チームの成績が伸び悩む、個人の目標達成も危うい… こんな時、あなたは「運が悪いのかな」と諦めていませんか? もしかすると、原因はもっと根本的な、「お客様のビジネスをどれだけ深く理解できているか」にあるのかもしれません。
今日の記事では、その「お客様理解」を一段階深めるためのヒントをお届けします。これを読めば、きっとチームの、そしてあなた自身の「稼ぐ力」を再び加速させるきっかけが見つかるはずですよ。
みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の4DLの荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。
目次
1. お客様を詳しく理解している人ほど営業成績はあがります
- 成績が伸びないのは「お客様理解」不足かも
- 「よく知っている」と「深く理解している」は違う
- お客様の利益に貢献すれば自社の利益も増える
チームの調子がどうもパッとしない…。以前は順調だったのに、最近は成績が目標に届かないことも増えてきた。メンバーもみんな頑張っているんだけど、どこかで歯車が狂っているように感じる…。
地域の中小中堅企業を担当しているリーダーであるあなたなら、こんな悩みを抱えているかもしれませんね。私も以前、似たような経験をしたことがあります。
取引先の総務担当者の方とは顔なじみで、世間話もするし、会社の雰囲気もそれなりに知っているつもりでした。「お客様のことはよく分かっているよ」と自信があったんです。でも、成績に繋がらない。なぜだろうと考えたとき、「よく知っている」と「お客様のビジネスそのものを深く理解している」の間には、大きな隔たりがあることに気づいたんです。
考えてみてください。私たちの仕事は、単に商品やサービスを売ることではありません。
お客様が抱える課題を解決し、そのビジネスに貢献することです。お客様の利益に貢献できればできるほど、私たちの提供する価値は高まり、結果として自社の利益、つまり「粗利」もしっかりと確保できるようになります。
お客様から「他の会社より少し高いけど、あなたにお願いしたい」と言われるのは、まさにこの「付加価値」を認めてもらえた瞬間です。
そのためには、お客様のビジネスの仕組み、どこに課題があり、どこに改善の可能性があるのかを、表面的な情報だけでなく、骨組みから理解する必要があるんです。
これが、「お客様を詳しく理解している人ほど営業成績があがる」理由であり、「コンサルティング力」の真髄と言えるでしょう。
2. お客様を理解するとは「お客様特有の情報」と「どのお客様にも共通な情報」があります
- お客様情報は二種類に分けて考える
- 「特有」と「共通」を区別する理由
- 情報の整理がチーム力向上に繋がる
さて、「お客様を深く理解する」と言っても、具体的に何をどうすれば良いのでしょうか?
先日、旧知の先輩と話していたときに、目からウロコのアドバイスをもらいました。「お客様を理解するにはね、まずはお客様の情報を『因数分解』するんだ」と。
因数分解、ですか?と聞き返すと、「そう、お客様に関する情報は、大きく分けて『そのお客様特有の情報』と、『どのお客様にも共通な情報』の二つに分けられるんだよ」と教えてくれました。
私たちついつい、お客様との日々のやり取りで得る「あの会社のA部長は〇〇が好きだ」「会社の受付の雰囲気が柔らかい」といった、まさに「お客様特有」の情報ばかりに目が行きがちです。
もちろん、これらの情報も関係構築には大切です。でも、それだけではビジネス全体の課題や構造を捉えることは難しい。そこで重要になるのが、「どのお客様にも共通な情報」という視点なんです。
この二種類を意識的に区別し、整理することで、お客様理解が体系化されます。これは、チームでお客様情報を共有したり、新人メンバーを教育したりする上でも非常に役立ちます。
メンバーそれぞれがバラバラの基準で「お客様を知っている」と言うのではなく、「特有の情報はこれ、共通の情報はこれで整理しよう」という共通言語を持つことで、チーム全体の「洞察力」の底上げに繋がるはずです。
3. 「お客様特有の情報」とは「風土文化」「組織構成」そして「課題発生の事情状況」です
- お客様の個性を見つける視点
- 「なぜ」その課題が生まれたのか
- 現場の声を聴く「聴くチカラ」がカギ
では、「お客様特有の情報」とは具体的にどのようなものでしょうか。これは、まさにそのお客様だけの個性や背景に関わる情報です。
先輩が言うには、「風土文化」「組織構成」、そして今見えている「課題発生の事情状況」などがこれにあたるとのこと。
例えば「風土文化」なら、会社の歴史や設立の経緯、創業者の考えが今も根付いているか、社員同士の雰囲気はどうか、といったことです。何十年も地域に根ざした老舗企業と、最近できたばかりのベンチャー企業では、同じ業界でも全く文化が異なりますよね。
次に「組織構成」。これは誰が意思決定権を持っているのか、影響力のあるキーパーソンは誰か、各部署の関係性はどうなっているかといった、会社の「人」に関する構造です。
提案を通すためには、この組織のパワーバランスやコミュニケーションラインを理解することが不可欠です。
そして最も重要なのが「課題発生の事情状況」です。お客様が今「〇〇に困っているんだ」とお話ししてくれたその課題が、「なぜ」「いつから」「どのような経緯で」発生しているのか、そして「誰が」「どのように」困っているのか、その背景にあるストーリーを深く掘り下げて理解すること。
これは、お客様の言葉の裏側にある「真の課題」を見つけ出すための「聴くチカラ」が試される部分です。
表面的なニーズだけでなく、そのお客様固有の事情が生み出した具体的な困りごとや感情に寄り添うことで、他社にはできない、本当に響く提案が生まれるのです。
4. 「どのお客様にも共通な情報」とは「お客様の所属する業界情報」「財務会計などの法定情報」です
- どんなお客様にも使える分析ツール
- 業界知識で共通の課題が見える
- 財務会計で「価値」を数値化する
次に、「どのお客様にも共通な情報」について掘り下げてみましょう。
これは、特定のお客様だけでなく、広く多くの企業に当てはまる普遍的な情報のこと。先輩は特に「お客様の所属する業界情報」と「財務会計などの法定情報」の二つを挙げていました。
まず「業界情報」。お客様がどんな業界にいて、今その業界全体がどんな状況なのか、どんなトレンドがあり、どんな課題に直面しているのかを知ることは、すべてのお客様に共通する大きな視点を提供してくれます。
例えば、人手不足が深刻な業界なら、私たちのソリューションで業務効率化や省力化がどう貢献できるか、共通の課題を切り口にお話しできますよね。
そして「財務会計などの法定情報」。
これが、先輩が特に力説していた「因数分解」の本丸でした。会社の決算書や財務諸表は、法律で定められたルールに基づいて作成されており、どの会社も同じ基準で情報が開示されています。
先輩曰く、「例えば人件費って項目があるだろ? あれはシンプルに考えれば『時間単価 × 稼働時間』に因数分解できるんだ。お前の商材は、この『時間単価』を改善できるのか、それとも『稼働時間』を短縮できるのか?
うちの商材(通信・クラウド)なら、移動時間の削減(稼働時間減)とか、情報共有の効率化(稼働時間減)、あるいはリモートワークで通勤費用やオフィス維持費(一般管理費)を減らす、とかに貢献できる可能性があるだろ?
財務会計の項目を因数分解して、自分たちのソリューションがそのどの部分にどんな効果を出せるかを具体的に算定できれば、お客様に『これだけコストが削減できます』とか『これだけ生産性が上がります』と論理的に、しかもお客様が普段見ている数字(財務諸表)に即して説明できる。
そうすれば、単純な価格競争じゃなく、提供する『価値』で勝負できるようになるんだよ」。話を聞いたとき、まさに雷に打たれたような衝撃でした。
「コンサルティング力」とは、お客様の言葉にならない課題を「聴く力」で見つけ出し、それを「業界情報」や「財務会計」といった共通言語で構造的に捉え、自社ソリューションによる改善効果を数値で示し、「付加価値」として提案する力なんだと。
これこそが、ライバルに差をつけ、「他社より高くても選ばれる」ための武器になるのです。
5. まとめ
- お客様理解は、表面的な情報だけでなく、ビジネス構造の深いレベルで行うことが成績向上に不可欠である。
- お客様に関する情報は、「特有の情報」と「共通の情報」に分けて整理することが、体系的な理解とチームでの共有に繋がる。
- 「業界情報」や「財務会計」といった「共通の情報」の視点を持つことで、お客様の潜在課題を構造的に捉え、提供価値を具体的な数値で示すことが可能になる。
さて、今回はお客様のビジネスを深く理解するための「因数分解」という考え方を見てきました。
チームの成績が伸び悩んでいる今だからこそ、これまで当たり前だと思っていた「お客様理解」の基準を見直す絶好の機会です。お客様特有の事情に寄り添う「聴くチカラ」と、業界や財務といった共通言語でビジネス構造を捉える「洞察力」を組み合わせることで、お客様にとって本当に価値のある提案が生み出され、それが結果としてあなたの、そしてチーム全体の「稼ぐ力」を再び高めるエンジンになるはずです。
この新しい視点を持って、ぜひあなたのお客様と向き合ってみてください。きっと、今まで見えなかった課題や提案のチャンスが見つかるはずです。
お客様のビジネスを深く理解し、真の課題を見抜く力は、これからのBtoBセールスには不可欠です。
特に生成AIが普及する時代において、AIを単なる情報収集ツールとしてだけでなく、複雑なビジネス課題の解決策を共に考える強力なパートナーとして活用するためには、お客様の状況を構造的に理解し、的確な問い(プロンプト)を設計するスキルが求められます。
《聴くチカラ研究所》が提供するリスキリングトレーニング《ANT-B1》は、非エンジニアでも生成AIをビジネス課題解決のために「操る」ための、プロンプトデザイン思考とスキルを体系的に身につけることを目的としています。
この記事で触れたようなお客様ビジネスの「因数分解」を、AIと共に効率的かつ高い精度で行うための実践的なノウハウが詰まっています。
ぜひ、貴社の「稼ぐ力」を最大化するために、ANT-B1を検討してみてください。