聴くチカラ研究所|4DL Technologies株式会社

オフィスのチームDXを生成AIで進める:生成AIの「Web検索」と「Deep Research」機能、どう使い分ける?

作成者: 荒巻順|2025/07/27 3:09:04

ChatGPTやGeminiを開き、何かを調べる。するとAIがインターネットを検索し、出典付きで答えをくれる。この「Web検索」機能は、もはや日常的な情報収集の風景になりました。

しかし、ふと入力画面の横を見ると「Deep Research」といった、少し様子の違う機能があることにお気づきでしょうか?

「どちらもネットを検索するなら、何が違うの?」
「どう使い分ければいいのかわからない」

もしあなたが、会社でDX推進の役割を担っているなら、この違いを理解することが、部署全体のAI活用レベルを一段階引き上げる鍵となります。

みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の4DL Technologies株式会社のCCO荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。

この記事では、似て非なる「Web検索」と「Deep Research」という2つの機能の決定的な違いと、それぞれの真価を最大限に引き出す使い分けについて、具体的な業務シーンに沿って徹底解説します。

 

1. AIの「Web検索」機能とは? ― 頼れる“事実確認”アシスタント

 

まず、私たちが普段からよく使う「Web検索」機能。これは、「明確な問いに対して、信頼性の高い単一の答えや事実を、証拠(出典)と共に提示すること」を目的としています。

例えるなら、優秀な「図書館のレファレンス係」です。

あなた:「今年の流行色は何ですか?」
レファレンス係(AI):「はい、こちらが今年のトレンドカラーに関する公式発表です。(出典URLを提示)」

このように、特定の事実やデータを素早く正確に知りたい場合に絶大な効果を発揮します。会議で出た知らない単語を調べたり、最新の統計データを確認したりといった「事実確認」タスクに最適です。

得意なこと:

  • 最新情報のファクトチェック
  • 特定の用語や固有名詞の解説
  • 単一の問いに対する直接的な回答の提示

 

2. AIの「Deep Research」機能とは? ― 思考を深める“戦略”リサーチャー

 

一方の「Deep Research」機能は、まったく異なる目的のために設計されています。それは、「複雑で多面的なテーマに対して、多様な情報源から多角的な視点や論点を抽出し、思考を深めるための“素材”を網羅的に提供すること」です。

これは、「あなたのための特別調査チーム」のような存在です。

あなた:「来期のマーケティング戦略を立案したい。若者向けの新しいアプローチについて、成功事例、失敗事例、社会的な背景、今後の予測など、あらゆる角度から参考になる情報を集めて、論点を整理してほしい」
調査チーム(AI):「承知しました。5つの異なる視点から情報を収集・分析し、企画のたたき台となるレポートを作成します。」

Deep Researchは、単純な答えを出すのではなく、あなたが考えるための「土台」や「壁打ち相手」となるための情報を集め、構造化してくれます。

新しい企画のブレインストーミングや、複雑な問題の意思決定など、「思考そのもの」をサポートするタスクで真価を発揮します。

得意なこと:

  • 複雑なテーマに関する網羅的な情報収集
  • 多角的な視点や論点の整理
  • 企画書やレポートの骨子作成

 

3.【徹底比較】「Web検索」と「Deep Research」は何が違うのか

 

両者の違いを整理すると、以下のようになります。どちらもインターネットにアクセスしますが、その目的とプロセスが全く異なることがわかります。

 

  Web検索機能 Deep Research機能
目的 事実の確認・単一の答えの発見 思考の深化・多角的な論点の探求
得意なタスク ファクトチェック、用語解説、最新ニュースの要約 企画立案、市場調査、レポート作成、意思決定支援
AIの役割 図書館のレファレンス係 あなた専属の調査チーム
アウトプット 簡潔な答え + 出典 構造化されたレポート、複数の視点、論点のリスト
最適なプロンプト 「〜とは?」「〜を教えて」といった閉じられた質問(Closed Question) 「〜について多角的に調査し、論点を整理して」といった開かれた質問(Open Question)

 

4.【部門別】「Deep Research」を武器にする実践テクニック

 

では、実際に「Deep Research」機能をどう使えば業務の質を高められるのでしょうか。部門別の活用例を見ていきましょう。

 

Case 1: 総務部・福利厚生担当者

課題: 若手社員のエンゲージメントを高める新しい福利厚生を企画したいが、何から手をつければいいかわからない。

Deep Researchへのプロンプト例:

「若手社員の定着率向上」を目的とした新しい福利厚生制度を企画しています。以下の観点から、企画のたたき台となる包括的なレポートを作成してください。
- IT業界における最新の福利厚生トレンド
- 他社のユニークな成功事例と、可能であれば失敗事例
- 導入時に想定されるメリットとデメリット
- 各施策のおおよその費用対効果に関する考察

Case 2: 営業企画担当者

課題: 新製品の市場投入にあたり、競合製品との差別化戦略を練る必要がある。

Deep Researchへのプロンプト例:

当社が発売するプロジェクト管理ツール「Project-Booster」のマーケティング戦略を立案します。競合となるA社、B社、C社の製品と比較し、以下の点を多角的に分析・整理してください。
- 各社のターゲット顧客層と価格戦略
- ユーザーレビューから見える各製品の強みと弱み
- 当社製品が取るべき独自のポジショニング案
- 考えられる差別化メッセージの切り口を3つ提案

 

5. まとめ:AIの機能を理解し、真のパートナーに

AIの「Web検索」は、答えを探すための強力なツールです。一方、「Deep Research」は、問いを探求し、思考を深めるためのパートナーです。

この2つの機能を正しく理解し、目的に応じて使い分けること。それこそが、AIを単なる便利な道具から、あなたの業務品質を飛躍的に向上させる「戦略パートナー」へと進化させる第一歩です。

もしあなたがMicrosoft 365 Copilotをお使いの場合、同様の機能が自社の環境でどのように提供されているか、一度情報システム部門に確認してみることをお勧めします。

企業のセキュリティポリシーを遵守した上で、AIの持つポテンシャルを最大限に引き出していきましょう。

 

6.4DL Technologies株式会社の近況的雑感というか宣言

 

実はウチのLLM駆動技術の根幹だったフレームワーク「ODGC」の歴史に、ここで一つの区切りをつけることにしました。まだ登場して1年少々なんですが・・・それだけ生成AIの進化が激しく早いということだと思ってください。

 



これまでのODGCは、“その会社にとっての正解”を引き出す優秀な相棒でした。でも、今のAIが持つ凄まじい“ポテンシャル”の前では、その設計思想自体が足枷(あしかせ)になり始めたんです。

これはもう、4DL株式会社にとって2回目の“思想の革命”です。

口先だけの話じゃありません。すでに、社内のあらゆるプロジェクトがこの革命を中心に動き出しています。

研修「ANTシリーズ」:8月の職業能力開発総合大学校様での登壇に向け、教材をゼロから再設計中です。

革新「ANCシリーズ」:NTTドコモビジネス様と進めるこのプロジェクトも、心臓部から見直しています。

未来「ANBシリーズ」:Dify等で生み出す全てのAIエージェントに、カーネルとして新思想『4DL_AAS』を搭載します。

ChatGPTやGeminiそしてMS365 Copilotなどから、真の力を解き放つ『4DL_AAS』。これを4DLの技術基盤とし、僕らはエンタープライズAIの活用場面での品質を“再定義”します。

本気で、次の時代のスタンダードを創りにいきます。