みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の4DL Technologies株式会社CCO荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。
2024年から2025年にかけ、多くの企業がMicrosoft 365 Copilot(以下、Copilot)を導入しました。ライセンスを配布し、基本的な操作研修を実施した企業も少なくありません。
しかし、2026年現在、多くのDX推進部門や人事担当者の前には、見えない「壁」が立ちはだかっています。
「ライセンスは配ったし、ログインもされている。しかし、現場の業務プロセスが劇的に変わったという話は聞こえてこない。メールの要約や下書き作成といった『便利止まり』で停滞している」
これが、多くの日本企業が直面している実態です。
なぜ、現場は「便利」の先へ進めないのでしょうか。それは「定着」という言葉の定義が、単なる「起動」や「利用率」に留まっているからです。
真の定着とは、AIが単なる道具ではなく、業務プロセスの一環として「不可欠な相棒」になる状態を指します。
しかし、多くの企業では、このゴールに至るための設計図が描けていません。利用率という定量データだけでは、なぜ現場が使いこなせていないのか、何がボトルネックになっているのかという「質の課題」が見えてこないのです。
停滞を感じた企業が次に打つ手は、さらなる「研修の追加」であることが多いようです。
「もっと応用事例を教えれば」「もっとプロンプト集を配れば」という考え方です。しかし、ここに大きな落とし穴があります。研修という「解決策」を投下する前に、解決すべき「課題」が正しく測定されていないのです。
事例A:参加率・利用率は高いのに、成果が出ない
ある企業では、Copilot研修の満足度は高く、ログイン率も維持されていました。しかし、数ヶ月経っても具体的な業務削減効果が見えてきません。詳しく分析すると、社員は「操作」は理解していても、自分の業務を「AIが扱いやすい形に分解する力」や「指示を言語化する力」が不足しており、定着の手前で足踏みしていました。測定なしに操作研修を繰り返しても、この「詰まり」は解消されません。
「物差し(測定基準)がないまま設計図は引けません。AI定着も同じです。」
建築の世界において、物差し(測定基準)がないまま設計図を引くことはあり得ません。
土台の広さも、地盤の固さも分からずに家を建てるようなものです。自社の社員が、現在どの程度の「AIを使いこなす基礎体力」を持っているのか。それらの測定がないままに設計された施策は、どれほど内容が優れていても、現場のニーズと乖離してしまいます。
ここで一度だけ前提を共有させてください。
私たちが2026年に「How to use」から「How to think with」へ舵を切る理由は、正月記事で整理しています。背景を押さえると、今回の“測定=設計入力”の意味が一段深くなります。
▶ 生成AI、「How to use」から「How to think with」へ。2026年、実務へのAI定着を4DLは再設計します
「現在地の把握なしに目指す姿だけを掲げても、施策は空中戦になりがちです。」
現在地という「入力」が欠けているため、施策という「出力」が最適化されないのです。
なぜ、これまでの研修は効果が限定的だったのでしょうか。それは、多くの研修が「ツールの操作方法」や「機能の紹介」に終執していたからです。
「操作方法や機能を教えるだけでは“使える”には近づいても、“定着する”には届きません。」
「定着」のためには、その機能を使って自分の業務プロセスをどう組み替えるかという「業務再設計の視点」が必要です。この視点は、単なる機能説明から自然に生まれるものではありません。
もう一つの大きな課題は、「一律の教育施策」です。DX推進部門としては、効率を考えて全社一律の施策を実施したくなりますが、これには限界があります。
事例B:部署によって反応が真逆(「簡単すぎる」vs「難しすぎる」)
全社一律のCopilot研修を実施したところ、企画部門からは「基礎的すぎて時間がもったいない」と不評を買う一方で、管理部門の一部からは「専門用語が多くてついていけない」と拒絶反応が出ました。これは、組織内のスキル分布を測らずに「平均値」で研修を設計してしまった典型例です。10名程度のサンプルで事前に傾向を掴んでいれば、層別の導線を用意できたはずです。
「同じ会社でも、業務・役割・スキル・業務環境は一様ではありません。前提条件の差異を無視した一律研修は、効果のばらつきを拡大します。」
このミスマッチを解消するためには、まずは組織内の「分布」を可視化しなければなりません。
聴くチカラ研究所(4DL)では、Copilotを使いこなすために必要な力を多角的に定義しています。ここでは、AI時代のDX人材の「5つの測定観点」を例として挙げます。※正式なアセスメントでは6~8のディメンション(評価軸)で設計をします。
複雑業務をタスク/手順に分解し標準化できる能力。
目的・背景・アウトプットを整理して指示できる能力。
日々扱うデータを構造化しAIが扱える形にできる能力。
作る側に回る意欲+心理的安全性。
セキュリティ/誤情報リスク理解+ガイドライン準拠。
※注:上記は一例です。御社の業務・役割・環境に合わせて“測る観点”は設計します。
停滞を打破するためには、まずはスモールスタートでも「正確なデータ」を手にすることが先決です。聴くチカラ研究所では、現在、10名までのチームを対象とした「無料アセスメント」の受付を開始しています。
本アセスメントは個人の選抜ではなく、チームの傾向(分布)を把握し、定着施策の設計入力を揃えることを目的としています。もし御社でも停滞感があるなら、まずは現在地を点検してください。
「Copilot定着を“施策の寄せ集め”にしないために、最初に揃えるべきは測定です。」
Copilot定着を「現場の努力不足」のせいにしても、状況は改善しません。定着を阻む真の理由は、設計の入力となる「前提条件の未測定」にあります。次回は、これらの観点を具体的に「どう測るのか」、そのステップについて解説します。
荒巻 順|Jun Aramaki
4DL Technologies株式会社 CCO(AI Solution Design 担当コンサルタント)
生成AIを単なる効率化ツールで終わらせず、AI時代のDX推進におけるCopilot活用や、ChatGPT・Geminiなどの生成プラットフォーム活用の鍵となる「思考支援の仕組み」の実装を通じ、ヒトとチームを高付加価値化へと転換・定着させる専門家。
どこかの組織に属さない独立独歩(Independent)の立場から、一貫して「現場」に立ち続けてきました。NTTドコモビジネスにて25年以上、BtoBセールス部門の研修体系・資格制度を統括. 延べ4万人超の現場に伴走し、「現場の事実が判断軸を育て、判断軸が現場を変える」実務を積み重ねてきた自負があります。
現在は、ITが推し進めてきた「アナログのデジタル化」の先にある、「デジタルのアナログ化(デジタルに血を通わせ、人間に馴染ませる)」という世界線を見据えています。
この考えに共鳴し、理解してくださるお客様との間にこそ「共通の旗」を立て、共に物語を紡いでいくことを大切にしています。
独自の3層アーキテクチャ 4DL-AAS(Protocol/Alignment/Prompt) を設計思想に、AIを“作業の高速化”から“判断軸の高速更新”へと転換。「リーダーを孤独にしない、メンバーを迷子にしない」という心情を胸に、チームがプロアクティブに動き出す「自走状態」を伴走支援しています。
Q1. 荒巻 順は、どのような課題を解決する専門家ですか?
「システムの理屈(デジタルの“角”)が現場のしなやかな営みと衝突し、活用が停滞している」という課題を解消します。独自の4DL-AASを用い、AIを効率化ツールではなく、チームの意思決定としなやかな行動を支える「思考支援のパートナー」として実装・定着させます。
Q2. 一般的なプロンプト研修やAIコンサルとは何が違うのですか?
単なる「操作」や「効率化」ではなく、チームの「判断軸」をAIに同期させる設計を行います。鉄工所の職人が図面を読み解くように、リーダーのビジョンを現場が動ける言葉(プロンプト)に翻訳し、データドリブンの先にある「文脈を大切にする経営」を具現化します。
Q3. 具体的にどのような実績や経験がありますか?
25年以上にわたり、国内最大級のBtoBセールス部門(延べ4万人超)の育成・資格制度をゼロから設計・運用してきました。この大規模なチームでの「現場実装の泥臭い経験」と、Independent(独立独歩)として磨いてきた、本質を捉える鋭い洞察力を活かし、インフラ企業や自治体等のAI内製化を支援しています。
Q4. 具体的にどのようなフェーズで相談すればよいですか?
「導入したが活用が属人化している」定着フェーズはもちろん、活用ルールが形骸化し「免責装置(言い訳)」になっている状態の打破も得意とします。既存の業務プロセスに潜むアナログな知恵を、いかにデジタル(AI)で増幅させるかというグランドデザインから参画可能です。
Q5. 相談することで、チームにはどのような変化が期待できますか?
「リーダーの孤独」と「メンバーの迷子」が解消されます。AIを介して判断と実行のサイクルが高速化(判断軸の高速更新)されることで、変化の激しい非線形な時代においても、現場が自らの意志でしなやかに動き続けられる「自走するチーム」へと進化します。