聴くチカラ研究所|4DL Technologies株式会社

DX推進部門の次の一手──Copilotを“作業支援”で終わらせないために バックオフィス業務からはじめる、“思考する現場”のつくり方

作成者: 荒巻順|2025/09/22 2:26:18

Copilotで日常の繰り返し業務は楽になった。でも、仕事は変わっていない・・・

 

DX推進部門の皆様の奔走により、多くの企業でCopilot for Microsoft 365の全社展開が完了し、初期の定着化フェーズを迎えました。

Teams会議後の議事録は数分で要約され、PowerPoint資料の骨子はAIが提案し、Outlookでの丁寧な依頼メールも一瞬で下書きが完成する。

特に、これまで定型業務の効率化が叫ばれてきた総務、経理、人事といったバックオフィス部門では、目に見える形で「作業時間」が削減され、現場からは安堵と歓迎の声が上がっていることでしょう。

これは紛れもなく、DX推進における大きな成果です。

みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の4DL Technologies株式会社CCO荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。

 

しかし、その一方で、推進部門の皆様は次なる壁に直面しているのではないでしょうか。

「日々の作業は楽になった。でも、それによって生まれた時間で、社員はより創造的な仕事をしているだろうか?」

「AIへの指示(プロンプト)は、結局一部のリテテラシーが高い社員の“職人芸”になっていないか?」

「『誰が、どう問いを投げれば、チームや組織にとってより良い判断につながるのか』という最も重要な点が、曖昧なまま放置されていないか?」

効率化のその先にある、本来の目的──「仕事の質的変革」と「新たな価値創出」。

DX推進部門として、組織をそこへ導きたいと願うものの、そのために現場にどのような“体験”を提供すればいいのか、具体的な打ち手が見えていない。それが多くの企業の「今」ではないでしょうか。

 

目次



  1. Copilot活用が“定着しない理由”──作業支援の次に必要な視点とは?
  2. バックオフィス部門が“AIで変われる部署”になるために必要なこと
  3. ANT-B0がもたらす、「問い返してくるCopilot」との出会い
  4. 体験を文化に変える──DX推進部門こそ、問いから始まる職場づくりの旗振り役へ
  5. まとめ|作業支援で終わらせない。Copilotの“本当の使い方”を、今こそ組織に

1.Copilot活用が“定着しない理由”──作業支援の次に必要な視点とは?

 

なぜ、あれほど大きな可能性を秘めたMS365 Copilotが、単なる「便利な道具」で終わってしまうのでしょうか。その理由は、これまでの導入・定着化プロセスに構造的な要因が隠されています。

DX推進部門が現場に提供してきたのは、主に「操作方法のマニュアル」「活用事例のテンプレート集」「定型業務に特化したプロンプト例」でした。

これは導入初期において、利用のハードルを下げ、全社的な普及を促すためには極めて有効な手段です。しかし、この“作業支援”に特化したアプローチは、無意識のうちにユーザーの思考に枠をはめてしまいます。

例えば、経理部門の担当者がCopilotを使うシーンを想像してみましょう。

「先月の営業部門全体の経費データをExcelで集計して、費目別にグラフ化して」

この指示で、Copilotは完璧なグラフを作成します。担当者は「すごい、これで報告書作成が楽になった」と満足するでしょう。

Copilotを使っていると自動的に生成されるサジェスト機能もとても優秀です。DX推進部門だけでなく、バックオフィスの活用事例として共有されるプロンプトギャラリーも社内の共有知としてとても有用性を感じているはずです。

しかし、そこであなた本来の思考は止まってしませんか。Copilotの言うとおりに作業をしていると、とっても効率が良くなって楽になった。作業時間が短縮された。

これが“使い切った感”の正体です。

本来、AIとの対話はここから始まるはずです。

「このデータから、経費執行上の異常値や、注意すべき傾向はある?」

「来期の経費削減目標を達成するために、どの費目に着目すべきか、3つの論点を提示して」

「A事業部とB事業部で、同じ出張旅費でも単価に差があるのはなぜか。考えられる仮説を5つ挙げて」

このように、答えのない問いを投げかけ、AIと共に思考を深めていくフェーズこそが、価値創出の源泉です。

しかし、現場は「AIと一緒に考えるとは何か」という根源的な体験が欠けているため、自らこのフェーズに足を踏み入れることができません。

結果として、Copilotは「清書」「要約」「マクロ化」といった既存業務の延長線上で消費され、その真価を発揮できずにいるのです。

 

2. バックオフィス部門が“AIで変われる部署”になるために必要なこと

 

「AIと共に思考する」というコンセプトは、企画部門やマーケティング部門といった、いわゆる“クリエイティブ職”のためのものだと考えられがちです。

しかし私たち4DLは、その最初のステップとして最もポテンシャルを秘めているのは、総務や経理、人事といったバックオフィス部門だと考えています。

なぜなら、これらの部門の業務は「定型」と見なされがちですが、その実態は「見えにくい判断」「イレギュラーな例外対応」「社員の感情への配慮」といった、言語化しにくい“問い”の連続だからです。

 

  • 総務部門のシーン:
    「『オフィスBGMを導入したい』という要望が若手から出ているが、集中を妨げるという意見も必ず出るだろう。全社的な合意形成を図る上で、考慮すべき論点は何か? 賛成派・反対派双方の視点から、懸念事項をリストアップしてほしい」

  • 経理部門のシーン:
    「この経費精算は、規定上はセーフの範囲だ。しかし、プロジェクトの予算状況や申請のタイミングを考えると、承認することに違和感がある。この“もやもや”を言語化するために、私が無意識に考慮している判断基準を壁打ち相手になって整理してくれないか?」

  • 人事部門のシーン:
    「A部署から提出された来期の増員計画。計画自体は妥当に見えるが、現場の本当の課題は人員不足ではなく、業務プロセスの非効率にあるのではないか。この仮説を検証するために、どのようなデータを分析し、誰にヒアリングすべきか、アクションプランを提案してほしい」

これらは、明確な答えが存在しない、まさに「思考すべき」そのものです。

この“もやももや”とした思考のプロセスや、気づきにくい論点こそ、AIとの対話を通じて可視化し、客観的に分析・支援できる領域なのです。

バックオフィス部門は、社内のあらゆる部署と連携し、日々発生する無数の例外や調整事に対応しています。

つまり、組織の“結節点”として、最も多くの「生きた問い」に触れている部署と言えます。

だからこそ、思考支援ツールとしてのMS365 Copilotを体験し、その価値を最初に実感できるのは、むしろこの部門からが最適なのです。

 

3. ANT-B0がもたらす、「問い返してくるCopilot」との出会い

 

では、どうすれば現場に「AIと共に思考する」という体験を提供できるのか。その答えが4DL Technologiesの開発提供するAI時代に新しいリテラシーの気づき行動に移すことのできる《ANT-B0》というトレーニングです。

ANT-B0は、Copilotの操作方法やプロンプトの基礎を教えるトレーニングではありません。

参加者が、自らの業務におけるリアルな課題を持ち寄り、AIとの対話を通じて「問いを深める=思考支援」とはどういうことかを体験しながら自己環境に構築するする非エンジニア向けプログラムです。

このトレーニングの核心は、Copilotに“答えを出させる”のではなく、“論点を探させる”という使い方を徹底的に実践することにあります。

ファシリテーターの導きのもと、参加者は次のような体験をします。

  1. 課題の言語化: 自分が抱える「答えのない問い」(例:「社内の備品申請プロセス、どうすればもっとスムーズになるだろう?」)をCopilotに投げかける。

  2. AIからの“問い返し”: Copilotは安易な答えを提示しません。代わりに、「“スムーズ”とは具体的に、リードタイムの短縮ですか? 申請者の手間削減ですか? それとも管理部門の承認工数削減ですか?」「この課題に関係するステークホルダーは誰ですか?」といった“問い”を返してきます。

  3. 思考の可視化: この対話を通じて、参加者は自分がこれまで無意識に考えていたこと、見過ごしていた論点、考慮すべきだった他部署の視点に気づかされます。これまで頭の中で漠然としていた迷いや課題が、AIとの対話を通じて客観的に可視化されていくのです。

  4. 新たな問いの発見: AIとの対話を繰り返す中で、当初の問いはより解像度の高い、本質的な問いへと進化していきます。「備品申請プロセスをどう改善するか」という問いが、「従業員の生産性を最大化するための、最適なファシリティマネジメントとは何か」という、より高次の問いへと昇華される瞬間を体験します。

この一連のプロセスを経て、参加者の中でCopilotに対する認識は劇的に変化します。指示通りに動くだけの“操作する道具”から、自らの思考を刺激し、新たな視点を与えてくれる“思考を広げる相棒”へと変わるのです。

《ANT-B0》は、このAIに対しての認識を変えるきっかけ引き起こすための、いわば「AIによる思考支援へ入口」「DX推進部門が本来狙う付加価値向上」への、AI活用によるDX実現への入口だと考えています。

ANT-B0で得た「問いを深める」視点は、単なる一過性のワークでは終わりません。

トレーニング終了後には、Copilotに問いを投げる設計テンプレート(思考フレーム)として業務に活用され、経費分析・人事施策・合意形成など、部門横断の実務プロセスに還元されていきます。

 

4. 体験を文化に変える──DX推進部門こそ、問いから始まる職場づくりの旗振り役へ

 

《ANT-B0》によってバックオフィス部門の一部の社員にもたらされた「問いを考えるAI体験」は、小さな成功事例として、しかし確実に社内に伝播していきます。

経理部門の担当者が作成した、単なるデータの羅列ではない「示唆に富んだ経費分析レポート」。総務部門が主導した、全社的な合意形成を見事に実現した「新しいオフィス環境の導入プラン」。

これらの具体的なアウトプアウトは、他の部署の社員にとって何より雄弁な成功事例となります。

「あの部署、最近アウトプットの質が変わったな。どうやってるんだ?」

この興味が、次の変革の波を生み出します。

この時、DX推進部門が果たすべき役割は明確です。単なるツール導入の担当者ではなく、この「体験の芽」を全社的な文化へと育てる“旗振り役”となるのです。

バックオフィス部門での成功を起点に、「作業支援から思考支援へ」という全社的なストーリーを組み立て、経営層にその価値を訴求する。

そして、営業、開発、マーケティングといった各部門の業務特性に合わせた形で「AIと共に思考する」文化をインストールしていく。

《ANT-B0》は、その壮大な変革ストーリーの、最も重要で、最も効果的な“最初の起点”として機能します。

 

5. まとめ|作業支援で終わらせない。Copilotの“本当の使い方”を、今こそ組織に

 

MS365 Copilotの導入と初期定着化に成功したことは、DX推進部門の皆様にとって素晴らしい成果です。それは、組織がデジタル変革のスタートラインに立ったことを意味します。

しかし、DX本来のゴールは業務を少し楽にすることではなく、仕事の質を変え、組織として新しい価値を創出し続ける存在になることのはずです。

そのためには、AIを単なる作業支援ツールとして“使いこなす”レベルで満足してはなりません。AIを思考のパートナーとして、共に“問いを立て、答えを探求する”関係性を築く必要があります。

ANT-B0は、その第一歩から次の一歩へと組織を導くための、AIとの付き合い方を再定義するプログラムです。

Copilotの本当の力を解放し、“思考する現場”を創り上げる。その重要なミッションを担うDX推進部門の皆様の、最強の武器となることをお約束します。

貴社のCopilot活用を“作業支援”から“価値創造”へ進化させたいとお考えであれば、まずはANT-B0の研修資料や、他社での活用事例をご覧ください。

現場から変わるDXの次の一歩が、そこにあります。

MS365 リセラーの皆様に

Microsoft 365 Copilotの導入支援、誠にお疲れ様です。貴社の尽力により、多くのお客様がAI活用の第一歩を踏み出されていることと存じます。

しかしながら、導入後、『ライセンスは提供したが、お客様の現場での活用が思うように進まない』『操作研修は完了したが、投資対効果(ROI)について厳しい声が聞こえ始めた』といったお悩みはございませんか?

本記事で論じてきた「便利だけど、何も変わらない」という壁は、お客様が直面する共通の課題であり、同時にリセラーの皆様にとっては、お客様との関係をより深化させる絶好のビジネスチャンスです。

私たちが提供する『ANTシリーズ』は、まさにこの壁を打ち破るために設計されたプログラムです。

単なる操作研修では決して届かない、『思考の変革』と『現場の自走』を実現し、お客様のCopilot投資を真のビジネス価値へと転換させます。

例えば、今回の記事に書かせていただいた「バックオフィス部門をMS365 Copilotで変革していくか!」と言うような場面です。

ANTシリーズを貴社のサービスラインナップに加えていただくことで、ライセンス販売や初期導入に留まらない、高付加価値なアップセル商材としてご活用いただけます。

お客様のDXを成功に導く真のパートナーとして、競合他社との圧倒的な差別化を図りませんか?

ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ一度、私どものパートナープログラムについてお話をさせていただけますと幸いです。お客様の成功を共に支援できることを楽しみにしております。