DX推進部門の皆様の尽力により、Copilot for Microsoft 365の全社展開は成功裏に完了し、多くの現場で活用が進んでいることでしょう。
導入初期に実施した操作研修、部門ごとにカスタマイズした活用テンプレートの共有、日々のQ&A対応──これらの地道な活動が実を結び、社内の至るところで「AIが仕事を楽にしてくれた」という声が聞こえてくるはずです。
これは紛れもなく、DX推進における確かな“第一歩”の成功と言えます。
みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の4DL Technologies株式会社CCO荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。
しかし、その手応えとは裏腹に、推進部門の皆様は漠然とした停滞感を感じ始めてはいないでしょうか。
現場は確かにCopilotを「使っている」。日々の定型業務は効率化された。しかし、その先にあるはずの「仕事の質の変化」や「新たな価値創出」といった動きは、期待したほど見られない。むしろ、効率化によって生まれた時間を、ただ別の作業で埋めているだけのように見える。
全社的な活用率は上がっている。だが、組織として本当に“変革”しているのだろうか。DX推進部門として次に打つべき一手は何か。その問いに対する明確な答えが見えないまま、時間だけが過ぎていく。そんな足踏み状態に陥っている企業は、決して少なくないはずです。
現場レベルで見れば、Copilotは確実に「使えて」います。
例えば、営業部門では、Teams会議の議事録が自動で要約され、顧客への提案骨子もAIが瞬時に提示してくれる。経理部門では、膨大なExcelデータから必要な情報を抽出し、月次報告書のドラフトを作成する時間が劇的に短縮された。総務部門でも、社内通知やイベント案内の文面作成といった業務が効率化されています。
これらの成果は具体的で、測定可能であり、費用対効果を説明する上でも十分な材料となるでしょう。しかし、ここで一歩引いて、その「使い方」の本質を観察する必要があります。
報告書の“清書”、議事録の“要約”、依頼文の“下書き”──これらはすべて、既存の業務プロセスをAIによって「早くこなす」ための活用法です。
つまり、仕事のやり方そのものを変えるのではなく、従来のやり方を維持したまま、作業速度だけを向上させているに過ぎません。
本来期待されていたのは、「このデータから、我々はどんな新しい事業機会を見出すべきか?」「この議事録の裏にある、顧客の本当の課題は何か?」「形骸化しているこの社内通知を、従業員のエンゲージメントを高めるコミュニケーションへと再定義できないか?」といった、「業務を再定義する思考」が生まれることではなかったでしょうか。
現場はたしかに、DX推進部門の皆さんが社内情シスやSIerと苦労して構築したMS365 Copilotを使はじめてくれています。
しかし、それは思考のショートカット、つまり“考える仕事”をAIに任せるというよりも、“考えなくてもよい作業”をAIに肩代わりさせている段階に留まっているのがDX推進部門のみなさんのモヤモヤではないでしょうか?
成果が出ているように見えて、DXの最終ゴールである“価値創出”という核心部分には、まだ手が届いていないのです。
では、なぜ現場の活用は「作業支援」のレベルで止まってしまうのでしょうか。皮肉なことに、その一因は、DX推進部門が良かれと思って実施してきた導入・定着化施策そのものにあるのかもしれません。
Copilotの導入にあたり、皆様は現場の混乱を避けるため、そして早期に成功体験を積んでもらうために、丁寧な操作研修を実施し、具体的な活用シーンを想定したテンプレートや、そのまま使える定型プロンプト集を準備したはずです。
これは、ツールへのアレルギーをなくし、利用のハードルを下げる上で極めて有効な戦略でした。
しかし、この手厚いサポートが、無意識のうちにユーザーの思考に「便利の限界」という枠をはめてしまった可能性があります。
提供されたテンプレート通りに使えば、確かに目の前の作業は楽になる。
その「成功体験」があまりに快適であるため、ユーザーは「これだけ使えれば十分だ」と満足してしまい、テンプレートの範囲を超えるような、より創造的で挑戦的な使い方を試そうとしなくなるのです。
社内に「Copilotとは、こういう風に使うものだ」という一種の“正解”が形成され、それが思考の挑戦や、既存業務への問い直しを抑制する空気感を生み出してしまっている。
これが、成功の裏で起きている構造的そして潜在的なDX推進の課題です。
さらに根深いのは、「そもそも、何をCopilotに考えさせればいいのか」という、問いそのものを設計する視点が、社内の誰にも共有されていないことです。
現場は目の前の作業をこなすことに追われ、経営層は具体的な活用イメージを持てず、そしてDX推進部門はツールの機能説明に終始してしまっている。
結果として、Copilotという強力な思考エンジンを手にしながら、誰もそのエンジンのかけ方を知らない、という状況に陥っているのです。
この停滞感を打破するために、今こそDX推進部門は自らの役割と、DXの目的そのものを問い直す必要があります。
DXの真のゴールは、“ツールを使わせること”ではありません。
それはあくまで手段です。ゴールは、AIという新しいテクノロジーを通じて、“組織の思考様式を変え、継続的な価値創出が可能な文化を浸透させること”にあるはずです。
そのためには、まず社内に蔓延する「AIは正解を出す魔法の箱である」という誤解を解くことから始めなければなりません。
Copilotは、私たちが何も考えなくても完璧な答えを教えてくれる存在ではありません。
むしろ、私たちの思考を刺激し、多角的な視点を提供し、結論に至るまでのプロセスを支援してくれる「思考のパートナー」です。
このパートナーシップを機能させるためには、私たち人間側に「問いを設計する」能力が不可欠になります。
どのような課題を設定し、どのような角度から質問を投げかけ、AIの回答に対してどのように深掘りしていくか。この「AIとの思考協働」の設計思想こそが、Copilot活用の成否を分けるのです。
そして、この設計思想が社内に欠けているという現状は、単なるスキル不足や知識不足といった問題ではなく、組織の“OS”そのものに関わる根源的な問題です。
DX推進部門は、もはやツールの導入担当者やテクニカルサポートであってはなりません。
組織のOSをアップデートする、すなわち「AIと問いを考える」という新しい文化を設計し、インストールする変革のアーキテクト(設計者)へと自らを再定義するべき時なのです。
では、どうすれば「AIと問いを考える」という新しい文化を組織に根付かせることができるのでしょうか。
その答えは、知識や理論を教えることではありません。社員一人ひとりに、強烈な「原体験」を提供することです。
私たち4DL Technologies株式会社が設計開発したAIリテラシーを根本的にシフトアップするトレーニング《ANT-B0》は、まさにその原体験を提供するために生まれました。
《ANT-B0》は、Copilotの操作方法やプロンプトギャラリーの活用を単純に学ぶ場ではありません。参加者が自らのリアルな業務課題を持ち寄り、AIを「思考を拡張する相棒」として体感する場です。
トレーニングの核心は、Copilotに答えを出させるのではなく、意図的に“問い返し”をさせる4DL独自のLLM駆動技術《4DL_AAS》にあります。
例えば、「どうすれば営業部門の生産性を上げられるか?」という漠然とした問いを投げかけると、Copilotは一般的な施策をリストアップするでしょう。
しかし、《ANT-B0》で学ぶLLMを自分の思考支援パートナーとして駆動するための4DL_AASというプロンプト設計思想がコアに実装されています。
そこからさらに「“生産性”を、売上、利益、案件化率のどれで定義しますか?」「時間軸は短期、中期、長期のどれを想定していますか?」「この問いの背景にある、最も解決したい課題は何ですか?」といった、AIからの問い返しを引き出す新しいプロンプトエンジニアリングの世界を体験できます。
この対話を通じて、参加者は自らの思考の曖昧さや、考慮していなかった論点に気づかされます。
AIに問い返されることで、自分自身の思考が深掘りされていく。この体験こそが、「AIは正解を出すマシン」から「AIは思考を広げるパートナー」へと認識を転換させるのです。
現場が自ら問いを設計し、AIと共に“考える場”をつくる。この小さな、しかし確実な成功体験が、文化変容の最初の起点となります。
そして、この体験を社内に届け、点在する成功体験を線、そして面へと広げていく流れを設計することこそ、これからのDX推進部門が担うべき最も重要なミッションではないでしょうか。
MS365 Copilotは、多くの現場で“使える”ようになりました。しかし、それをもって、組織のDXが“進んだ”と結論づけるのは早計です。ツールの導入と文化の変革は、似て非なるものです。
真の変革とは、テクノロジーを通じて社員一人ひとりの“思考”が変わり、行動が変わり、そして組織全体の価値創出能力が向上することを意味します。
作業が少し早くなっただけで満足していては、いずれ競合との差は埋めがたいものになるでしょう。
今、DX推進部門に求められているのは、次のツールの導入計画を立てることではありません。
AIの導入によって得られた“余白”を、いかにして「問いを考える文化」の醸成へとつなげていくか、その設計図を描くことです。
《ANT-B0》は、その変革を一歩目から支援する“問いの体験プログラム”です。
その結果、AI活用に対しての現場スタッフの意識が変わり、更にAIを使い込んでみたいという次の自走ステージに進めるコトが可能になります。
AIとの新しい関係性を組織にインストールし、DXを次のステージへと進めるために、今こそ必要とされているソリューションであると私たちは確信しています。
Copilotの“次をどうするか”を検討されているDX推進部門の皆さまへ!
貴社のCopilot活用を“作業支援”から“価値創造”へ進化させたいとお考えであれば、まずは《ANT-B0》のプログラム資料や、他社での活用事例をご覧ください。
現場から変わるDXの次の一歩が、そこにあります。
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