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〜モノ作り職人のDNAを持つ私たちが、エンタープライズに「定着の本質」を実装する理由〜

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新年のご挨拶:AI導入の「初期フェーズ」を経て、見えてきた「手探り」と「停滞」

新年明けましておめでとうございます。

4DL Technologies株式会社 Solution Design with AI Technology(SDA)部門の荒巻順です。

本年も4DLへのご愛顧、聴くチカラ研究所へのご訪問をお待ちしています。

さて、2025年を振り返ると日本のエンタープライズ企業における生成AI活用は、環境整備やアカウント配布といった「最初の一歩」を大きく踏み出した企業が増えた——これが率直な印象です。

一方で、その先の「業務への定着」は、まだ正解のない手探りの最中ではないでしょうか。

ここで、皆さんに一つ問いかけから入らせてください。20世紀最高の物理学者であるアインシュタインのこの言葉をご存じですか。

「同じことを繰り返しながら、違う結果を望むこと、それを狂気という。」

生成AIを“組織の力”として定着させる——その育成という営みを考えるとき、これほど刺さる言葉はなかなかありません。

DX推進部門が主導して研修を契約し、社内を巻き込み周知を強め、活用事例を集める。もちろん必要な取り組みです。

しかし、それでも結果が変わらないとしたら、努力が足りないのではなく、やり方(定着手法の設計)が違うのかもしれません。

新年早々恐縮ですが、あえて、みなさんへ冷静に問います。

導入の手探りを重ねたこの一年で、“現場の仕事のやり方”はどれだけ変わったでしょうか。

多くの現場から聞こえてくるのは、「結局、ちょっと便利な検索ツールになっただけ」「PoC(実証実験)疲れで現場が冷めている」といった、停滞の声です。

世界が生成AIで産業構造そのものを変えようとしている今、この多くに蔓延る“便利止まり”は、日本企業の本来持っているであろう付加価値がじわじわと削がれていく状況と私は感じています。

私自身は、かつて油にまみれて職人たちと働いた鉄工所の3代目です。

そして4DLを率いる代表の荒巻智隼は、その血を引く4代目。扱う素材が「鉄」から「AI」に変わっただけで、「モノづくり」への情熱と職人魂は、世代を超えて4DLの根底に流れています。

良い道具は、使い手の技能や志と噛み合って初めて、世の中にない価値を生み出します。だからこそ、「道具(AI)だけ渡して終わり」という状況を、職人頭の端くれとして看過できません。

2026年、私たちは従来の研修メニューの充実だけではなく、「研修実施内容」の前に調べるべき効果を最大化するための“前提条件”の重要性を訴えていきたいと思います。

生成AIを真にビジネスの血肉とするための「定着の本質」に、泥臭くかつロジカルに挑む一年にします。

 



 

2025年の悔恨:「道具」だけ渡しても、現場は変わらなかった

 

2025年、私たちは通信や鉄道というインフラ系を中心としたエンタープライズ企業様と共に走り続けました。また、国の外郭機関や地方公共団体とのおつき合いも始まり、B to Gビジネスへの展開も始まりました。感謝のみです。

4DLはテクノロジーオリエンテッドなスタートアップとして、生成AIのモデルが更新されるたびに徹夜でシステムを作り直し、休みなしで検証を続ける——そしてAIソリューション商談特有のリードタイムの長さから生まれる、資金繰りに苦労しながら、そんな「産みの苦しみ」「お客様との試行錯誤」を楽しむ一年でした。

また、良い意味で2025年は「私たちにとって痛い学び」も味わった年でもありました。

いくつかの企業様での出来事です。

私たちが手掛けたAIエージェントの開発案件は現場で高く評価され、部署決裁権者の方からも「これは使える」と太鼓判をいただきました。

しかし、いざ全社導入という段になり、プロジェクトは止まりました。

「MS365 Copilotと何が違うのか?」
「自分たちでも作れるのではないか?」
「もっと簡単なパッケージでいいのではないか?」

社内政治や、AIリテラシーの壁、そして(もしかして)「変化」への抵抗。

私たちは痛感しました。

「どんなに高機能なAIエージェント(道具)」を作っても、それを使う人間や組織の「思考OS」がアップデートされていなければ、技術は棚上げされ、現場には届かないのだと。

道具を進化させるだけでは不十分でした。それを受け入れる「土台」がなければ、何も始まらないのです。

 

確信:加速する2026年だからこそ、ANT(トレーニング)は「前提条件」を整える

 

あの悔しさから、私たちは創業以来のミッション「ヒトとチームにReskillingを」という4DLの原点である「人と組織の育成」の重要性に、改めて立ち返りました。

高度なAIエージェントを導入する前に、まずは「ヒト(現場での利用者)」と「チーム(組織)」のリテラシー+αという土台を作らなければならない。

そこで私たちが改めて取り出したのは、ANTシリーズのカスタマイズ要求において、常にお客様との議論の軸にしてきた4DLの人材育成の公式です。

研修成果(目指すべき姿)= 前提条件 × 学習内容(教材など)

 

目指すべき姿(ゴール)は、エンタープライズ企業のお客様の中に、しばしば「暗黙の正解(もしくは仮説)」として設定が存在しています。

しかし、その多くは人材像として正確詳細に言語化されていなかったり、旧来のDX人材像の延長線に止まっていたりするのが実情です。

私たち4DL Technologies株式会社の役割は、そのぼんやりとしたゴールを「生成AI時代のDX環境で自走できる人材」としてお客様と伴走することで鮮明に再定義し、そこへ至るための『学習内容(カリキュラムや教材・課題)』を設計すること。

これが本来の私たち4DL Technologies株式会社の特徴である《テクノロジーとビジネスの両視点からアプローチ》できる本丸と再認識しました。

しかし、一般にあるAIトレーニングでありがちな「一般論としてのゴールと学習内容」を決めるだけでは、AI定着プロジェクトは多くの場合つまづくことも事実です。

理由は簡単です。生成AIというツールは今までのデジタル系のツールの延長線上に無いからです。

さて、前述公式のもう一つの変数である『前提条件』が抜け落ちていると、どんなに良い教材やカリキュラムを投入しても機能ません。

研修の成否は、教材や講師の質や腕前以前に、この「前提条件が定数化(固定)されているか」で決まります。

ここで言う「前提条件」とは、育成対象となる人と組織の「スキルセット」「マインドセット」、PCスペックや権限などの「業務・受講環境」、そして経営層からの「ビジョンや戦略」そのものを指します。

これらがバラバラな状態では、AI定着の育成設計図は引けません。

「サイズを測らずにスーツを買い、合わないのはスーツのせいだ」と嘆くようなことが、今の日本のDX現場ではテクノロジーの焦点が生成AIにうつりつつある中で、安易な研修プログラムの選択がおこわなわれている気がしてなりません。

だから私たちは、AI定着させるための研修は「買うもの(売るもの)」ではなく「設計するもの」だと捉え直します。

2026年の4DLは、お客様現場で形式知化されていない「前提条件の定数化」から始め、学習内容を組み立て、現場で回るところまでを一連の設計として泥臭くお客様と一緒にやり切ります。

そしてもう一つ、決定的に足りない視点があります。

それは生成AIの「使い方(How to use)」ばかりを追い求め、「AIと共にどう考えるか(How to think with)」が忘れられていることです。

2025年は、この課題に立ち向かうための「ANTシリーズ」のラインナップ(B0/B1/B2)が完成しました。

そして4DLの価値を理解して下さったそれぞれの企業にカスタマイズされ、現場実装が始まった記念すべき年でもありました。

 

  • ANT-B0(思考体験): まだ事例の少ないAI技術で何ができるのかを誰でも簡単に体験し、単なる作業効率化を超えて、自身の業務に新たな付加価値を生み出せるポテンシャルに気づく。

  • ANT-B1(構造設計): ANT-B0にも含まれる4DL-AASを活用し、創造性と規律性を両立並列させるエンタープライズ対応のプロンプト設計を、非エンジニアが学ぶ。

  • ANT-B2(自走開発): DifyやCopilot Studioといったノーコードツールを駆使し、ANT-B1で学んだプロンプトデザイン(図面)を自らの手で実装。非エンジニアが自分の業務アプリを自分で開発し、自走運用する力を手に入れる。

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この3つの階段が揃ったことで、初めて「定着」への道筋が具体的になり、その結果、多くの新しいエンタープライズ企業様との間で、具体的な商談や導入プロジェクトが動き出しています。※ANT-B3は完全社内自走化への最終段階として開発中です。

ANTシリーズを通じて、現場で戦う非エンジニアひとりひとりの思考を「Update(アップデート)」し、AI時代にプロアクティブな人材へと変革する。

その個人の変化が連鎖し、結果として組織全体が生成AI時代のDX推進へとシフトアップしていくことこそが、2026年4DL Technologies株式会社 Solution Design with AI Technology (SDA)部門の使命と考えています。

 

2026年の宣言:SDA部門が目指す4つの突破点

 

2026年の4DL Technologies株式会社 SDA部門は方針を以下に考えています。

私たちは単なる「AIツール屋」でも、通り一遍の「研修屋」でもありません。

お客様がAI人材の目指すべき姿を実現するために「前提条件」を測定の上で定数化し、現場の非エンジニアに確実に定着する仕組みを設計するパートナーとして、以下の4つを成し遂げます。

① 「理想は高く、入口は低く」。DX推進部門との共闘体制を拡大

2025年、私たちはビジョナリーな先行企業の皆様と共に、4DLのコンセプトが現場で機能することを証明しました。2026年は、その成功モデルを次のステージへ広げます。

目指すのは、キャズムを超えようとするエンタープライズ企業のDX推進部門様を、新たにお客様として3社以上お迎えすることです。

「理想は高く、入口は低く」を徹底します。“軽く始めたい”現場には標準化された最短ルートを、“本気で変えたい”現場には深い伴走を。

先行事例で磨き上げた「定着の型」を提供し、共に組織を変えるキーマンとの共闘体制を築きます。

 

② 再現性と保守性を担保する「設計思想(4DL-AAS)」の研鑽

私たちのコア技術は、単なるプロンプトやモデル選定ではありません。

OpenAI、Google、Anthropicといった巨人の進化に即座に対応しながら、常に業務での「再現性」と将来にわたる「保守性」を担保する強固な設計思想です。

モデルが変われば、最適解も変わる。この激流の中で、お客様の業務品質を揺るがせないための「裏側の設計」こそが、SDA部門の技術的生命線です。

 

③ 「How to use(時短)」を超え、「How to think with(思考支援)」へ

世の中には「2時間の作業を10分にする(How to use)」ためのAIエージェントが溢れています。

しかし、私たちがDifyやCopilot Studioで開発するのは、そこから次元の異なるものです。

私たちが目指すのは「2時間の仕事で、1ヶ月分のアウトプットを生み出す(How to think with)」こと。

単なる時短ではなく、人間の思考を拡張し、付加価値を劇的に高める「思考支援型」のAIエージェントこそが、企業の競争力を決定づけます。

4DL Technologies株式会社は、生成AIを「使う道具」から「共に考えるパートナー」へと昇華させる原動力になります。

 

④ 令和7年千葉市トライアル発注制度認定取得を武器に更に多くのお客様へのAI定着へ

2025年の大きな成果である「千葉市トライアル発注制度」の認定取得。

今和7年度千葉市トライアル発注制度認定証

この信頼をパスポートに、私たちの主力サービスである《ANTシリーズ(B1/B2)》への入り口として、気軽に「思考支援(How to Think With)」を体験できるワークショップ型トレーニング「ANT-B0」を中心に、広く社会へ展開します。

エンタープライズ企業はもちろん、地域を支える中小企業、そして行政機関まで、組織の規模や業種業態を問わず「誰ひとり取り残さない生成AIの流れへの定着」を実現していきます。

 

結び:まずは「現在地」を知ることから

 

このブログをお読みいただいているエンタープライズ企業のDX推進部門の担当者様へ。※もしくはMS365 Resellerの営業担当者様へ

もしあなたの会社の生成AI活用が「なんか停滞している(まだ伸びしろがある)」と感じるなら、それは生成AIのせいではなく、人材育成の「前提条件」のボタンの掛け違い、あるいは「使い方(How to use)」への過度な固執かもしれません。

今回、その「掛け違い」を5分で点検できる 4DLオリジナルの「AI人材育成 設計アセスメント」をご用意しました。

DX推進部門として御社社員の皆様が、生成AIを「自走的に」使えているか——8つの観点で可視化する無料診断ツールです。

いきなり「ANTシリーズ(トレーニングサービス)を買ってください」とセールスをかけるつもりはありません。

”AI人材育成 設計アセスメント”は、元鉄工所の3代目と4代目が皆様にお渡しする「AIを自走的に定着させる人材育成に焦点を当てた図面を描く物差し」のようなものです。

部屋の大きさを測らずに家具を買う人はいません。体重計に乗らずにダイエットは始められません。そう思いませんか?

目指す場所に行きたいなら、まず「現在地」を正確に知ること。4DLのAI人材育成 設計アセスメントは、その第一歩です。

▼ AI人材育成 設計アセスメント(10名まで無料)
[無料アセスメントのお申込みはこちら ]

※DX推進ご担当者様のチーム(10名まで)で無料診断いただけます

※「これ、うちの社内全体(もしくは部門単位)にも受けさせたい」と思われたら、有料版アセスメント(100名様までで50,000円(税別))も準備させていただいています。ぜひ、無料版を体験いただき、AI人材の育成の設計の見直しをしたくなったときにはお声がけください。

※アセスメント(無料/有料とも)では受信者個人を特定する情報は4DLではお預かりしない仕組みですのでご安心下さい。個人レポートや部署レポートが、受信者誰のものなのかはお客様自身が社内で突き合わせをしていただきます。

提供レベル アセスメントで判ること
無料版 診断(現在地+課題特定)
有料版 処方箋(現在地+課題特定+解決策の基本設計)

2026年も、4DL Technologies株式会社は、テクノロジーへの愛着と、現場へのリスペクトを持って、あなたの会社の生成AIでのビジネス変革を「定着」まで見届けます。

本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。


関連情報・お問い合わせ

 

記事執筆者

 

記事執筆者

荒巻 順|Jun Aramaki
4DL Technologies株式会社 CCO(AI Solution Design 担当コンサルタント)

CCO

生成AIを単なる効率化ツールで終わらせず、AI時代のDX推進におけるCopilot活用や、ChatGPT・Geminiなどの生成プラットフォーム活用の鍵となる「思考支援の仕組み」の実装を通じ、ヒトとチームを高付加価値化へと転換・定着させる専門家。

どこかの組織に属さない独立独歩(Independent)の立場から、一貫して「現場」に立ち続けてきました。NTTドコモビジネスにて25年以上、BtoBセールス部門の研修体系・資格制度を統括. 延べ4万人超の現場に伴走し、「現場の事実が判断軸を育て、判断軸が現場を変える」実務を積み重ねてきた自負があります。

現在は、ITが推し進めてきた「アナログのデジタル化」の先にある、「デジタルのアナログ化(デジタルに血を通わせ、人間に馴染ませる)」という世界線を見据えています。

この考えに共鳴し、理解してくださるお客様との間にこそ「共通の旗」を立て、共に物語を紡いでいくことを大切にしています。

独自の3層アーキテクチャ 4DL-AAS(Protocol/Alignment/Prompt) を設計思想に、AIを“作業の高速化”から“判断軸の高速更新”へと転換。「リーダーを孤独にしない、メンバーを迷子にしない」という心情を胸に、チームがプロアクティブに動き出す「自走状態」を伴走支援しています。

 

よくある質問(FAQ)

Q1. 荒巻 順は、どのような課題を解決する専門家ですか?

「システムの理屈(デジタルの“角”)が現場のしなやかな営みと衝突し、活用が停滞している」という課題を解消します。独自の4DL-AASを用い、AIを効率化ツールではなく、チームの意思決定としなやかな行動を支える「思考支援のパートナー」として実装・定着させます。

Q2. 一般的なプロンプト研修やAIコンサルとは何が違うのですか?

単なる「操作」や「効率化」ではなく、チームの「判断軸」をAIに同期させる設計を行います。鉄工所の職人が図面を読み解くように、リーダーのビジョンを現場が動ける言葉(プロンプト)に翻訳し、データドリブンの先にある「文脈を大切にする経営」を具現化します。

Q3. 具体的にどのような実績や経験がありますか?

25年以上にわたり、国内最大級のBtoBセールス部門(延べ4万人超)の育成・資格制度をゼロから設計・運用してきました。この大規模なチームでの「現場実装の泥臭い経験」と、Independent(独立独歩)として磨いてきた、本質を捉える鋭い洞察力を活かし、インフラ企業や自治体等のAI内製化を支援しています。

Q4. 具体的にどのようなフェーズで相談すればよいですか?

「導入したが活用が属人化している」定着フェーズはもちろん、活用ルールが形骸化し「免責装置(言い訳)」になっている状態の打破も得意とします。既存の業務プロセスに潜むアナログな知恵を、いかにデジタル(AI)で増幅させるかというグランドデザインから参画可能です。

Q5. 相談することで、チームにはどのような変化が期待できますか?

「リーダーの孤独」と「メンバーの迷子」が解消されます。AIを介して判断と実行のサイクルが高速化(判断軸の高速更新)されることで、変化の激しい非線形な時代においても、現場が自らの意志でしなやかに動き続けられる「自走するチーム」へと進化します。