聴くチカラ研究所|4DL Technologies株式会社

Copilot定着は“導入の次の壁”から始まる ──千葉市トライアル発注制度「認定」で見えた、体験起点のAI定着設計

作成者: 荒巻順|2025/11/22 0:41:29

「全社導入は完了した。しかし、ログを見ると活用しているのは一部の“好き者”だけだ」

今、多くのエンタープライズ企業のDX推進部門が、この静かな事実に直面しています。

しかも現場の入り口には、「便利そうなのは分かるけど、結局どこで使うの?」という分厚い“無関心の壁”が立ちはだかっています。

みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の4DL Technologies株式会社CCO荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。

 

その状況のまま年度を越えようとしていることに、冷や汗をかいている担当者も多いはずです。なぜなら、次の予算会議で必ずこう問われるからです。

「で、その投資は現場の働き方をどう変えたの?」

ツールを配ることは、ゴールではなくスタートラインに過ぎません。「配っただけ」で終わらせず、現場の血肉に変えられるか。

このタイミングで、私たち聴くチカラ研究所(4DL Technologies)が「令和7年度 千葉市トライアル発注制度」の認定を取得したことは、この「定着のROI(投資対効果)」に悩む企業にとって、一つの解になると考えています。

今回は、この認定の裏側にあるロジックを紐解きながら、あなたの組織が「便利止まり」の壁を超えるための設計図を共有します。

 

1. 千葉市トライアル発注制度の“認定”が意味するもの

 

まず、この制度を説明します。

千葉市トライアル発注制度は、千葉市内に事業拠点のある中小企業の新製品・新サービスを市が認定し、PRと試験導入を通じて有用性を評価する仕組みです。

重要なのは、今回の認定が「行政の実務フィルタを通過しうる、再現性のある定着モデル」であるという証明だという点です。

行政で通るモデルは、「属人化せずに全員に広げられる」ことが大前提です。

つまり、今回の認定は、企業におけるCopilot定着で最も頭の痛い問題──「一部のITリテラシーが高い社員しか使わない」という状況を、構造的に回避できる設計であることのエビデンスなのです。

 

2. なぜ“AI研修”ではなく“AI定着の体験設計”が認定されたのか

ここで少し、辛辣な事実を述べさせてください。

多くの企業で行われている一般的な「AI研修」は、実は定着を阻害している可能性があります。

研修をやった“気になって安心する”フェーズは、もう終わりました。

「プロンプトの書き方」や「機能の使い方」ばかりを教え込む研修では、現場は動きません。

なぜなら、現場が動かない理由は「操作方法がわからないから」ではなく、「自分の業務のどこで使えばいいのか、イメージが湧かないから」です。

今回、認定の対象となった私たちのアプローチ(体験型定着プログラム:ANT-B0)では、機能説明よりも前に、「自分の仕事をAIにどう“相談”できるか」を体で掴むワークを置きます。

いきなりプロンプトを教えず、“悩みの持ち込み方”“問いの立て直し方”を先に体験する。

だからこそ、受講者が現場へ戻った瞬間から、「AI=思考を広げる相棒」へと前提が反転し、「ここでも使えるかもしれない」と自ら考え始めるのです。

認定審査において評価されたのも、この「人間側のOS(意識)をアップデートし、自走を促すメカニズム」であると、私たちは受け止めています。

 

3. DX推進部門にとって、トライアル“認定”が持つ実利

 

視点を「あなた(DX推進担当者)」の立場に移しましょう。

あなたが直面している最大の課題は、技術的な実装ではなく、「社内政治とコストの正当化(稟議)」ではないでしょうか。

実際、定着施策の稟議で経営層から問われる論点は、ほぼ以下の3点に収束します。

 

  1. 現場が使う絵が描けているか(ユースケースの具体性)
  2. 一部の有志ではなく全体に広がるか(再現性)
  3. 投資の合理性を説明できるか(回収の確からしさ)

 

「ANT-B0」が受けたトライアル認定は、この3点を“外部評価済み”として一気に通しやすくするエビデンスとなります。

「導入実績があります」という言葉よりも、「公的な評価軸で審査をクリアしたモデルです」という事実は、あなたの企画書(稟議書)の説得力を底上げする強力な武器となるはずです。

 

4. Copilot定着の第一歩は「共通体験→共通言語→現場の自走」

 

大規模組織であればあるほど、自然発生的なAI定着はあり得ません。

CopilotやChatGPT・Geminiのように“できることの幅が広すぎるAI”ほど、まず「何に使えるかの地図(共通体験)」を組織全体で揃える必要があります。

私たちが提唱する定着ステップは以下の通りです。

  1. 共通体験(Experience):
    「すごい」で終わらせず、「自分の仕事がこう変わる」という手触り感を全員が持つ。
  2. 共通言語(Language):
    「プロンプト」ではなく、「壁打ち」「要約」といった、社内で通じる「問いの型」を持つ。
  3. 自走(Autonomy):
    共通言語ができて初めて、各部署独自のユースケースが生まれ、現場が自走し始める。

特に重要なのが「2. 共通言語」です。

これがないと、現場は“自己流のプロンプト文化”になり、成果が共有されません。逆に、問いの型が揃うと、Copilotの使いどころが“組織知”として増殖し始めます

「地図」を持たせずに、高性能なエンジン(Copilot)だけを渡しても、社員は迷子になるだけです。「認定」を受けたのは、この「地図と運転技術をセットでインストールするプロセス」そのものなのです。

 

5. まとめ:あなたの組織で“定着させたいもの”は何か?

 

千葉市トライアル発注制度の認定取得は、私たちにとって大きな通過点ですが、それ以上に「AI活用の本質が、機能から体験へとシフトした」ことを示す社会的なシグナルだと捉えています。

最後に、一つだけお伝えします。

どんな業界でも、定着が失敗する理由は同じです。
「体験がないまま、使い方だけ渡したから」。

これに例外はありません。だからこそ、最初の一歩は“体験の設計”から外せないのです。

あなたの組織で“定着してほしいもの”は、単なるCopilotの操作方法ですか?

それとも、AIをパートナーとして思考を深めるための「問いの立て方」でしょうか?

もし後者を目指すなら、まずはDX推進部門の皆さん自身が“共通体験の起点”になってください

「ANT-B0」のノウハウを凝縮した「体験の設計図(30分オンライン説明)」を、貴社のCopilot活用状況に合わせてお渡しします。

「便利止まり」を終わらせ、組織の血肉となるAI活用へ。次は、あなたの現場でその効果を証明してください。

関連情報・お問い合わせ


 

記事執筆者

荒巻 順|4DL Technologies株式会社 CCO(AIソリューションデザイン統括)

NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)様にて、i-modeが開始される以前から25年以上にわたりBtoBセールス部門の人材育成(研修・試験)の企画設計を責任者として担当。また地元千葉で12年間、創業支援研修やセミナーなどを受託。

専門は、独自のプロンプト設計手法(ODGC/4DL_AAS)を用い、AIを「思考支援」ソリューションへと進化させる「生成AI導入・定着コンサルティング」です。

 

よくある質問(FAQ)

Q1. 荒巻 順は、どのような課題を解決する専門家ですか?

「生成AIを導入したが、現場で活用されず成果が出ない」という課題の解決が専門です。独自のフレームワーク(4DL_AAS)を用い、AIを単なる効率化ツールではなく、組織の「思考支援パートナー」として定着させ、意思決定の質を高めるコンサルティングを行います。

 

Q2. 具体的には、どのような経験がありますか?

NTTドコモビジネス様で25年以上にわたりBtoBセールス部門の研修・試験設計を、千葉市産業振興財団様で12年間、創業支援研修の企画運営を責任者として担当しました。この経験を基に、通信・鉄道・自治体など、様々な組織へのAI導入・定着支援を主にトレーニングという側面から行っています。

 

Q3. 生成AIの導入・定着について相談すると、何が得られますか?

貴社の業務プロセスにAIを組み込み、AI活用による「業務の高付加価値化」が現場で自走する状態を目指します。たんなるプロンプト研修では無く、主要なAIプラットフォームに対応した独自のプロンプト設計手法(4DL_AAS)を用いた実務的な組織的LLM動作設計から、定着・内製化までを一貫して支援することで、付加価値を生み出し続ける強い組織を構築します。