聴くチカラ研究所|4DL Technologies株式会社

BEYOND FORUMで聞いた、3つの「同じ問い」――AIを配った企業が、次にぶつかる壁

作成者: 荒巻順|2026/07/07 1:00:00

みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の4DL Technologies株式会社CCO荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。

先日、5月に「BEYOND FORUM 2026で、DX人材の"現在地"を測るANT-DXAを初公開します」と、このブログでお伝えしました。そして6月9日・10日、東京ビッグサイトでの2日間を終え、今日、その節目をひとつ迎えました。

ANT-DXAが、阪急阪神ホールディングスの中核企業である阪神電気鉄道株式会社 デジタル経営推進室様に採用されたことを、本日プレスリリースで発表したのです。

「初公開します」と書き、出展し、そして採用という形になった。

その一連が一区切りついた今だからこそ、書き残しておきたいことがあります。それは、ブースで2日間立ち続けて、私が一番強く感じたこと――多くの企業が、驚くほど「同じ問い」を抱えてここに来ていた、ということです。

ChatGPTやGemini、Microsoft 365 Copilotといった生成AIが、この1〜2年で一気に企業の現場へ入ってきました。

ライセンスは配られ、研修も実施され、「導入」というフェーズは多くの企業で完了しつつあります。

けれど、その先で立ち止まっている企業が、驚くほど多い。BEYOND FORUMの会場は、その"立ち止まり"がくっきりと見える場所でした。

今日は、その現場で聞いた声を、3つだけ紹介させてください。

目次

 

「AIは入れた。でも、その次がわからない」

最初にご紹介したいのは、ある金融機関の人事部の方との会話です。

 

「生成AIの全社ライセンスは入れました。研修も一通りやりました。でも、"次に何をすればいいのか"が、どうしても見えてこないんです。導入は確かに進んでいる。なのに、人を育てている手応えがない」

この方の言葉には、もう一段深い背景がありました。

金融機関というのは、もともと「量」が利益の源泉です。けれど地域経済が縮んでいくなかで、量を追い続ける戦略そのものに限界が見えてきている。

だからこそ、目の前の稟議書を効率化するような"作業の時短"だけでなく、営業担当者一人ひとりが、もっと顧客の事業に踏み込んでいける人材へと変わっていってほしい。

その変化のきっかけに、AIを使いたい――そういう想いが、言葉の奥にありました。

つまりこの方が本当に困っていたのは、「研修が足りないこと」ではありませんでした。

「これからうちの人材を、どういう方向へ育てればいいのか」という、育成の設計図そのものが描けないことだったのです。

私はこうお伝えしました。「"次に何をすべきか"が見えないのは、研修のメニューが足りないからではないと思います。いま組織のなかに、どんな力を持った人がどこにいるのか――その地図がまだ描けていないからではないでしょうか」と。

ANT-DXAは、その地図を人事向けのレポートとして描きます。誰に追加で投資すべきか、どの層に伸びしろがあるのか。

育成の戦略は、その地図の上に立ったとき、はじめて具体的に描けるようになります。研修の前に、まず現在地を。順番を変えるだけで、見える景色が変わります。

 

「そもそも、どんな人材を育てればいいのかが、決まっていない」

次にご紹介するのは、ある地域行政の現場の方です。具体的な組織は伏せますが、いま全国の自治体が直面している課題が、凝縮されたような相談でした。

 

「人口が減り、税収が減り、職員の数も減っていく。そんななかで、行政だけで地域の経済や文化を支えるのは、もう無理なんです。かといって、補助金を出して民間にお任せ、というやり方にも限界を感じている。これからは、行政の職員自身が、地元や民間ともっと新しい関わり方をしていかなければいけない。AIを使いこなしながら、地域創生の担い手になれる職員を育てたい。でも――そういう職員を、どうやって選べばいいのか。その基準が、そもそも無いんです」

これは、とても本質的な問いでした。

民間であれば、ある程度「ビジネス人材とはこういうもの」という共通像があります。けれど行政には、これまでそうした物差しがありませんでした。

しかも、目指しているのは「前例のない職能像」です。前例がないものを、前例がないまま定義し、そこから人を選び、育てなければならない。この難しさは、想像以上のものだと思います。

ここで気づかされたのは、ANT-DXAの本質的な性格でした。

ANT-DXAは「AI時代のDX人材を測るためのツール」だと思われがちです。

けれど本当は違います。測定する軸そのものを、その組織が目指す人材像から逆算して、オリジナルで設計する仕組みなのです。

だから、測る対象は「DX人材」に限りません。行政が描きたい新しい職員像であっても、その組織が「こうありたい」と願う姿があるなら、それを測る軸を一緒につくるところから始められます。

既製の物差しを当てはめるのではなく、ありたい姿に物差しを合わせる。この柔軟性こそが、ANT-DXAの汎用性の正体なのだと、この相談を通じて私自身が再確認しました。

 

「底上げすら、終わらないんです」

3つめは、ある製造業の人事部の方の声です。これは製造業に限った話ではなく、業界を問わず、人事や人材育成を担う方々から繰り返し聞こえてくる声でもあります。

AIが普及していくなかで、どの業界にも共通して立ち現れてくる課題なのだと思います。

 

「プロンプト研修は、できるだけ実務に近い事例を使って、丁寧にやったつもりです。狙いも、そんなに高くは設定していませんでした。まずは作業の負担が少しでも軽くなれば、それでいいと。なのに――そんな簡単なことですら、利用率にバラつきが出始めているんです。高度な活用を目指す以前に、底上げが終わらない。しかも、その原因がどこにあるのかが、よくわからない」

「高度な定着」の話ではないのです。いちばん低いはずのハードルですら、全員が越えられない。そして打ち手が見えないのは、つまずきの原因が見えていないからでした。

研修の質の問題なのか。業務との接続が悪いのか。それとも、そもそもの向き不向きなのか。原因が切り分けられないまま、「全体の利用率」という平均値だけを眺めていても、答えは出てきません。

私はこうお話ししました。「平均値は、その"バラつき方"を消してしまうんです。本当に見るべきなのは、平均ではなく分布――組織のなかの、どこに偏りが生まれているのか、ではないでしょうか」と。

ANT-DXAの人事向けレポートは、スコアを「分布」として可視化します。

「誰ができていないか」を名指しするためではありません。「どの要因で、どこにつまずきが集まっているのか」を、構造として捉えるためです。原因の所在が見えれば、打つべき手も、打つべき場所も見えてきます。

 

3つの声に、共通していたもの

業種も、立場も、抱えている事情もまるで違う3人のご来訪者でした。けれど、その悩みの根っこは、驚くほど一つの場所に通じていました。

「いま、自分たちがどこにいるのかが、見えていない」

金融機関の方は「次の方向」が見えず、行政の方は「目指す基準」が見えず、製造業の方は「つまずきの原因」が見えていませんでした。形は違いますが、すべては「現在地が見えない」という同じ不安から来ていたのです。

研修が足りないのではありません。測れていないのです。

私たちは、ANT-DXAを設計するとき、ひとつの言葉を軸に置きました。

「診断が先。処方は後」

AIの時代の人材育成は、つい「何を学ばせるか(処方)」から考えてしまいがちです。

けれど、現在地の診断を飛ばした処方は、効くかどうかわからないまま打つ薬と同じです。BEYOND FORUMの2日間は、その順番への渇望が、現場に確かに存在することを教えてくれました。

 

そして、ひとつの答えが形になった

その渇望に、ひとつの具体的な答えが出ました。冒頭でお伝えした、阪神電気鉄道株式会社様への採用です。

詳しくは本日のプレスリリースに譲りますが、ここで強調したいのは「実績ができた」という自慢ではありません。現場で何度も聞いた"現在地を知りたい"という声が、実際の意思決定として形になった、という事実です。

診断から始めるという考え方は、理屈の上の話ではなく、大企業が現実に選ぶ選択肢になりつつある。その手応えを、今回の採用は与えてくれました。

採用の経緯やANT-DXAの導入の詳細については、本日配信したプレスリリースで詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。

▶ プレスリリース「ANT-DXAが阪神電気鉄道株式会社様に採用されました」(PR TIMES)

 

AIを配ることは、もう誰でもできる

BEYOND FORUMの最終日、ブースを去り際に、あるDX推進部門の方がぽつりとこう言いました。

 

「結局うちは、"誰ができていないのか"すら、わかっていなかったんですね」

その一言が、2日間で聞いたすべての声を、言い表していたように思います。

AIを導入すること、ライセンスを配ること、研修を実施すること――それ自体は、もう誰にでもできる時代になりました。

ChatGPTもGeminiもMicrosoft 365 Copilotも、契約すれば明日にでも全社員の手元に届きます。

問われているのは、その先です。配ったあとに、組織の現在地をどう見極め、誰に何を手当てしていくのか。

その設計こそが、これからのDX人材育成の本丸なのだと思います。

地図を広げる前に、まず現在地を。

あなたの組織の"現在地"は、見えているでしょうか。

ANT-DXAは、無料のトライアルでお試しいただけます。自社の地図を描く第一歩として、まずは現在地を測ることから始めてみてください。

▶ ANT-DXA 無料トライアルはこちら

BEYOND FORUM 2026 開催概要

  • イベント名:BEYOND FORUM 2026「第1回 AI時代の人材開発・タレントマネジメント展」
  • 会期:2026年6月9日(火)〜10日(水)
  • 会場:東京ビッグサイト 南展示ホール
  • 主催:Eight(Sansan株式会社)・NewsPicks(株式会社ユーザベース)
  • 同時開催:Climbers X、事業成長のための人材不足解消展、今知るべき大人の教養展
  • 4DL Technologiesは「AI時代の人材開発・タレントマネジメント展」エリアに出展し、DX人材アセスメント「ANT-DXA」を初公開しました。
  • 出展に関するプレスリリース:BEYOND FORUM 2026にてAI時代のDX人材アセスメント「ANT-DXA」を初公開(PR TIMES)

関連情報・お問い合わせ

筆者紹介

荒巻 順|Jun Aramaki

4DL Technologies株式会社 CCO(AI Solution Design 担当コンサルタント)


東京・深川の鉄工所の三代目として、ものづくりの現場を原点に持つ。20歳で家業を承継し、図面、段取り、納期、品質、顧客対応と向き合う中で、「現場の事実から判断軸をつくる」感覚を身につけてきた。

その後、PCサポート業、モバイル業界の顧客接点支援、法人営業部門の人材育成・制度設計を経て、現在は4DL Technologies株式会社で、生成AIを活用した人材育成・組織変革・営業力強化の支援を担当している。

技術者ではない。ただし、技術を「現場で使える状態」に翻訳することを仕事にしてきた。

NTTドコモビジネス関連の法人営業領域では25年以上にわたり、BtoBセールス部門の研修体系、資格認定制度、教材設計、運用支援、効果測定に携わり、延べ40,000人を超える現場の育成支援に伴走してきた。

大企業の内側でキャリアを積んできたわけではない。

深川の鉄工所、中小企業経営、現場支援、法人営業人材育成を経て、組織の外側から日本を代表するエンタープライズ企業の現場と向き合い続けてきた。

組織の作法は、お客様に鍛えられて学んできた。一方で、組織の常識に染まりきったわけではない。

だからこそ、現場にある違和感や前提のズレに対して、「それは本当に正しいのか」「別のやり方はないのか」と問いを立てることを重視している。

エンタープライズ企業の担当者は、多くの場合、自社の問題認識や課題感をすでに持っている。一方で、その見立てが本当に正しいのか、別の捉え方はないのか、組織としてどこまで踏み出せるのかに迷っていることも少なくない。

そのため、商談や設計の場では、あえて反対側の視点や異なる仮説を提示し、発想の幅を広げることを重視している。重要なのは、奇抜な正解を押しつけることではない。組織が受け止められる範囲で視野を広げ、現実的に動ける着地点を共につくることである。

正しいことを言うだけでは、現場は動かない。

どれほど筋の通った設計でも、相手の組織文化や意思決定の作法に翻訳できなければ、定着しない。そのこともまた、現場に教わってきた。

組織とは、人を歯車にするためのものではない。目的・目標・役割・判断基準を揃え、一人ひとりが自分の使命を理解し、自律的に判断しながら全体として動くための構造である。

AI時代において、この組織観はさらに重要になる。

人が自分の使命を忘れ、判断を手放し、与えられた作業だけをこなす存在になった瞬間、その仕事はAIに置き換えられやすくなる。だからこそ、AI活用とは単なる効率化ではなく、人とチームが何を判断し、何を担い、何のために動くのかを問い直す営みである。

鉄工所では、設計図のない仕事は始められない。

AI時代の人材育成も同じである。どんな人材を育てたいのか。何を測るのか。どこにギャップがあるのか。それを定めないまま研修や施策を実施しても、現場は変わらない。

現在は、4DL Technologiesの「ANT-DXA(AI時代のDX人材アセスメント)」を通じて、企業が目指すDX人材像の定義、現状とのギャップ可視化、育成施策への接続を支援している。

また、4DL Technologies独自のLLM駆動アーキテクチャ「4DL-AAS」を設計思想に、Microsoft 365 Copilot、ChatGPT、Gemini、Claude、Dify、Copilot Studioなどの生成AIを、企業の方針・業務文脈・現場判断に接続する支援を行っている。

目指しているのは、AIを使える人を増やすことだけではない。

AIを介して、リーダーを孤独にせず、メンバーを迷子にせず、チームが自ら考え、判断し、動き続ける状態をつくることだ。

・AIを導入したが、現場での活用が広がらない。
・CopilotやChatGPTを入れたものの、使い方が属人化している。
・研修を実施しても、業務変革や組織変化につながっていない。
・DX人材育成を進めたいが、何を測ればよいかわからない。

そうした課題に対し、要件定義から設計、教材開発、運用、効果測定、改善提案まで、企業ごとの文脈に合わせたフルスクラッチ型の支援を行っている。

AIを「便利な道具」で終わらせず、ヒトとチームの判断力・創造力・実行力を高める仕組みに変える。
そのための設計と実装に、現場起点で伴走している。

■4DL Technologies株式会社にご相談いただけるテーマ■
・ANT-DXA(AI時代のDX人材アセスメント)の設計・運用
・AI時代に求められるDX人材像の定義と可視化
・Microsoft 365 Copilot / ChatGPT / Gemini / Claude などの生成AI活用・定着支援
・DX推進部門向けのAI活用人材育成・研修設計
・BtoBセールス部門のAI活用・営業力強化
・生成AIを活用した業務変革・チーム学習・判断支援の設計
・4DL-AASに基づくAIエージェント設計・プロンプト設計支援
・AI導入後の活用状況診断、定着施策、効果測定

「AIを導入したが、現場の変化が見えない」
「DX人材育成を進めたいが、何を測ればよいかわからない」
「研修や施策を始める前に、自社の現在地を可視化したい」
「Copilotや生成AIを、個人の便利ツールではなく組織の実行力につなげたい」
そう感じているDX推進部門・人材育成部門・営業企画部門の方は、ぜひ一度ご相談ください。