聴くチカラ研究所|4DL Technologies株式会社

DX推進部門は“Copilot導入しただけ”で満足していませんか?──変わらぬ行動に、変わる結果は生まれない

作成者: 荒巻順|2025/09/27 2:24:22

「同じ行動を繰り返しながら、違う結果を望むこと。それを狂気という」かのアルベルト・アインシュタインが残したとされるこの言葉が、今、あなたの胸に突き刺さっているかもしれません。

みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の4DL Technologies株式会社CCO荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。

Microsoft 365 Copilotのライセンス導入という大きな山を越え、社内説明会やハンズオン研修を実施。現場からは「これは便利だ」「作業が速くなった」という好意的な声が聞こえ始め、小さな成功体験も着実に積み上がってきた。

あなたはその手応えを胸に、本格的な全社展開と、それを支える育成・定着施策の稟議書を提出する。

しかし、そこで待っていたのは、期待とは裏腹の、上司や経営層の鈍い反応でした。

「導入効果は、まだ限定的じゃないか?」

「現場が勝手に使えばいい。なぜ追加投資が?」

Copilot導入後に訪れる、これは「第二の壁」です。

現場の熱量と経営判断の間に横たわる、深く静かな溝。この壁の前で、多くのDX推進担当者が立ち尽くし、その理由をうまく言語化できないまま、孤独な戦いを強いられています。

なぜ、現場の実感が伝わらないのか。なぜ、次のステップに進めないのか。

この記事は、そんな“孤軍奮闘”するあなたのためのものです。

稟議が通らない本当の理由を構造的に解き明かし、その壁を突破するための具体的な思考の糸口を、共に探っていきましょう。

変わらぬ行動に、変わる結果は生まれません。今こそ、アプローチそのものを変える時です。

 

1.“Copilotは使える”という現場の実感、でも上司は「で?」と言う

 

あなたは、ある部署の定例会議で、Copilotの活用事例を報告しています。

「Aチームでは、Copilotを使って議事録の要約とToDoリストの作成を自動化した結果、作業時間が従来の3分の1に短縮されました。

また、Bさんが担当する週次レポート作成では、Excelのデータ分析とPowerPointのスライド構成案の生成に活用し、これまで半日かかっていた作業が2時間で完了したとの報告を受けています。現場からは『これは使える!』という声が多数上がっており…」

熱を込めて語るあなたに対し、会議室の向こう側に座る上司は、腕を組んだまま静かに一言、こう返します。

「…で? それって、全社展開してまで投資する価値があるの?」

この瞬間、会議室の空気が凍りつきます。現場で丹念に拾い集めた「使える!」という確かな手応えが、上層部の意思決定レイヤーに届いた途端、その価値を失ってしまう。

この現象は、いったいなぜ起こるのでしょうか。

答えは、“現場の手応え”と“上層部の意思決定言語”の間に存在する、深刻な分断にあります。

現場が語る「便利になった」「速くなった」という言葉は、あくまで個人の作業効率という定性的な成果です。

一方、上司や経営層が意思決定に用いる言語は、「売上向上」「コスト削減」「市場競争力強化」といった、事業戦略に直結する定量的・戦略的な成果です。

現場のミクロな成功体験は、マクロな経営視点から見れば「誤差の範囲」であり、「見えない成果」として評価の対象にすらならないのです。

DX推進担当者に求められるのは、現場の声をそのまま届けることではありません。

Copilotが生み出す価値を、上層部が理解できる言葉、すなわち経営の意思決定言語へと「翻訳」すること。この「価値の翻訳」という重要な役割を果たさない限り、現場の実感は永遠に「で?」の一言で切り捨てられ続けるでしょう。

 

2.上司が納得しない“4つの不安”と、それを跳ね返す問いの技術

 

稟議が滞る本当の理由は、上司があなたの提案に反対しているからではありません。

彼らが、あなたの提案の先に広がる未来に対して、口に出せない“不安”を抱えているからです。その不安が言語化されないまま放置されているため、ただ稟議が止まるという“沈黙の否定”として現れているのです。

上司たちが心の中で抱えるCopilot定着施策への懸念は、おおよそ以下の4つに分類できます。

  1. 成果が曖昧:「作業時間が少し短縮される」以上の、事業インパクトが見えない。
  2. 属人化しそう:一部のITリテラシーが高い社員だけが使いこなし、スキル格差が広がるのではないか。
  3. コスト対効果が見えない:ライセンス費用に加えて、育成コストまでかける価値があるのか。投資回収のモデルが描けない。
  4. 他部署で反発されそう:「ただでさえ忙しいのに、新しいツールの研修なんて」という声が上がるのではないか。

これらの不安は、真っ向から「必要です!」と説得しようとしても、決して解消されません。

むしろ、反発を招くだけです。ここで必要になるのが、相手の懸念を引き出し、可視化するための「問いの技術」、すなわち「逆問い設計」です。

これは、相手の不安を先回りして問いかけることで、議論のテーブルに乗せるアプローチです。例えば、このように切り出します。

「部長、ありがとうございます。一度立ち止まって考えたいのですが、もし仮に、この育成施策がうまくいかないとしたら、どのような点が懸念されますでしょうか? 例えば、一部の社員しか使わずに形骸化してしまう、といったリスクも考えられるかと思うのですが…」

このように問いかけることで、上司は「そうなんだよ、そこを心配していて…」と、胸の内の不安を語り始めます。

稟議が通らないのは、不安が解消されていないから。そして、不安が解消されないのは、それが明文化されていないからです。

相手の“不安の沈黙”を読み解き、それを「問い」によって言語化させること。それが、膠着した状況を動かすための、最初の重要な一歩となるのです。

 

3.ANT-B0で描く「Copilot定着の成功シナリオ」──思考支援という切り口

 

上司の不安を可視化できたなら、次に示すべきは、その不安を払拭する明確な「成功シナリオ」です。

しかし、ここでいきなりコスト対効果やROI(投資対効果)といった数字の話を持ち出すのは得策ではありません。なぜなら、彼らが抱える不安の根源は、Copilotがもたらす価値の本質をまだ体感できていないことにあるからです。

上司に納得してもらうために必要なのは、「Copilotが定着した先に、どのような質の高い未来が待っているのか」という、具体的で魅力的なストーリーです。

その第一歩こそ、私たち4DL Technologies株式会社が提供する「ANT-B0」で学ぶ「AIは作業支援ではなく、思考支援である」という、根本的な視点転換にあります。

多くの稟議が失敗するのは、Copilotを「作業を速くするツール」という文脈でしか語れていないからです。

しかし、その本質は、人間の思考プロセスに介入し、アイデアの壁打ち相手となり、戦略的な意思決定をサポートする「思考の伴走者」としての役割にあります。

ANT-B0は、単なる体験会ではありません。それは「Copilotを思考支援のOSとして組織にインストールする初期設定」です。

この文化的OSのインストールを最初に正しく行わなければ、その上で動くB1でのプロンプト設計ノウハウや、B2でのAIエージェント開発といったアプリケーションが、現場に真に浸透することはありません。

ANT-B0では、例えば「来期の中期経営計画の骨子を、最新の市場データと過去の議事録データを基に3パターン提案して」といった、より戦略的な問いをCopilotに投げかけるワークを、上司や経営層自身にリアルに体験してもらいます。

この体験を通じて、上司は初めて「なるほど、これは単なる便利ツールではない。我々の“考える時間”そのものの質を変えるポテンシャルがある」と実感します。

ROIの数字を並べるよりも、このたった一つの「!」という体験こそが、彼らの固いマインドセットを溶かすのです。

 

4.ANT-B1/B2で現場を巻き込む──“見える成果”を稟議に変える設計図

 

ANT-B0によって上司の視点転換に成功したら、次はその成功シナリオを組織全体に広げ、具体的な“見える成果”を創出していくフェーズに移ります。

そのための具体的な設計図となるのが「ANT-B1」と「ANT-B2」です。

ANT-B1では、現場のリーダー候補を集め、良質なアウトプットを引き出すための具体的なプロンプト設計のノウハウを学びます。

プロンプトとは、単なる命令文ではありません。

それは、現場の課題や暗黙知を、AIが理解できる形に変換し、具体的な成果を引き出すための“成果の翻訳装置”です。

ここで育成された社内の“定着リーダー”たちが、各部署で成功事例を生み出し始めます。彼らの存在は、現場の熱量を、稟議資料に記載できる具体的な「成果」へと変える力強いエンジンとなります。

さらにANT-B2では、Copilot StudioやDifyといったノーコードのプラットフォームを活用し、業務特化型のAIエージェント開発に挑戦します。

例えば、「毎月の経費精算申請の不備を自動チェックするエージェント」や「新人向けの社内規定FAQチャットボット」など、目に見える成果物を短期間で創出することができます。

これらの「小さなPoC(概念実証)」を各部署で量産することで、「Copilotへの投資は、単なるライセンス費用ではなく、自社の業務を効率化する独自のAIツール群を構築するための開発投資なのだ」という、より説得力のあるストーリーが完成します。

「B0(Copilotによる思考支援での付加価値への期待)」→「B1(非エンジニアがAIでの思考支援環境を自分で設計できる)」→「B2(具体的な実務をアプリケーションに展開を自走で)」

この一連の流れこそが、上司が抱えていた「言葉にならない不安」を、誰もが納得する「投資すべき未来」へと変えていくための、戦略的なロードマップなのです。

 

5.まとめ──“DX推進の孤軍奮闘”から、“組織を動かす共創者”へ

 

Copilotの導入と定着を成功させる道は、決して平坦ではありません。それは、単に新しいツールを全社に展開するという単純なタスクではないからです。

ここで、冒頭の言葉を思い出してください。「同じ行動を繰り返しながら、違う結果を望むこと。それを狂気という」。

現場の成功事例をただ報告し、上司の「様子を見よう」という反応に甘んじ、また同じように事例報告を繰り返す…。そのサイクルこそ、アインシュタインが指摘した「狂気」なのかもしれません。

DX推進担当者に本当に求められているのは、組織のストーリーテラーとなり、現場と経営、部門と部門の間にある“言語の壁”を取り払う翻訳者として機能することです。

そして、組織全体を巻き込みながら、AIと共に新しい価値を創造していく「共創者」へと、あなた自身が進化することです。

もう、一人で戦う必要はありません。ANTシリーズは、孤立しがちなDX推進担当者が、組織を動かす「共創者」へと変貌するための、思考のフレームワークと実践的なツールキットを提供する仕組みです。

ここでひとつ立ち止まって考えてみてください。

Copilotの導入が終わったからといって、「あとは現場に研修をすれば定着するだろう」と考えてしまってはいないでしょうか?

それは危険な錯覚です。

Copilotがもたらす可能性の本質は、単なる作業効率化ではなく、現場の“思考と付加価値創造”の質を変えることにあります。

そしてその実現には、よくある「AIの使い方研修」では到底届きません。

経営層が本当に望んでいるのは、「AIを使いこなせる社員」ではなく、AIと共創し、現場から経営インパクトを生み出せる非エンジニア人材ではないでしょうか。

だからこそ、ありきたりな広告や補助金メニューで探した研修を“あてがう”だけで、DX推進の使命を終えたことにしてしまってはいけないのです。

4DL Technologiesの提供する《ANTシリーズ》は、Copilotをはじめとする生成AIを「ツール」ではなく「組織思考のOS」に進化させるための実践型プログラムです。

 

🧠 ANTシリーズ(B0~B2):DX推進部門のための「思考から実装まで」貫通型スキル育成プログラム

生成AIを軸とするDXの成功は、単なるツール導入ではなく、“組織の意志決定をどうAIで再現・実装するか”という構想力と実行力にかかっています。

ANTシリーズは、その全ステップを段階的に身につけるエンタープライズ特化のAIネイティブ研修プログラムです。

もともとは、大手通信事業者向けのBtoBセールス部門のAIエージェント開発で培ったLLM駆動ノウハウをトレーニングに落とし込んだという「AIソリューションの現場から生まれてきたノウハウ」がANTというトレーニングになっています。

大手企業にも導入実績もあり、カスタマイズ要望にも対応することが可能です。

✅ ANT-B0:思考支援としてのAI体験 ― 「脱・作業脳」への第一歩

目的:AIを“作業代行”ではなく“思考の伴走者”として使う感覚を掴む
まずはChatGPTなどの生成AIを活用し、情報収集・問いの再設計・仮説立案などを通じて、従来の手順書的な業務発想から脱却。DX推進の本質は「新しい問いを立て、判断の質を上げる」ことにあると気づける構成です。


👉 活用気運を醸成し、B1以降の導入布石に。

✅ ANT-B1:構想力をプロンプトにする ― 意志決定構造の「設計図化」

目的:複雑な社内業務を“プロンプトで再現可能な構造”に落とし込む
エンタープライズに特有な「組織文化」「ビジョンや理念」「部門の方針や上長のカラー」「役割分担と承認ルート」「具体的な現場での担務」などの意志決定構造をプロンプトで再現し、AIに問いかける精度を高める設計力を習得します。


👉 DX推進部門に必要な「業務分解力」と「共通プロンプト設計力」を体系化。
※当社独自の【ODGC/4DL_AAS】で再現性と保守性を担保。

✅ ANT-B2:構想をアプリに落とす ― AI活用の“水平展開エンジン”

目的:ノーコードツール(Copilot Studio/Dify等)でプロンプト設計を業務アプリに転換
B1で設計したプロンプト構造を、実際の社内アプリとして実装・可視化・配布する工程を習得。ツールの学習ではなく、“AI実装文化の組織展開”がテーマです。


👉 「現場展開できるAIアプリ」を複数部門に展開することで、DXの実装力を一気にスケール。

🌀ANT-B0→B1→B2を貫通することで、「使うDX」から「再現するDX」へ。


つまり、DX推進部門が単なるAIユーザーを育てるのではなく、「組織の判断基準や構造をAIで再現し、横展開できる人材」を育てるという、内製化に向けた戦略的人材育成パスを構成できます。

Copilot導入を“スタートライン”とするならば、その後の人材育成と業務変革のデザインこそが、DX推進部門に課された本当のレースです。

その設計図を描き切るために、ANTシリーズという選択肢を、いま本気で検討してみませんか?