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10月 18, 2025
6 min read time

Copilotは定着した。でも、会議は変わらない──DX推進部門がぶつかる“その後の壁”

Copilotは定着した。でも、会議は変わらない

操作研修も完了、活用事例も出揃い、アクティブ率も伸びた──にもかかわらず、現場の議論は浅く、提案は旧態依然。AIスキルを届けただけでは変わらなかった“問い方”に、DX推進部門は今、静かに悩んでいる。

みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の4DL Technologies株式会社CCO荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。

makeAIworkforyou

 

全社へのCopilotライセンス展開が完了した。部門別の操作研修も一通り終え、社内チャットでは活用事例の共有が飛び交う。アクティブユーザー率のグラフは、右肩上がりで順調に推移している。

DX推進担当者として、あなたは経営層に「定着は順調に進んでいます」と報告できるだけの材料を手にしている。

しかし、現場の会議にオブザーバーとして参加した時、ふと気づく。

「何かが、変わっていない」

資料作成のスピードは上がったはずなのに、議論の中身は以前のままだ。アジェンダは滞りなく進むが、予定調和で終わり、新たな視点は生まれない。Copilotが生み出したはずの「時間」は、どこへ消えてしまったのか。

なぜ、AIという強力な武器を配ったにもかかわらず、企画や議論の中身が進化しないのか?

その答えは、極めてシンプルです。

ツールは変わったが、現場の“問い”が変わっていないという、ただ一つの事実にあります。

この記事では、DX推進担当者が直面する「定着のその後の壁」の正体と、それを乗り越えるための本質的なアプローチについて探ります。

 

1. DX推進担当者の、声にならない違和感

 

「うちの会社は、Copilotの活用、かなり進んでいる方ですよ」

あなたは、社外のセミナーや交流会で、そう胸を張って言いたいと思っている。しかし、心のどこかで、その言葉をためらわせる“何か”を感じているのではないでしょうか。

  • 会議資料は、Copilotが綺麗に整えてくれる。でも、会議そのものは浅いまま。
    要約された議事録、構造化された報告書。ドキュメントの体裁は整った。しかし、それを基にした議論から、核心を突くような意見や、事業を揺るがすような問いは生まれてこない。

  • 提案書の作成スピードは、格段に上がった。でも、企画が通らない状況は変わらない。
    市場調査のサマリーや競合分析のレポートは、Copilotを使えば数時間で完成する。しかし、そこから生まれる提案は、過去の焼き増しに過ぎず、役員会の厳しい追及を前に「検討不足」のレッテルを貼られてしまう。

利用率や作成時間といった「数値」では説明できない、“本質的には何も変わっていない感覚”。

この声にならない違和感こそが、ツールを導入し、定着フェーズを乗り越えた多くのDX推進担当者を、今まさに静かに追い詰めているのです。

 

2. なぜ「使えるようになったのに、変わらない」のか?

 

「スキルは届けたはずだ」
「実践的なプロンプト集も共有した」
「各部署から成功事例も集めて展開した」

あなたは、やるべきことは全てやったと感じているかもしれません。しかし、現場で起きているのは、次のような事態です。

現場の担当者は、マニュアル通りにCopilotへ指示を出し、望む通りの文章や要約を得ることはできます。しかし、その“次”に何をAIに聞けばいいのかが、わからないのです。

  • 上司から「この資料、もっと深掘りして」と差し戻された時、どうCopilotに問いかければいいのか?
  • 競合が出した新サービスの分析レポートを前に、自社の戦略にどう活かすべきか、どんな問いを立てればいいのか?

結局のところ、問い方が変わらなければ、AIから返ってくる答えの本質は変わりません。

どんなに優れたAIも、ユーザーが立てた「問い」の範囲を超えることはできないのです。

現場の“問いを立てる力”が変わらない限り、Copilotは永遠に「指示された作業をこなす便利屋」でしかなく、思考を拡張する「パートナー」にはなれないのです。

 

3. Copilot活用が、“深まらない”会社に共通する兆候

 

あなたの組織では、以下のような兆候は見られませんか? これらは、Copilotの活用が表層的で、思考の変革にまで至っていない危険なサインです。

① 会議が「正しさ」だけを追い求める
Copilotを使って集めたファクトやデータに基づき、「間違っていないこと」を確認するだけの会議になっていませんか。誰もがリスクを恐れ、不確実な未来に対する大胆な「問い」や「もし~だったら」という仮説を口にしなくなる。

② 誰も“仮説”を口にしない
「こんなことを言ったら、どう思われるだろうか」「根拠はなんだと詰められるかもしれない」。そんな萎縮した空気が、思考のジャンプを妨げます。AIは仮説の壁打ち相手として最適ですが、そもそも仮説を立てる文化がなければ、その力は宝の持ち腐れです。

③ プロンプト集に頼るあまり、自分の言葉でAIと話せない
共有された「魔法のプロンプト」をコピー&ペーストするだけで、自分の業務の文脈や課題意識を自分の言葉でAIに伝えようとしない。これでは、AIとの対話は深まらず、ありきたりの答えしか返ってきません。

④ 「Copilotの活用」という言葉が、目的化してしまう
「Copilot活用率100%を目指そう」「全会議でCopilotを使おう」といったスローガンが先行し、本来の目的である「より良い意思決定をする」「事業を成長させる」という視点が失われている。

これらの兆候の根底には、組織全体の“問いの構造”が空洞化しているという共通の問題が潜んでいます。

 

4. 本当に変えるべきは、「使い方」ではなく「問い方」だった

 

ここまで来れば、もうお分かりでしょう。DX推進部門が次に越えるべき壁は、ツールの「使い方」の先にあります。

Copilotの真の活用とは、AIの操作方法を覚えることではありません。日々の仕事の中に、意識的に「問いを立てる時間」や「思考の余白」を持ち込むことです。

これまで届けてきた「これを使ってください」というツールの提供から、「こういう問い方もある」「こんな対話もできる」という、思考のOSともいえる“問いのインストール”へと、あなたの役割を進化させる必要があります。

Copilotを「思考パートナー」に変える“問いの再設計”には、再現可能な3つのステップがあります。

  1. 創造性の設計: AIの持つポテンシャルを引き出すための「プロトコル」
  2. 規律性の設計: 何のために・どのような制約のもとにあるか「アライメント」
  3. 出力イメージの設計: 最終的に相手の求める形に生成する「プロンプト」

この「問いのOS」がインストールされると、現場では思考が変わる瞬間が生まれます。たとえば、ある営業企画担当者はこう語ります。

「これまでは提案書の“体裁”ばかり気にしていました。でも、Copilotに『この提案書は、顧客に何を“問いたい”資料なのか?』と逆に問われたとき、ハッとしたんです。

提案とは体裁を整える作業ではなく、顧客の課題を解くための“問い”そのものなのだと、初めて気づきました」

このような「問いの体感」こそが、AI活用を次のフェーズへと進めるのです。思考を伴わないコピー&ペーストの延長線上から、組織の文化を変える力へと。

 

5. まとめ──AIが変えるのは“ツールの使い方”ではなく“人の問い方”

 

DX推進部門の仕事は、ツールを導入し、定着させることで終わりではありませんでした。それは、壮大な変革の序章に過ぎなかったのです。

その先にある本当のミッションは、現場一人ひとりの問いの質を変えることで、組織全体の思考様式を進化させることにあります。

「Copilotが全社に入ったのに、結局何も変わらないじゃないか」

もしあなたが今、そんな無力感に苛まれているとしたら、それは失敗の証ではありません。

あなたの組織が、いよいよ本質的な変革に踏み出すべきだという“次のフェーズへのシグナル”なのです。

いま必要なのは、新たなマニュアルやプロンプト集ではありません。

現場のメンバーが、そしてあなた自身が、AIとの対話を通じて「思考が深まる感覚」や「質の高い問いが生まれる瞬間」を実際に経験できる「問いを体感する場」です。

そこから、あなたの会社の再起動は始まります。

あなた自身は、今日の会議で「問い」を立てましたか?

それとも、「出てきた答えをまとめただけ」になっていませんか?

「Copilotを使ってはいる。だけど、“問いを立てた感覚”が一度もなかった──」そんなあなたにこそ、思考が動く瞬間を体験してほしい。

あなた自身が、現場の「問いのOS」をアップデートさせる“再設計者”となるべき時が来ているのです。その“次の一手”を、私たちと一緒に踏み出しませんか。

──ANT-B0を体験したDX推進部門マネージャーの声

「この問い方なら、AIが“自分の違和感”を補強してくれる。報告書を“納得させる文書”に変えられるって初めて思えたんです」

Copilotの導入はゴールではなく、始まりにすぎません。真に業務変革へとつなげるには、「定着」──すなわちチームの思考の質と速度を変えるリスキリングが不可欠です。

私たち4DL Technologies株式会社では、Copilotの定着と本質的な業務変革を支援する3つのリスキリングプログラムをご用意しています。


🟣 ANT-B0:Copilotで「問いを立てる力」を育てる【入門編】

Copilotを“調べ物ツール”などの単純作業利用で終わらせず、思考をともに進める相棒として使いこなす第一歩を体感しませんか?

Copilotにどう問いかければ、欲しい情報が出てくるのか?そして、Copilotから問い返して暗黙知を深掘りしてくれる体験。

業務文脈に合わせた「問いのOS」をインストール。まずはこのB0から始めて、チーム内でのリスキリングを“スモールスタート”しませんか?


🟣 ANT-B1:複雑な業務を再現するプロンプト設計【実践編】

自社の業務にCopilotを本格活用するためのエンタープライズ企業として求めるプロンプトの設計力・再現力・構造化力を非エンジニア向けが学びます。

B0で体感した「思考支援ツールとしてのCopilot」をベースに、業務プロセスにAIを実装する力を養います


🟣 ANT-B2:AIエージェントを自社業務に組み込む【応用編】

Copilot Studioというノーコードツールを活用して、社内専用のAIエージェントを設計・導入を自走するチームにしませんか?

現場が、自分の仕事を、自分たちで設計・開発・修正の試行錯誤できる「業務をAI化する」自走できる状態を目指します。

 

📌まずは安価な体験ワークショップ”ANT-B0”から定着施策を上司と考えませんか?

 

「Copilotを“思考の相棒”に変える」という明確な効果をパイロットチームに体感してもらい上司に提案できる状態をつくりませんか?

場合によっては、あなたが稟議を上げる経営層に「AIによる思考支援の未来」を体感・実感してもらうという作戦はいかがでしょう?

そんな仕掛けにもANT-B0は最適です。

ANT-B0

 

記事執筆者:

 

荒巻 順|4DL Technologies株式会社 CCO(AIソリューションデザイン統括)

NTTドコモビジネスにて、i-modeが開始される以前から25年以上にわたりBtoBセールス部門の人材育成(研修・試験)の企画設計を責任者として担当。千葉市産業振興財団で12年間、創業支援研修を責任者として担当。

専門は、独自のプロンプト設計手法(ODGC/4DL_AAS)を用い、AIを「思考支援」ソリューションへと進化させる「生成AI導入・定着コンサルティング」です。

CCO

よくある質問(FAQ)

Q1. 荒巻 順は、どのような課題を解決する専門家ですか? 

「生成AIを導入したが、現場で活用されず成果が出ない」という課題の解決が専門です。独自のフレームワーク(4DL_AAS)を用い、AIを単なる効率化ツールではなく、組織の「思考支援パートナー」として定着させ、意思決定の質を高めるコンサルティングを行います。

Q2. 具体的には、どのような経験がありますか? 

NTTドコモビジネス様で25年以上にわたりBtoBセールス部門の研修・試験設計を、千葉市産業振興財団様で12年間、創業支援研修の企画運営を責任者として担当しました。この経験を基に、通信・鉄道・自治体など、様々な組織へのAI導入・定着支援を主にトレーニングという側面から行っています。 

Q3. 生成AIの導入・定着について相談すると、何が得られますか? 

貴社の業務プロセスにAIを組み込み、AI活用による「業務の高付加価値化」が現場で自走する状態を目指します。たんなるプロンプト研修では無く、主要なAIプラットフォームに対応した独自のプロンプト設計手法(4DL_AAS)を用いた実務的な組織的LLM動作設計から、定着・内製化までを一貫して支援することで、付加価値を生み出し続ける強い組織を構築します。