かつては、企業から企業へと魅力的なサービスを届ける「BtoBセールス」の世界が華々しく感じられた時代がありました。しかし近年は市場の飽和や顧客ニーズの多様化によって、単にモノを売るだけでは生き残りが難しくなっています。
とくに中高年のセールスパースンは、自分が培ってきたスキルや実績が本当にほかの業界でも通用するのか、転職を考えるうえで悩みも尽きないことでしょう。
みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。
転職市場において経験者採用の大きなメリットは、即戦力として現場にスムーズに入ってもらえる点です。
採用側は「どんな業界で、どのような実績を上げてきたか」を真っ先に確認します。たとえば携帯電話業界で店頭販売から法人営業まで幅広く活躍していた場合、販売代理店モデルの特性や通信サービスの基礎知識をすでに身につけている、と判断されるわけです。
とくにBtoBセールスで培われるヒアリング力やコミュニケーション力は、実績と組み合わさると“独自性”を生む可能性があります。
単に「売りました」という数値だけでなく、顧客との深い関係構築や課題の本質を探り当てるスキルを示せば「この人なら自社のお客様にも踏み込んで提案してくれそうだ」という期待感を抱かせられます。
ICT業界はもちろんのこと、他業界でも顧客インサイトをつかむ力は非常に重宝されます。
しかし、実績や技能だけで自分をアピールすればいいのかというと、そこには落とし穴もあります。転職先が異業界であれば、その業界特有のルールやビジネス慣習を最初は知らない状態からスタートすることになるからです。
そこで重要になるのが「専門性と柔軟性の両立」。自分の強みを押し出す一方で、新しい情報や環境にいかに適応していくかを示す必要があります。
実績と技能は転職活動の“目玉商品”ですが、それだけでは勝負が決まらないのが実情。
採用側は「この人と一緒にどんな未来が描けるのか」を常に見ています。まずは自分の実績と技能を整理し、それを活かせるシチュエーションを分かりやすく示すことが第一歩といえるでしょう。
転職先を選ぶ際に見落としがちなのが、企業文化や組織風土との相性です。
前職ではハイテンションなトップダウン型の営業スタイルが当たり前だったとしても、新たな転職先では「チームで協働しながら提案の質を高める」というカルチャーが根づいているかもしれません。
どれだけ高い売上実績を持っていても、組織の性格や判断基準にフィットしなければ、せっかくの力を活かしきれないのです。
また、転職先が期待する営業プロセスは、あなたが慣れ親しんできたものとは大きく異なる場合があります。たとえば「利益率重視」と「シェア拡大重視」の組織では、行動指針もアプローチ手法も変わってきます。
さらに、業界によっては営業パーソンが深いコンサルティングスキルを求められることもあるでしょう。モバイル端末を売るだけで完結していた環境と違い、顧客が抱える経営課題そのものを洗い出し、解決策を一緒に考える役割がメインとなる場合は少なくありません。
ICT業界から異業界に飛び込む方にとっては、まったく新しい専門知識や業務フローを覚える必要があります。
しかし、ここで大切なのは「自分は知らないことを積極的に学ぶ姿勢がある」という点を示せるかどうか。特に40代後半のベテラン世代は実績が評価される反面、「新しい仕事の進め方を素直に受け入れられるか」という懸念が採用側に生じがちです。
だからこそ、これまでの成功体験にこだわらず、新しい営業スタイルや組織風土に順応する柔軟性を持っていることを具体例を交えてアピールしたいものです。
転職先へのフィット感は、お互いにとっての幸せな成果を生み出す原動力になります。
企業が即戦力を採用する最大の理由は「この人が来てくれたら、今以上の売上や新しい顧客開拓の可能性が広がりそう」と期待しているからです。
すでに経験の豊富な40代セールスパーソンであれば、トークや交渉の現場スキルには申し分ないでしょう。実際、あなたが携帯電話業界で磨いてきたヒアリング力や“お客様への食い込み力”は多くの企業が欲しがるスキルの一つです。
しかし、ビジネス環境が目まぐるしく変化する今の時代、企業が本当に欲しい人材は「新しいことを吸収しながら業務範囲を広げていける人」。
たとえばICTソリューション企業に移る場合、モバイルサービスだけでなくクラウドサービスやセキュリティソリューションなど、より広い知見が必要になるかもしれません。
あるいは異業界であれば、全く別の製品ラインナップや顧客セグメントに対応しなければならないでしょう。そんなときにあなたが持つ“環境変化への対応力”が大きな強みとなります。
一方で、社内外のリソースをどのように活用して案件を形にするかという“コーディネート能力”も評価されます。
BtoBコンサルティングセールスの場合、お客様の現状課題を深堀りし、その解決策を提案するプロセスが重視されます。
商品知識を提供するだけではなく「一緒にゴールを目指すパートナーとしてどう動くか」を見られるのです。そこで、これまで携帯電話業界で培った社内外のネットワークをフル活用し「この人がいると組織全体が前へ進むぞ」と思わせられれば、あなたの大きな武器となるでしょう。
大切なのは「自分はここでこんな活躍ができる」という具体的なビジョンを語ることです。
過去の成功事例を踏まえ、転職先のビジネス戦略とどうリンクさせていくかを明確にイメージできれば、採用側に強い印象を残せます。
転職を考えるとき、多くの方が「自分が今までに培ってきたものは、新しい環境でも通用するのだろうか?」という不安を抱きます。
そこでカギとなるのが「ポータブルスキル」です。これは、特定の業界や会社の慣習に依存せず、あらゆるビジネス場面で応用可能なスキルを指します。
たとえば「相手の課題を深く聞き出して整理し、最適なソリューションを導くコンサルティング的手法」は、多くの業界で重宝されるでしょう。
さらに、相手の組織構造や役職ごとに必要なアプローチを見極める能力も、非常に重要なポータブルスキルです。携帯電話業界で培った「誰に話を通せばプロジェクトが動き出すかを読み取る力」は、そのままほかの業界の営業プロセスでも役立ちます。
むしろ異業界の知識が少ない分、より徹底してヒアリングや社内外のリソースを駆使する必要があり、あなたの強みが一層際立つ可能性があります。
ただし、スキルだけでなく、ビジネスマインドも重要なポイントです。
たとえば「新しい業界のリサーチを惜しまずやっていく姿勢」「社内の技術部門や他部署と積極的に連携する態度」は、どんな企業でも歓迎されます。
特に最近では、生成AIなどデジタル技術の進歩により、業務の在り方そのものが変わりつつあります。ChatGPTや他の生成AIツールが登場することで、今まで人力で行ってきた作業が効率化され、営業スタイルにも大きな変化が起きるでしょう。
その変化に適応し、新たな学びを取り入れていくリスキリングの姿勢は、転職市場で高く評価されます。
結局のところ、異業界でも確実に活躍できる人とは「持ち歩けるスキル」と「アップデートし続けるマインド」を兼ね備えた人。
自分のポータブルスキルを丁寧に棚卸しし、これまでの経験をどう活かしていきたいのかを明確に言語化することが、次のキャリアステップを有利に導くポイントです。
ここまで、転職活動におけるコンサルティングセールスの重要性や、ポータブルスキル、柔軟なビジネスマインドについてお話ししました。
自分の強みを明確に棚卸ししながら「どんな業界や組織でも通用する価値」を意識しておくことで、転職市場でも自信を持って前進できるはずです。
これまで培ったヒアリング力や業界研究力を活かし、新しい現場でもワクワクしながらお客様の課題解決をサポートできるコンサルティングセールスとして活躍していきましょう。
この記事が、あなたの転職活動の羅針盤となれば幸いです。
そして、もしあなたが、「生成AI」という新たなテクノロジーをポータブルスキルとして身につけ、転職活動をよりスムーズに、そして、転職後の職場フィットやお客様への強い食い込みをより効率的に進めたいと考えているなら、転職前後で4DL Technologies株式会社の《ANT-B1》という生成AIリスキリングプログラムへの出会いがあることを祈ります。
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