「Copilotにどう話しかければ、良い答えが返ってきますか?」
最近、あちこちのDX推進の現場で耳にする質問ですが、私はいつもこうお伝えするようにしています。
「それは非常に大切な視点ですが、少しだけ問いの角度を変えてみませんか。あなたはAIと人間の関わりにきっちり『折り目』をつけた、実務的なシステムプロンプトの設計ができていますか?」と。
みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の4DL Technologies株式会社CCO荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。
私はエンジニアではありません。64歳にもなって、プログラミングのコードが一行も書けるわけでもありません。
しかし、組織という生き物がどういう時に腐り、どういう時に決断を誤るかという本質だけは、嫌というほど見てきました。
今、世の中でAI導入とAIでの業務改革を促進する中で「プロンプト設計」と呼ばれているものの多くは、残念ながらAIへの「お願いの作法」に留まっています。
ですが、ビジネスの現場で本当に必要なのは、文章の飾り立てではありません。
AIを単なる検索や資料整形用のチャット相手から、組織の意志を間違いなく執行する「AIエージェント(実務の代理人)」へと進化させるための、「任せ方の設計(=委任設計)」なのです。
多くの企業がDX推進の切り札としてMS365 Copilotを導入しています。
しかし、その実態はどうでしょうか。メールの要約、議事録の整形、せいぜい検索の代わり……。これでは、数千万円、数億円の投資が「少し便利な文房具」を買っただけで終わってしまいます。
なぜ、そうなってしまうのか。それは、多くのリーダーがAIを「便利な検索窓」としか見ておらず、自律的に動く「AIエージェント」としての権限を、自らの手で縛っているからです。
あなたの会社の会議室を、少し思い出してみてください。
「念のため、もう少し根拠を集めておこう」
「法務とコンプラにも確認を回してからだ」
「前例はどうなっている?」
「反対は出ないが、誰も前に進める決断をしない」
こうした「アリバイ作り」が染み付いた組織でAIを使おうとすると、恐ろしいことが起こります。AIは驚くほど精緻に、あなたの会社の空気を読み取るのです。
そして、「この組織では、波風を立てず、何もしない(事なかれ主義)のが一番安全だ」というロジックを最適解として学習してしまいます。
結果、AIが吐き出すのは、どこかで見たような、当たり障りのない「真ん中の案」ばかり。
プロンプト設計とは、AIに上手な文章を書かせる魔法ではありません。
「AIエージェントという代理人に、何を実現するために、どの範囲の予算で、どの条件を満たせば、独断で進めてよいか」という職務規定(ガバナンス)を、システムプロンプトとして実装することなのです。
AIエージェントを組織の「参謀」に変えるには、AIができることと、人間にしかできないことの間に、明確な「折り目」をつけなければなりません。
ここが曖昧なままでは、責任の所在が霧散し、ただ混乱が広がるだけです。
AIが得意なのは「条件の照合」です。人間が決めたルール(4DL-AAS)に対し、膨大なデータが合致しているか、矛盾はないか、不足はないかをミリ秒単位でチェックする。いわば、極めて精緻で高速な「仕分け」の執行です。
AIがどれだけ精緻に仕分けをしても、最後には必ず「不確実な要素(Unknowns)」が残ります。その不確実性を飲み込み、「よし、行け」と判を押す。その結果に全責任を持つ。これが、人間にしかできない「意志」の領域です。
AIに「作業的な仕分け」という重荷を預けることで、人間は「責任ある意志決定」という、本来のリーダーシップにエネルギーを注げる環境を取り戻すことができる。
これが、4DLが描くAI活用の理想像です。
日本企業の意思決定が遅い最大の要因は、個人の能力不足ではなく「失敗への恐怖」にあります。
「失敗したら島流し」という組織文化が、マネジメント層に過剰なまでの根拠集めを強いています。
その結果起きているのは、あちこちの顔色をうかがい、様々な懸念事項をすべて盛り込んだことで、肝心の「切れ味」が失われてしまった「安全な真ん中の選択」です。
この「現状維持こそが最大のリスクヘッジ」という中庸の罠こそが、組織を硬直させる「判断のボトルネック」の正体なのです。
このボトルネックを突き破るには、マネジメントの役割を抜本的に転換させる必要があります。
1、「あら探し」から「ロジックの設計者」へ
部下やAIが出してきた成果物の「誤字脱字」や「細かい体裁」をチェックする時間はもう終わりです。マネジメントの真の仕事は、AIが迷わず走れるための「規約(プロトコル)」を設計することです。
2、「調整役」から「リスクを取る指揮官」へ
細かなデータの裏取りはAIに任せ、自分は「この条件を満たしているなら、俺が責任を持つから進めろ」と言い切る。その意志の発露こそが、組織にアクティブな判断を蘇らせます。
4. 意思決定OS「4DL-AAS」の三層設計基準
この新しいマネジメントの形を具体的にAIエージェントに実装するのが、4DL-AASの三層構造でのシステムプロンプト設計手法です。
① Protocol(判断基準の設計)── 組織の「魂」を実装する
組織としての「美学」や「規律」を定義する、最上位の憲法です。AIが自律的に動く際の「人格」を決定します。
設計のポイント:
上位の思想を、現実の予算やリソースに照らして調整する層です。ここで「どこまでなら任せてよいか」の境界線を引きます。
設計のポイント:
AIエージェントが実務を完遂するための、システム間インターフェースです。
設計のポイント:
「この仮説で全速力で走る。だが、もし利益率が〇%を下回ったら、あるいは品質エラーが閾値を超えたら、即座にこの工程まで戻れ」
私がビジネスを展開する中でリスクを取り「裏に道あり」と攻める時、それはけっして無謀な賭けをしているわけではありません。
プロンプトの中に、最初から強力な「撤退条件(Kill Criteria)」を仕込んでいるのです。
これを事前にAIに命令しておく。
リスクを取って「任せる」とは、丸投げすることではありません。万が一の際の「可逆性(元に戻せること)」を緻密に設計しておくことなのです。
ルールに従い、証跡が残された上での失敗は「正当な挑戦」として組織が飲み込む。この仕組みこそが、リーダーを「島流しの恐怖」から解放し、大胆な一歩を踏み出させるのです。
AIエージェントの時代、必要とされるのは「プロンプトライター(話し上手な人)」ではありません。
「他社に遅れない」ための受動的なAI活用はもうやめましょう。それは中庸という名の死へ続く道でしかありません。
今求められているのは、組織のボトルネックを見抜き、AIエージェントという新しい力に「任せるリスク」を能動的に設計できる人間です。
AIを使って何を実現し、どんなリスクを負うか。その「アクティブな判断」を設計図(プロンプト)へと落とし込むこと。
それこそが、4DL Technologiesが提唱する、真のプロンプト設計なのです。
・ANT-DXA(DXアセスメント)
あなたの組織の「判断の詰まり」はどこにあるのか。まずは真因を可視化することから始めましょう。
測定結果に基づいて育成と促進を設計する
荒巻 順|Jun Aramaki
4DL Technologies株式会社 CCO(AI Solution Design 担当コンサルタント)
生成AIを単なる効率化ツールで終わらせず、AI時代のDX推進におけるCopilot活用や、ChatGPT・Geminiなどの生成プラットフォーム活用の鍵となる「思考支援の仕組み」の実装を通じ、ヒトとチームを高付加価値化へと転換・定着させる専門家。
どこかの組織に属さない独立独歩(Independent)の立場から、一貫して「現場」に立ち続けてきました。NTTドコモビジネスにて25年以上、BtoBセールス部門の研修体系・資格制度を統括. 延べ4万人超の現場に伴走し、「現場の事実が判断軸を育て、判断軸が現場を変える」実務を積み重ねてきた自負があります。
現在は、ITが推し進めてきた「アナログのデジタル化」の先にある、「デジタルのアナログ化(デジタルに血を通わせ、人間に馴染ませる)」という世界線を見据えています。
この考えに共鳴し、理解してくださるお客様との間にこそ「共通の旗」を立て、共に物語を紡いでいくことを大切にしています。
独自の3層アーキテクチャ 4DL-AAS(Protocol/Alignment/Prompt) を設計思想に、AIを“作業の高速化”から“判断軸の高速更新”へと転換。「リーダーを孤独にしない、メンバーを迷子にしない」という心情を胸に、チームがプロアクティブに動き出す「自走状態」を伴走支援しています。
Q1. 荒巻 順は、どのような課題を解決する専門家ですか?
「システムの理屈(デジタルの“角”)が現場のしなやかな営みと衝突し、活用が停滞している」という課題を解消します。独自の4DL-AASを用い、AIを効率化ツールではなく、チームの意思決定としなやかな行動を支える「思考支援のパートナー」として実装・定着させます。
Q2. 一般的なプロンプト研修やAIコンサルとは何が違うのですか?
単なる「操作」や「効率化」ではなく、チームの「判断軸」をAIに同期させる設計を行います。鉄工所の職人が図面を読み解くように、リーダーのビジョンを現場が動ける言葉(プロンプト)に翻訳し、データドリブンの先にある「文脈を大切にする経営」を具現化します。
Q3. 具体的にどのような実績や経験がありますか?
25年以上にわたり、国内最大級のBtoBセールス部門(延べ4万人超)の育成・資格制度をゼロから設計・運用してきました。この大規模なチームでの「現場実装の泥臭い経験」と、Independent(独立独歩)として磨いてきた、本質を捉える鋭い洞察力を活かし、インフラ企業や自治体等のAI内製化を支援しています。
Q4. 具体的にどのようなフェーズで相談すればよいですか?
「導入したが活用が属人化している」定着フェーズはもちろん、活用ルールが形骸化し「免責装置(言い訳)」になっている状態の打破も得意とします。既存の業務プロセスに潜むアナログな知恵を、いかにデジタル(AI)で増幅させるかというグランドデザインから参画可能です。
Q5. 相談することで、チームにはどのような変化が期待できますか?
「リーダーの孤独」と「メンバーの迷子」が解消されます。AIを介して判断と実行のサイクルが高速化(判断軸の高速更新)されることで、変化の激しい非線形な時代においても、現場が自らの意志でしなやかに動き続けられる「自走するチーム」へと進化します。