その論文を読んだ夜、私は拳を握った
2026年2月12日。Google DeepMindから発表された一本の論文『Intelligent AI Delegation』を読み終えた時、私の体に走ったのは、単なる驚きではありませんでした。
みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の4DL Technologies株式会社CCO荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。

今日の聴くチカラ研究所の記事は、Googleの最新論文は、私たちが現場の切実な相談から導き出し、半年前に実装したアーキテクチャ『4DL-AAS』と、驚くほど同じ「AI活用での課題感」とその「解決への方向性」を描いていた。
という、とてもとてもエラそうな話かもしれません。
もちろん間違っても、天下のGoogleより我々が優れている(ドヤっ)という話ではありません。誤解されないよう先にエクスキューズさせていただきます。

出典:
Tomašev, N., et al. (2026). Intelligent AI Delegation. arXiv preprint arXiv:2602.11865.
https://arxiv.org/abs/2602.11865
それは、なんともいえない「安堵感」でした。
生成AIを使えば必ずお客様の課題解決できるんだという強い想いだけを頼りに進んでいた経営が、暗中模索の雲の切れ間から見えたGoogleが教えてくれた北極星の位置で「自分たちの進路が間違っていなかった」と確信しました。
そして安堵のあとに、心の奥で自分たちの考えている事や、お客様に提案していることが「よし、これで行ける」と静かに拳を握りました。
約3年半前の2022年11月、ChatGPT GPT-3.5が一般市場に登場して以来、私たち4DL Technologies株式会社は試行錯誤を毎日の様にしながらの状況で走り続けてきました。
「プロンプトエンジニアリングだ」「RAGだ」「エージェントだ」「学習モデルがアップデートした」「推論モデルがでてきた」──次々と現れるバズワードの波に揉まれながら、それでも私たちは日本のエンタープライズの現場で、泥臭く現場での「実用性」に耐えうるAI活用の設計を繰り返してきました。
その道のりは、決して平坦ではありませんでした。「技術的な着眼点として本当にこれでいいのか?」「お客様を置き去りに自己満足していないか?」という不安との戦いです。
この辺は共感をいただける同業の方も多いのではないでしょうか。
AIビジネスをやっている方は判ると思いますが、今までのITの世界と本質的に文脈が変わった状況で、何か正解なのか、それを教えてくれるAIソリューション屋さんとしての経験を積んだ先輩がいないのです。
しかし、「お客様現場の課題を何十回も突き詰めれば、世界最先端の理論と同じ場所にたどり着くことができるんだ」。
今回の記事は4DL Technologies株式会社が、Technology-orientedなスタートアップとしての安堵感と確信感と、答え合わせの記録としての記事としてお読みください。
目次
第1章:DeepMindが見せた地図「Intelligent Delegation」
まずは、Google DeepMindが提示した「地図」について触れましょう。
彼らは論文の中で、AIエージェントが高度化するこれからの社会において、最も重要なのは「タスクの処理能力」ではなく、「委任(Delegation)の設計」であると定義しました。
「丸投げ」はなぜ危険なのか
従来のAI活用は、いわば「単純な丸投げ(Simple Heuristics)」と論文では定義しています。
「これをやっておいて」とAIに投げ、AIが確率的に答えを返す。
しかし、業務が複雑になればなるほど、また付加価値をどう上げていくのかとうような企画系の業務ではこの方式は確実に破綻します。
DeepMindは論文で、AIに安全に仕事を任せるためには、以下の要素を構造的に定義しなければならないと説いています。
- Authority(権限): どこまでの操作を許可するか。
- Responsibility(責任): 誰が結果に責任を持つか。
- Boundaries(境界線): 越えてはならないライン(規律)はどこか。
これらが定義されていない「委任」は、単なる「無責任な放置」であり、AIの暴走や幻覚(ハルシネーション)による事故を招く。
これが、Googleが示した冷徹な現実であり、これからのAI活用の「要件定義書」ではないかと受け取りました。
第2章:現場の“使えない”を潰し続けた1年間
時計の針を少し戻しましょう。Googleがこの論文を発表する約1年前、2025年の初頭。
私たちの考え方やノウハウに興味を持ってくださったエンタープライズ企業様との打合せで、DX推進部門の皆様からこんな「本音」を何度も聞くことになりました。
彼らは決してAI導入に失敗したわけではありません。
むしろ、自信を持ってセキュアな生成AI基盤を導入し、現場への初期トレーニングもやり遂げていました。しかし、会議室の空気には「漠然とした不安」が漂っていたのです。
「ダッシュボードを見る限り利用率は上がっているが、想定していたほどの伸びがない」
「現場に直接ヒアリングすると『便利だよ』とは言ってくれる。しかし、『AIのおかげでこんな風に仕事が変わった!』という具体的な喜びやビジネスインパクトが全く見えてこない」
さらに、いち早くAIを使いこなし始めた感度の高い人材からは、より深刻な声が出始めていました。
「AIの出力がどうしても一般論にとどまってしまう。どうすれば自社の文脈(個社論)にフィットさせられるのか。そのノウハウが属人化していて、このまま組織に広げるのはまずいのではないか」
当時、ネットなどでは「プロンプトエンジニアリング」全盛期。
「プロンプトさえ上手く書けば魔法が起きる」と信じられていました。
しかし、現実は違いました。
私たちは、この「便利だけど、本質的な意味では使えていないな・・・」という壁に何度もぶつかっているお客様の現場をみてきました。
例えば、想像がつく話だと思いますが、多くの利用は「調べ物」にとどまり、いわばGoogle検索の延長線での生成AI利用で満足してしまっている状況です。
そこから一歩踏み込んで、AIに「自社のビジネスに直結する企画や提案」をさせようとすると、途端に大きな壁が立ちはだかります。
自由に考えさせすぎれば一般論で暴走し、逆にルールで縛りすぎれば当たり障りのない無能な回答しか返してこない。
このジレンマの中で、私たちはある決断をしました。
それは、AIの役割を「単なる作業支援(便利な道具)」から「人間の思考支援(共に考える部下や仲間)」へと再定義することです。
私たちが目指すのは、人間の代わりにタイピングをしてくれるAIではなく、人間の発想を広げ、ビジネスの価値を一緒に高めてくれる存在。
つまり、「便利な道具を作るのをやめて、“一緒に考える部下”を育てる方向に舵を切ろう」ということです。
人間社会でも、優秀な新人に仕事を任せる時、上司は「会社のビジョン、部署の方針やマニュアル(規律)」と「社会人としてのあり方や、プロフェッショナルとしての物事への視点視野の取り方、解釈の仕方(思考法)」を伝えるところから始まります。、
それと同じことを、AIのアーキテクチャとして実装する。
そうして2025年10月1日、世に送り出したのが『4DL-AAS(4DL AI Activate Suite)』です。ご興味があったら、以下のニュースリリースをダウンロードしてください。,メールアドレスなどの入力は不要ですので、お気軽にどうぞです。

Google論文の約半年前には、すでに「規律と創造の両立」を定義していました。
第3章:答え合わせ──Googleの「理想」と4DLの「実装」
では、DeepMindの「理論」と、我々の「実装」を重ね合わせてみました。驚くべきことに、そこには明確なシンクロニシティ(共時性)が存在します。
1. 「規律」の埋め込み
DeepMind (Theory): "Boundaries" & "Constraints"
AIが逸脱しないための境界線や制約条件を、タスク分解の前に定義すべきである。
4DL (Practice): Alignment Layer(第2層)
我々はAIのOSに「第2層」を設け、そこに企業の理念、ブランドトーン、NG事項を埋め込みました。これにより、社員が意識せずとも、AIは常に「組織の一員」として振る舞います。
2. 「思考」の再帰
DeepMind (Theory): "Adaptive Execution"
状況の変化や不確実性に対応するため、一直線の処理ではなく、適応的に計画を修正するプロセスが必要である。
4DL (Practice): Protocol Layer(第1層)
私たちは某理系国立大学のT教授が共有くださった「LCP(Lana’s Creative Protocol)」をベースに、エンタープライズ企業の実務を想定した《4DL-AAS》という階層構造のプロンプトの設計図の設計手法を開発しました。
ビジネスに求められる事業のベクトルやマニュアルなどに対応させるための規律性をどのように再現するのか。
そして、ビジネスにおける前提や制約を揺さぶるための創造性をAIでどのように実現するのか。
さらにユーザーに「再帰動作での深掘り質問」を返すことで、利用者の潜在的な言語化スキルを引き出す。
例えば「その前提で合っていますか?」とAIが自律的に思考を深める(再帰する)ことで、思考の質を担保したのです。
4DL独自の強み:日本のオフィスですぐに動かすために
Googleが描いたのは「未来のAI社会」の理想図ですが、我々が作ったのは「明日の朝、日本のオフィスで使える」仕組みです。理論をそのまま持ち込むのではなく、現場で確実に回すための「2つの工夫」を加えました。
- 1. 今ある環境でそのまま動く(大がかりなシステム改修は不要): 論文ではAI同士の複雑な契約や監視システムが想定されていますが、実際の企業でそんな巨大システムを急に組むのは現時点では色々な障壁が存在すると思います。
だからこそ、今会社で使っているCopilotやChatGPTといった「既存のAI環境」に、そのままポン付けできる「思考のOS」として設計しました。 - 2. 「ミスを防ぐ」だけでなく、「仕事の質を上げる」(問い返しの力): ルールでガチガチに縛って「安全だけどつまらないAI」を作るのが目的ではありません。AIの方から「本当にこのターゲットでいいですか?」「別の切り口もありますが?」と人間に問い返しをさせることで、担当者の思考を深め、出てくる企画や提案の「価値」そのものを引き上げます。
第4章:理論ではなく「実利」で語ろう
ビジネスにおいて重要なのは「理論の正しさ」ではなく「現場の利益」です。
4DL Technologies株式会社の《4DL-AAS》は、論文の中の存在ではなく、すでにエンタープライズ企業の現場で数字を上げることを実現するAIエージェントの実装を実現しています。
通信業界の代理店法人営業部門での事例を紹介しましょう。
導入前の課題
アカウントユーザーの分析から、ソリューション提案をするための業務課題の仮説を立案する。その仮説をどのようにお客様との商談の中で検証するのか。
こんなソリューション提案の戦略作戦を考える時にベテランでも一社あたりの準備時間が3時間以上かかっていました。
しかも内容は担当者のスキルに依存し、品質はバラバラ。
当然です、人間の持っている情報の量や質は千差万別で、色々なバイアスがかかります。
そして、営業現場ですから数字の評価は厳しく短時間で契約を獲得しなくてはいけません。ひとつのお客様の分析に半日もかけていられない。
その結果、お客様の業務課題をどう解決しようかというアプローチではなく、自社のソリューション商材が何処に売れそうかという物販視点が横行していたのです。
4DL-AAS設計でのAIエージェント導入後
「思考の委任設計」がなされたANTシリーズを導入した結果、準備時間は20〜30分へと劇的に短縮されました。
しかし、本当に見るべき数字はそこではありません。
空いた時間と、AIからの「問い返し」による気づきによって、月間の提案件数が3〜4件から5〜7件へと倍増したのです。
単なる「時短」ではありません。
AIに「作業」と「下準備」という権限を正しく委譲したことで、人間は「意思決定」と「顧客との対話」という、本来やるべき仕事に全力を注げるようになった。
これこそが、DeepMindが提唱し、我々が目指した「Intelligent Delegation(知的委任)」の果実ではないでしょうか。
おわりに:2026年、AIを「正しく任せる」時代へ
3年半前、ChatGPTという黒船が来航した時、私たちはただただ驚き、手探りでこの技術に触れました。
そして今、4DL Technologies株式会社の試行錯誤は結果論ですが良い方向に進んでいたことを実感し、自分たちがお客様現場で生み出した設計思想の正しさを確信に進んだかもしれません。
DeepMindの論文は、これからのAI活用の地図を示してくれました。
そして手前味噌ながら、4DL Technologiesには、その地図を歩くための「靴(4DL-AAS)」がすでにあるということだと思います。
AI活用は、個人の「プロンプト芸」を競うフェーズから、組織として「委任の設計」を行うフェーズへとシフトしましたのではないでしょうか?
もう、AIの暴走を恐れて禁止する必要も、浅い回答に失望する必要もありません。
必要なのは、AIを「ツール」から「部下」へと昇格させ、正しく権限と規律を与えることです。
そのための準備は、もう整っています。
私たち4DL Technologies株式会社は今、「企業現場でAIがちゃんと働く瞬間」を増やせる未来に、ワクワクしています。
GoogleのDeepMindが描く未来を、あなたの現場で私たちが一足先に実装支援ができるかもしれません。
▼ 現場発・DeepMind理論証明済みの「AIマネジメント」を習得する
Googleの論文で示された「Intelligent Delegation」の概念を、明日から使える研修プログラムとして体系化

関連情報・お問い合わせ
- 4DL Technologies株式会社 SDA部門とは
- 企業向けAI導入・定着支援プログラム「ANTシリーズ」
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- 生成AI、「How to use」から「How to think with」へ。2026年、実務へのAI定着を4DLは再設計します
記事執筆者
荒巻 順|Jun Aramaki
4DL Technologies株式会社 CCO(AI Solution Design 担当コンサルタント)

生成AIを単なる効率化ツールで終わらせず、AI時代のDX推進におけるCopilot活用や、ChatGPT・Geminiなどの生成プラットフォーム活用の鍵となる「思考支援の仕組み」の実装を通じ、ヒトとチームを高付加価値化へと転換・定着させる専門家。
どこかの組織に属さない独立独歩(Independent)の立場から、一貫して「現場」に立ち続けてきました。NTTドコモビジネスにて25年以上、BtoBセールス部門の研修体系・資格制度を統括. 延べ4万人超の現場に伴走し、「現場の事実が判断軸を育て、判断軸が現場を変える」実務を積み重ねてきた自負があります。
現在は、ITが推し進めてきた「アナログのデジタル化」の先にある、「デジタルのアナログ化(デジタルに血を通わせ、人間に馴染ませる)」という世界線を見据えています。
この考えに共鳴し、理解してくださるお客様との間にこそ「共通の旗」を立て、共に物語を紡いでいくことを大切にしています。
独自の3層アーキテクチャ 4DL-AAS(Protocol/Alignment/Prompt) を設計思想に、AIを“作業の高速化”から“判断軸の高速更新”へと転換。「リーダーを孤独にしない、メンバーを迷子にしない」という心情を胸に、チームがプロアクティブに動き出す「自走状態」を伴走支援しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 荒巻 順は、どのような課題を解決する専門家ですか?
「システムの理屈(デジタルの“角”)が現場のしなやかな営みと衝突し、活用が停滞している」という課題を解消します。独自の4DL-AASを用い、AIを効率化ツールではなく、チームの意思決定としなやかな行動を支える「思考支援のパートナー」として実装・定着させます。
Q2. 一般的なプロンプト研修やAIコンサルとは何が違うのですか?
単なる「操作」や「効率化」ではなく、チームの「判断軸」をAIに同期させる設計を行います。鉄工所の職人が図面を読み解くように、リーダーのビジョンを現場が動ける言葉(プロンプト)に翻訳し、データドリブンの先にある「文脈を大切にする経営」を具現化します。
Q3. 具体的にどのような実績や経験がありますか?
25年以上にわたり、国内最大級のBtoBセールス部門(延べ4万人超)の育成・資格制度をゼロから設計・運用してきました。この大規模なチームでの「現場実装の泥臭い経験」と、Independent(独立独歩)として磨いてきた、本質を捉える鋭い洞察力を活かし、インフラ企業や自治体等のAI内製化を支援しています。
Q4. 具体的にどのようなフェーズで相談すればよいですか?
「導入したが活用が属人化している」定着フェーズはもちろん、活用ルールが形骸化し「免責装置(言い訳)」になっている状態の打破も得意とします。既存の業務プロセスに潜むアナログな知恵を、いかにデジタル(AI)で増幅させるかというグランドデザインから参画可能です。
Q5. 相談することで、チームにはどのような変化が期待できますか?
「リーダーの孤独」と「メンバーの迷子」が解消されます。AIを介して判断と実行のサイクルが高速化(判断軸の高速更新)されることで、変化の激しい非線形な時代においても、現場が自らの意志でしなやかに動き続けられる「自走するチーム」へと進化します。
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