構想は何か」を理解しないまま提案を行っていないでしょうか。
お客様の経営層の視点に立つと、現場効率化はもちろんのこと、自社の競合優位性や新事業への拡大、組織改革といったテーマが最優先課題になるケースも多々あります。
そこに対して「いかに貢献できるか」を考えるのが本来のコンサルティングセールスのあり方です。
しかし、数字を上げることも現実問題として無視できませんよね。
そこで大切なのは“両立”の視点です。短期的には現場課題へのソリューションを小さく提供しつつ、その延長線上で中期的なスケールアップを提案する。
すると、お客様も「この営業担当者はうちの現場だけでなく将来を考えてくれている」と評価し、継続的なリレーションが築けるようになります。さらに、その先には大規模案件や長期的な戦略パートナーの地位を得るチャンスが広がるのです。
言い換えれば、「数字も大事だが、お客様の課題解決こそ真のゴール」であり、数字と課題解決は二者択一ではなく相乗効果を生む関係性だと考えてください。
お客様にとって価値あるソリューションを提供し続けることで、結果的に売上も高まり、会社への貢献度も増していく。そうした視点を持つことが、ICT業界のBtoBセールスにおいて今とても大事な心構えと言えるでしょう。
いざお客様の課題を見つけようと思っても、何から始めればいいのか悩む人は多いですよね。
月一の戦略会議で、自分の担当企業の経営課題の「仮説」を立て、チームで検証しながらアプローチ方法を固めていくプロセスを導入している営業組織も増えています。
ただ、この「仮説づくり」の段階で、現場サイドの視点ばかりになりがちという声をよく聞きます。現場のIT環境やSaaS導入状況は把握していても、経営視点での戦略や優先順位を読み解けていない。
結果として、「この会社は人手不足で困っているからRPAを導入すればいいのでは?」といった短絡的な仮説に終始してしまうのです。
ここで重要になるのが、あらかじめ情報収集を行い、自社のソリューション観点だけではなく、より広い経営課題に関する「仮説」を立てておくことです。
たとえば、対象企業のIR情報やプレスリリース、最新の業界トレンド、競合他社の動向をリサーチしておきましょう。自分が「売りたい商材」にとらわれずに情報を整理すると、たとえば「採用難と新事業展開の両立が目下の大課題ではないか」といった角度が見えてくるかもしれません。
また、チーム内でのディスカッションでは、上司や先輩が「お客様の将来像を考えてみろ」と助言してくれることも多いですよね。ここで言う“将来像”とは、その企業が5年後や10年後にどんな姿でいたいかというビジョンです。
そのビジョンを追いかけるために、企業が現状どんな制約やリソース不足、あるいは新たなチャンスを探しているのか、推測してみることで「仮説」の精度が高まります。
経営者の思考は多面的です。
新規事業、デジタルマーケティング、従業員エンゲージメント向上など、さまざまな興味関心を同時に抱えているもの。それらを事前に想像しながら、何を優先すべきか、お客様の会社が置かれた環境から「本当の課題とは何か」を仮説として描く。
こうした事前準備こそが、コンサルティングセールスの“要”だと言えるでしょう。
何の下調べもなしにお客様へ質問攻めをしてしまうと「事前に調べられることは調べてくれないとね…」とお叱りを受けることもあります。
仮説を先に持っていれば、商談の場でも「この仮説は正しいですか?」という対話が生まれ、深い課題を発見しやすくなるのです。
せっかく仮説を立てたいと思っても、膨大な情報をどうやって集めればいいのか。その手間を考えると尻込みしてしまう人もいるかもしれません。
ここで活用したいのが、ChatGPTやGeminiといった生成AIツールです。「AIの使いこなしは難しそう」「まだ自分には使いこなせそうにない」と思われるかもしれませんが、実はポイントを押さえたプロンプトを入力するだけで、効率的に業界動向や市場リサーチの要点をまとめることができるのです。
たとえば「○○業界の最近のM&A事例と、その背景にあるトレンドを教えて」というプロンプトをChatGPTに投げかけると、ある程度体系的な回答が得られます。
Geminiの場合でも類似のアプローチで、自社が取り組む領域に近いトピックを深掘りできるでしょう。もちろん、それぞれのツールに得手不得手や特色があるため、自社の用途に応じて比較検討してみるのがおすすめです。
また、生成AIが提示する情報は常に真偽やアップデート状況をチェックする必要がありますが、それでも手作業で探すよりはずっとスピーディーに「仮説づくり」の材料が集まります。
プロンプトを工夫することがカギだというのは、非エンジニアであっても大いに実感できるはずです。
たとえば「企業の数字を分析して、どの部門がボトルネックになっているか探る」という観点を設定すれば、ChatGPTに実際の数値データを入力して議論させることも可能です。
もちろん秘密情報を扱う場合は社内ガイドラインに従う必要がありますが、オープンな情報だけでも経営者が気にしそうな論点をざっと抽出してくれます。
そして何より大切なのは、AIが出してきた答えを鵜呑みにするのではなく「この回答は本当に現場感や経営者視点と合っているか?」を自分なりに検証すること。
AIを“共創パートナー”として使うことで、あなた自身の思考が活性化し、「そういえばこの会社、プレスリリースで新規事業の話をしていたな」といった気づきを得られるケースも多いです。
結果として、仮説の幅が広がり、お客様との商談で「そんな情報もご存知なんですね!」と驚かれるようなインサイトを提供できるようになるでしょう。まさに、今どきのBtoBセールスが身につけたい強力な武器と言えます。
ここまで、経営課題の仮説を立てる準備やAIを活用した情報収集方法についてお伝えしてきました。でも肝心なのは「実際にお客様と対話をして、仮説をぶつけてみる」ことです。
チームの戦略会議や社内プレゼンで「この会社は新事業開発で悩んでいるはず」といくら力説しても、それが本当に正しいかどうかはお客様本人に聞かなければ分かりません。
多くの営業担当者は「仮説を外してしまったら恥ずかしい」「お客様に否定されたらどうしよう」という不安を抱えています。しかし、仮説はあくまで検証するための出発点。外れるのはむしろ当然なのです。
大事なのは、そこからどんな答えや追加情報が得られたかを組み合わせ、さらに仮説をブラッシュアップすること。先輩に「とにかくお客様とコミュニケーションを重ねろ」と言われるのは、そこに行動を通じた洞察の深まりがあるからです。
たとえば、あるICT系のソリューション営業が「担当企業は海外進出を視野に入れている」という仮説を持って商談に臨み、経営者にぶつけたところ、実際は海外進出どころか国内シェア拡大が最優先で、現地オペレーションの話はまだ先の話だったという例があります。
これは一見、仮説が外れた失敗例かもしれませんが、実は経営者の口から「もう少し国内で足場を固めてから、2年後くらいに海外を見据えたい」という本音を聞き出すことができました。
結果的には「2年後に備えたIT基盤整備」という新たな案件につながり、むしろ大きなチャンスを得られたのです。
このように、仮説立案は“正解”を目指すものではなく、あくまでも対話の起爆剤です。外してもいいから動いてみる。そして手応えを感じたら、そのまま相手の要望やビジョンをさらに深掘りし、共に経営課題の解決策を探っていく。
それがコンサルティングセールスという働き方の醍醐味でもあります。
実際、現場で得た一次情報があなたのチームの戦略会議にフィードバックされれば、次回以降の仮説の精度も自然と高まるはず。結局、誰もが最初は試行錯誤ですが、このサイクルを回し続けることであなた自身も、お客様の企業も共に成長していけるのです。
まとめの3つのポイント
1. 「数字」と「課題解決」を両立する意識
2. 「仮説」を持ちAIで情報収集を効率化
3. 「行動」で現場から学び、修正していく
ここまでお伝えしてきたように、BtoBセールスの世界ではお客様の経営課題を深く理解し、将来像をともに描くコンサルティングセールスが求められています。
数字を追いつつも、お客様に寄り添う姿勢を忘れず、仮説→検証→修正のサイクルを積極的に回すことで、ビジネスパートナーとしての信頼感を得られるはずです。ChatGPTやGeminiなどの生成AIを活用すれば、情報収集から仮説づくりまでのプロセスが加速され、あなたの営業活動はより戦略的に進化していくでしょう。
最終的には、お客様との共創を通じて、新しい価値を生み出す営業スタイルをめざしてください。
そして、この「仮説から行動まで」のプロセスを体系的に学び実践するために、4DL Technologies株式会社が提供しているのが「ANT-B1」というトレーニングサービスです。
非エンジニアでも扱いやすいプロンプトデザインの考え方や、ChatGPTやGeminiなどの最新ツールを組み合わせたソリューション活用術を、集合研修やeラーニングを通して身につけることができます。
将来像に寄り添うコンサルティングセールスの実現を目指す方は、ぜひANT-B1の詳細を確認してみてください。
あなたの営業活動を、より高度なステージへと導く大きな一歩となるでしょう。