取り扱う商品やサービスを提案するとき、性能や機能面には自信があるのに、最終的には価格比較で負けてしまう――そんな経験はありませんか。
提案内容が顧客の本質的な課題を解決していても、「投資に見合う価値」を示せなければ振り回されるケースも少なくありません。
みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。
目次
- 1.法人営業として見積り勝負から抜け出すための努力をしよう
- 2.「高いけどあなたの提案を採用します」と言われるための工夫
- 3.導入メリットを伝えるためのお客様からヒアリングすべきこと
- 4.導入メリット「投資する費用に対してどのくらい収益効果がでるのか」の計算方法
- 5.まとめ
1.法人営業として見積り勝負から抜け出すための努力をしよう
- 付加価値を明確にする
- 価格以外の判断基準を提示
- お客様の「なぜ」を探る
提案活動においてライバルとの差が価格だけに限られてしまうと、どうしても“見積り勝負”という厳しい土俵に立たされます。
ここで重要なのは、単なるモノ売りではなく、コンサルティングセールスの視点を持つことです。つまり、お客様の真の課題とその背景を探り、具体的な価値を創造して示すという姿勢を貫くことが肝要になります。
たとえばICTソリューションの場合、「生産性向上」や「運用コスト削減」だけでなく、どのように利益を拡大するのかを可視化してあげると差別化につながります。
また、価格一辺倒になりがちな原因のひとつは、お客様側に「費用対効果がわからない」という不安があるからです。
そこでヒアリングを通じて、なぜ投資が必要なのか、投資によってどのような業務効果を期待しているのかを把握することが欠かせません。時間短縮や手間の削減だけでなく、その先にある「売上アップ」や「顧客満足度向上」など、企業のビジネス目標に直結する部分を可視化する努力が求められます。
こうした付加価値を明確に示すことは、営業自身にも大きなメリットをもたらします。
価格だけで比較されず、提案の“本質”で勝負できるようになるからです。特にBtoBセールスの場合、最終決裁は複数のステークホルダーが絡むため、その場しのぎの値引き戦略では限界があります。
価格以外の判断基準をお客様に“自然に”提示できるよう、まずは自分自身が価値を再確認し、お客様が求める理由をじっくり聞き取ることから始めましょう。
2.「高いけどあなたの提案を採用します」と言われるための工夫
- 投資の意義を明確化する
- お客様のゴールを共有する
- 実績やエビデンスを示す
「価格は他社より高めだけど、これこそが求めていたソリューションだ」と言ってもらえるためには、その投資がもたらす成果を具体的かつ説得力のある形で示す必要があります。
たとえば「導入により平均作業時間を1日あたり2時間短縮できる見込みがあり、結果として年間○百万円の人件費削減につながります」という定量的な数字です。
このように数値化するためには、お客様のビジネスや業務プロセスに関する情報を細かくヒアリングし、費用だけでなく運用体制や必要なリソースの変化なども洗い出す姿勢が欠かせません。
その際に大切なのは、お客様が最終的にどのような成果を目指しているのかというゴールを共有することです。
業務効率化だけでなく、コスト削減や売上向上、ブランド力強化など、企業が求める効果は多岐にわたります。たとえば「この投資によって新商品開発に専念できる時間を捻出できる」「販売後のサポート工数を削減し、顧客満足度を高める準備に注力できる」など、得られるメリットを“数字だけではない価値”として提案するのも有効です。
さらにお客様は、具体的な成功事例や第三者のエビデンスを持って投資価値を確信します。
たとえば過去の導入事例や既存ユーザーの声を提示することで、「この導入は確かに効果があった」という安心感を提供できます。
最終的にはお客様自身が上司や関連部署を説得しやすくなる材料を準備してあげることが、法人営業におけるコンサルティングスキルの真骨頂です。価格比較で勝つのではなく、「高くても必要な理由がある」提案こそが、付加価値を求める顧客の心をつかむ鍵になります。
3.導入メリットを伝えるためのお客様からヒアリングすべきこと
- 現行業務の全体像を把握
- コスト構造を明らかにする
- 経営陣が重視する指標を聞く
お客様のビジネス環境や業務プロセスを正しく理解するためには、単に「現場の困りごと」を聞くだけでは不十分です。
まず現行業務の流れをざっくりとでも把握し、それぞれの工程にどれだけの時間とコストがかかっているのかを洗い出しておく必要があります。
特に、業務時間や担当者数、外注費やソフトウェアのライセンス費用など、日常のルーティンや見落とされがちな経費まで詳細にヒアリングすることが、費用対効果の試算を行う上で極めて重要です。
次にコスト構造を明確にするためには、どこにどれだけの固定費・変動費が発生しているかを尋ねましょう。
たとえば「この業務フローでは、どの部門が担当し、外注や派遣は使っていますか?」「経理処理や請求処理に要している時間はどのくらいですか?」などと掘り下げていくと、潜在的な無駄や改善ポイントが見えてきます。
この段階で、お客様の内部コストや人件費の話に踏み込むのを遠慮してしまう営業担当者もいますが、それを避けると肝心の費用対効果が算出できません。
コスト面の話を“赤裸々に教えていただく”ためにも、最初の商談から「投資効果をきちんと示したいので、必要な情報を共有いただきたい」とお客様に理解と協力を求める姿勢が大切です。
最後に、経営陣が重視するKPIや判断指標をしっかり聞き出しておくこともポイントです。
コスト削減だけでなく、「売上増加」「品質向上」「顧客満足度アップ」など経営層が見ている数字や評価軸が何かを把握できれば、提案内容をその指標と直接結び付けることが可能になります。
たとえば「製造ラインのダウンタイムを年100時間削減できれば、追加で新製品の試作数を増やせるので売上増が期待できる」といった具合に、具体的なシナリオと数字が示せれば説得力は格段に高まります。
そうした説得材料を揃えるためにも、最初から踏み込んだヒアリングを行うことが、付加価値をしっかり提示するための鍵になるのです。
4.導入メリット「投資する費用に対してどのくらい収益効果がでるのか」の計算方法
- 時間短縮を金額化する
- 売上増のシナリオを描く
- シミュレーションを可視化
いざ導入メリットを具体的な数字で示すには、まず時間短縮効果を金額として換算する方法が基本です。
たとえば「1日あたり1時間の手作業削減×従業員5名×時給2,000円」といった形で計算し、月単位や年単位の削減額を算出します。
これだけでも「導入によって年間○万円のコスト削減が見込める」という説得材料になりますが、さらに「削減できた時間を新たな仕事に活用することで、追加売上がどのくらい生まれるのか」という視点を加えることで、より高い投資対効果をアピールできます。
売上増のシナリオを描く場合は、お客様の事業モデルに寄り添った数字が必須です。
たとえば「外注コストを抑えられた分、自社プロダクトの改良開発に注力できるので、新商品のリリースが早まり、年間売上を2%上乗せできる見込み」といった具体例を示すと、お客様の経営層には響きやすいでしょう。
そのためには、導入後の運用体制を想定し、どのタイミングでメリットが現れるか、どの部署がどのように新たなリソースを使うかなどをシミュレーションして伝えることが重要です。
また、シミュレーション結果をわかりやすく可視化する工夫も欠かせません。グラフやチャートなどを用いて、「導入前」と「導入後」の違いをビジュアルで示すのはもちろん、「もしこの施策をやらなかった場合」の機会損失についても併せて示すと効果的です。
BtoBセールスにおいては、こうしたロジカルな試算と、実際の運用イメージを織り交ぜた説明が、最終的な契約の後押しにつながります。
実際、費用対効果を定量化して提示できる営業担当者は、クライアントに“投資を任せたいパートナー”として認められやすいのです。
5.まとめ
- 投資価値を具体的な数字で示す
- 経営視点と現場視点を両立する
- チームセールスで専門知識を補完する
機能的な提案内容が優れていても、価格だけで比較されてしまうのは「どんな価値をもたらすのか」が見えにくいからです。
お客様の現状を詳細にヒアリングし、改善によるメリットを数字で示しながら、その先にある売上伸張や顧客満足度向上といった効果を具体的にイメージさせることが求められます。
さらに、経営層が重視するKPIを意識したストーリーを描ければ、「高いけれど投資に見合う提案だ」と認識してもらえるでしょう。
そうした価値提案を実現するためには、法人営業とサポートコンサルタントをはじめとするチームセールスの連携が欠かせません。専門家の視点や実績データを積極的に活用しながら、お客様に納得してもらえる費用対効果を導き出すことで、見積勝負に負けないBtoBセールスを実践していきましょう。
とは言え、費用対効果を「お客様が投入する費用」と「提案する商品サービスのコスト(イニシャルとランニング)」を比較して、どのくらいで元が取れるのか。
合わせて、PLやBSに対してどのくらいのインパクトがあるのか。そして、中小企業が一番気にするCFにどう影響するのかを正確に提案するのはなかなか難しいと思います。
BtoBセールスとして、ここまでを現場のセールス中に伝えられる人はなかなかいないと思います。25年間NTTドコモやNTTコミュニケーションズのBtoBセールス部門の育成をやっていたので状況はよく判ります。
営業レベルで伝えるべき費用対効果のロジックは四則演算の世界ですから、理解をするのはさほど難しいむずかしい話しではありません。
しかし、判っている人間(例えば私はエンタープライズ企業にそれができるから生き残っていると思います)からすれば「簡単」であったとしても、知らない人からするととてもハードルは高いと思います。
すこし飛躍した話しに聞こえるかもしれませんが、難しいことは生成AIに任せても良いのではないでしょうか?逆にAIではできない部分、皆さんでないとダメな部分に集中した方が、最終的な営業効率や営業成果は上がると思いませんか?
例えば、企業経営の数字を表す「損益計算書(PL)」「貸借対照表(BS)」「キャッシュフロー計算書(CF)」の仕組みを理解して、その理解に合わせて提案の費用対効果を説明できるようになるのが理想です。
この辺りは、勉強すれば誰でも理解できるレベルの話しですから、時間さえ確保できれば経営者の考える数値的な感覚や表現は判る様になるのは可能です。
しかし、それを自ら基礎を学ぶ時間を取る価値と、生成AIでサクサクと「費用対効果の分析と伝え方の答えを教えてくれる環境」のどちらに価値があると思いますか?
正解は「両方にある」なんですが、今皆さんが営んでいるBtoBセールスとしての本質的な価値はなんなんですか?
お客様に利益と会社の利益を生む。そのためにどこに時間を割きましょうって話しです。生成AIが答えを教えてくれるのは、自分の身にならないというのも判りますが時代がかわっているのを理解することはとても大事ではないでしょうか?
基礎を学ぶことが不要だと言うことを申し上げるつもりは一切ありません。時代が生成AI前提のビジネス環境に変わる中で、「あなたが学ぶべき基礎って何」という意味合いが変わってきたんだろうなと言う気がしています。
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