「Copilotの回答が、どこか的外れというか一般論的で使えない…」その原因はAIではなく、私たちの「指示の出し方」にあります。今回の記事では、AIの性能を最大限に引き出すためのプロンプト基礎手法「3点オーダー(なぜ/なに/どう)」を解説します。
みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の4DL Technologies株式会社のCCO荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。
この「型」を使えば、メール返信、会議の集約、資料作成といった日常業務の速度と質が劇的に向上します。そして記事ではMS365 Copilot主体で書かれていますが、この基本テクニックは全ての生成AI(ChatGPTやGeminiなど)にも使えます。
もう「AIは使えない」とか「AIってなかなか難しいね」は言わせません。
この記事を読んで、まず試してほしいことは
Copilotに何かを依頼する前に、必ずこの3つの要素を「前置き」として伝えます。これが、アウトプットの精度を決定づける仕様書です。
最小可用プロンプト(MVP)例
まずはこの形で試してみてください。140字以内で完結する、実践的な指示です。
【なぜ】プロジェクトの遅延理由を3分で把握したい
【なに】Slackの会話ログから、遅延原因の候補を3点箇条書きで抽出
【どう】原因の根拠となる発言を引用し、専門用語は使わない
→ 以上の内容で、直近24時間の#proj-Aチャンネルを要約して。
失敗を招くアンチパターン
アンチパターン | 結果 |
---|---|
目的なし | 「とりあえず要約して」→ 役に立たない情報の羅列 |
形なし | 「いい感じにまとめて」→ アウトプットが毎回ぶれる |
ルールなし | 「自由に書いて」→ 長文で根拠不明な文章が生成される |
参照なし | 「売上について教えて」→ どのデータか分からず幻覚を見る |
長文メールの往復に時間を浪費するのはやめましょう。「何をすべきか」を明確にした返信をAIに作らせます。
✅ 成果につながる「3点オーダー」
【なぜ】3分で議論の状況を把握し、対応方針を決めたい
【なに】
1. 5行での要約
2. 決定事項、未決事項、私の宿題を各3点
3. 未決事項を質問形式にした返信下書き
【どう】
・文字数: 返信下書きは100字以内
・引用形式: 本文の根拠箇所に引用番号[#n]を付与
・固有名詞表記: 会社名・個人名は正式名称で
・口調: 丁寧語で、断定的な表現は避ける
→ 以上の内容で、このスレッドを処理してください。
成果指標(KPI)
《聴くチカラ研究所からの問いかけ》
この返信を受け取った相手は、次に何をすべきか明確に理解できるだろうか?
会議のゴールは記録ではなく合意形成です。Copilotに「決まったこと」と「次にやること」を整理させます。
✅ 成果につながる「3点オーダー」
【なぜ】会議終了後5分で、参加者全員が次の行動を理解できるようにしたい
【なに】
1. 合意事項
2. 見解が分かれた点
3. 今後決定すべきこと
4. 宿題リスト(担当者、期限を明記)
【どう】
・文字数: 各項目は1行40字程度で簡潔に
・箇条書き: 各項目は3点以内に絞る
・固有名詞表記: 宿題リストの担当者は「誰が」をフルネームで
・口調: 社内向けの丁寧語
→ 直近30分の会議内容から、以上の形式で合意メモを作成し、Outlook共有用の下書きも生成してください。
成果指標(KPI)
《聴くチカラ研究所からの問いかけ》
この合意メモを読めば、会議に出られなかった人でも状況を正しく理解できるだろうか?
ゼロから資料を作り始めると思考が発散します。まずAIに「骨子」と「台本」を作らせ、人間はより重要な判断に集中します。
✅ 成果につながる「3点オーダー」
【なぜ】10分で承認者向けの検討資料の初稿を完成させたい
【なに】
1. PowerPoint:3枚構成(目的/比較/決定事項)のスライド骨子
2. Word:上記スライドを基にした600字程度の説明文書
【どう】
・箇条書き: スライドは箇条書き主体で余白を多く
・引用形式: 全ての数値に参照元ファイル名と箇所[ファイル名!セル]を脚注で明記
・口調: 客観的で冷静なトーン
・その他: Word文書には想定される反論と回答を3点追加
→ 添付の会議要約とExcelデータを参照し、上記2点を作成してください。
成果指標(KPI)
《聴くチカラ研究所からの問いかけ》
この資料を初めて見た承認者は、30秒で「何を決めれば良いのか」を理解できるだろうか?
MS365 Copilotなどの生成AIを使いこなすのに、特別な技術も才能も不要です。
必要なのは、賢い指示を出すための「型」だけです。まずはこの1週間チャレンジから始めてみてください。
日程 | チャレンジ項目 | チェック |
---|---|---|
Day 1 | [ ] 受信トレイの長文メール1件に「3点オーダー」を使ってみる | |
Day 2-3 | [ ] 参加した会議全てで「合意メモ」の作成を試みる | |
Day 4-5 | [ ] 定例報告資料の作成を「たたき台の自動化」から始めてみる | |
Day 6-7 | [ ] チームメンバーに「3点オーダー」のMVP例を共有してみる |
指示が変われば、成果が変わる。その変化を、ご自身で体感してみてください。
最後に、
“3点オーダー”を日常に、組織としてのAI活用戦略は“4DL_AAS”で
3点オーダー(なぜ/なに/どう)は、誤脱チェックや要約、下書き作成など日常の単純作業すべてで“必ず使ってください”。それだけでCopilotの出力は、うまい文章から動く成果物に変わります。
そして次の一段。
経営戦略や部門方針に沿ったアウトプットをAIに生ませるには、4DLのLLM/LRM独自駆動技術=「4DL_AAS」をMS365 CopilotやChatGPT、Gemini に組み込むことが不可欠です。
4DL_AASは、非エンジニアのオフィスワーカーでも生成AIをビジネス現場で使いこなせるように設計されたフレームワーク。
プロンプトの“前置き仕様”を超えて、目的→前提→運用までを仕組みに落とします。
学びの場は用意しています。
4DL Technologies株式会社は、このフレームワークを誰でも身につけられるトレーニング「ANTシリーズ」として提供しています。
すでに日本を代表するエンタープライズ企業でも採用が進み、自社の事情を理解したAIが自分たちの業務に直結する具体アウトプットを返す状態を実現しています。
生成AI時代の“思考のOS”を、ANTで。
タスク処理の速さだけでなく、戦略と整合した意思決定までをAIと共に進めるために——今日から3点オーダー、そして次の一歩としてANTシリーズでAI時代へのリスキリングへ。