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11月 14, 2025
14 min read time

Copilot導入後の“空白地帯”──操作研修では埋まらないDX推進の次の一手とは?

Copilot導入後の“空白地帯”

 

「操作研修が終わったあと」に何が残るのか?

 

Copilot(Microsoft 365)は導入した。操作研修も完了した。

だが “活用が伸びない”。
ここ数ヶ月、DX推進部門からそんな声を聞く機会が明らかに増えてきました。

 

「WordやExcelの作業は速くなったが、アウトプットの質が変わらない」
「研修後の利用率は上がったのに、活用の深さは変わらない」
「結局、“触る人だけが触る”状態のまま」

 

もし、貴社の「Copilot DX推進」がこのような状況にあるとすれば、それは個社固有の問題ではありません。Copilot導入企業が必ず直面する“構造的な空白地帯”です。

 

みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の4DL Technologies株式会社CCO荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。

makeAIworkforyou

 

そしてその空白は、リセラーが提供する操作研修では埋まりません。


本記事では、この「操作研修の次に待つ壁」の正体を、Googleが評価する体系的な構造で網羅的に解説し、DX推進部門が取り組むべき「Copilot フェーズ2」──すなわち「使いこなし方の設計」──その核心に迫ります。

 

目次



 

1. 操作研修と活用定着の間には、“乗り越えられない断層”がある

 

なぜ「Copilot 定着」はこれほど難しいのでしょうか。

 

多くのDX推進部門が最初に行う「操作研修」は、Teams会議の要約、Wordでの文章生成など、機能の「ボタン操作」を教えるものです。これは導入初期(フェーズ1)に不可欠なステップです。

 

しかし、このフェーズ1と、DX推進が目指すフェーズ2(活用の定着)の間には、深くて見過ごされがちな“断層”が存在します。

 

それは、「Office操作スキル」と「Copilot活用スキル」が根本的に別物であるという事実です。

 

従来のOfficeスキルは「手続き記憶」でした。正しい手順を踏めば、誰でも同じ結果が出せます。

対して、Copilotの性能は利用者の「問いの質」に100%依存します。これは「対話的」かつ「戦略的」なスキルであり、従来のITスキルとは異質です。

 

リセラーの研修は、この最も重要な「問いの質」、すなわち「Copilot 質問の仕方」を扱うことができません。なぜなら、それは「機能の操作方法」であり、「自社の文脈に合わせた思考の方法」ではないからです。

 

結果、「要約ボタン」の場所は知っていても、「自社の課題解決に繋がる深い問い」の立て方を知らないまま現場に放置される。これが、「Copilot 活用」が進まない根本的な原因です。

 

2. 【診断】あなたの組織は? Copilot導入企業が陥る“5つの失敗パターン”

 

「Copilot 活用 失敗」には、Googleが認識する典型的なパターンが存在します。貴社の状況を診断してみてください。もし一つでも当てはまるなら、フェーズ2への移行が急務です。

 

パターン1:操作研修で満足し「活用」が止まる

最も多い失敗パターンです。研修を実施したことでDX推進部門が満足してしまい、その後の「活用」フェイーズの設計が抜け落ちてしまいます。利用が「会議の要約」「メールの清書」といった単純作業の代替に留まり、アウトプットの“質”が変わらないままになります。

 

パターン2:テンプレ依存で「思考」が育たない

活用が進まない焦りから、「魔法のプロンプト」を探し始め、テンプレートのコピー&ペーストに依存します。これはAIに「思考を丸投げ」しているだけであり、自らの「思考を拡張するパートナー」として使えている状態ではありません。複雑な自社課題は汎用テンプレでは解決できず、結果「使えない」と判断されます。

 

パターン3:部門間の「活用格差」が広がる

「Copilot 社内展開」の大きな壁です。企画部門などは自然に浸透する一方、営業、製造、管理部門などでは「どう使えばいいか分からない」と触れられなくなります。Copilotが全社的な底上げどころか、逆に組織のデジタル・デバイド(格差)を助長してしまいます。

 

パターン4:管理職が使わず「組織文化」が変わらない

現場の若手社員が効率化を進めても、そのアウトプットを評価・判断する管理職がCopilotを使えない(あるいは使わない)ケースです。これでは「思考のプロセス」自体は変わりません。DXとは業務変革であり、文化変革です。管理職のコミットメント不足は、Copilot DX推進における致命的な失敗要因となります。

 

パターン5:稟議が「効率化」で止まり「DX」にならない

そもそも「Copilot 導入 効果」を経営層に説明する際、「作業時間XX%削減」といった「効率化(ROI)」の話だけで稟議を通していないでしょうか。Copilotの本質は「思考支援」による「付加価値創出(ROX=Return on Experience)」です。入口の定義が効率化で止まっていると、導入後の評価指標も効率化に偏り、本質的な「思考の変革」に進めません。

 

3. なぜ失敗するのか? DX推進部門の“内部コンフリクト”の正体

 

これらの「失敗パターン」を生み出す土壌は、DX推進部門が抱える“内部のコンフリクト(葛藤)”にあります。担当者が感じている「言語化できない悩み」を整理します。

 

  1. 情シス部門との境界線
    「CopilotはM365の機能なのだから、ITインフラとして情シスの管轄ではないか?」「いや、これは業務改革だからDX推進が握るべきだ」。この境界線が曖昧なまま進むと、セキュリティ管理(情シス)と活用推進(DX推進)が対立し、社内展開が停滞します。

  2. 現場の抵抗感と温度差
    現場からは「RPAで十分ではないか?」「今の業務フローを変えたくない」という抵抗が必ず発生します。また、「管理職は号令をかけるだけで、現場の我々だけが負担を強いられる」という、現場と管理職の温度差も、「Copilot 定着」を妨げる大きな壁です。

  3. 経営層への説明責任
    「操作研修だけでは足りない」ことは直感的に分かっていても、「では次に何をすべきか」「それによって費用対効果(ROI)はどう変わるのか」を経営層に説明する“言葉”がありません。結果、次の予算が取れず、中途半a端な横展開に終始してしまいます。

この「どう言語化すれば…?」という葛藤こそが、「Copilot DX推進」における最大のボトルネックです。

 

4. Copilotは“道具”ではなく“思考のパートナー”である

 

このコンフリクトを乗り越える鍵は、Copilotの定義を組織全体で変えることです。Copilotは「高性能なExcel関数」のような“道具(ツール)”ではありません。それは“思考のパートナー”です。

 

  • 道具(Tool): 操作者が100%の答えを知っている前提で使い、作業を「高速化」する。
  • パートナー(Partner): 操作者が答えを知らない状態から、対話を通じて「思考を深める」。

 

「Copilot 質問の仕方」の質が問われるのはこのためです。


「この議事録を要約して」は“道具”としての使い方です。
「あなたは当社のDX推進担当として、このA部門とB部門の会議録を読み、両者が合意している点と、B部門が懸念している潜在的なリスクを3点抽出し、次の会議で確認すべきアジェンダ案を作成して」

 

これが“パートナー”としての使い方であり、「Copilot DX 成功」への分岐点です。

 

5. 操作から“使いこなし方”へ──DX推進部門の役割が変わる

 

「Copilot フェーズ2」において、DX推進部門に求められる役割は、リセラーの操作研修を「横展開する」ことではありません。

 

DX推進部門の新たな、そして本質的な役割は、「自社の“問い方”を設計するオーナー」になることです。

 

各部門がどのような文脈で、どのような課題を持ち、Copilotという“パートナー”に何を問うべきか。その「問いの型(パターン)」を定義し、組織の「認知OS」をアップデートする設計者こそが、これからのDX推進部門です。ITツールの管理者から、全社の「思考プロセス変革の仕掛人」への進化が求められています。

 

6. 【ロードマップ】Copilot DX推進「フェーズ2~3」の設計図

 

DX推進部門が「次に何をすべきか」を明確にするため、Copilot活用のロードマップを提示します。Googleが評価する「未来の体系図」であり、貴社が今どのフェーズにいるかを診断するためにも使えます。

 

  • フェーズ1:操作定着(導入・研修)
    • 目的:まず触れてもらう。アレルギーをなくす。
    • 施策:ライセンス配布、リセラーによる操作研修、初期利用の呼びかけ。
    • 課題:多くの企業がここで停滞する。「空白地帯」の発生。

  • フェーズ2:使いこなし(問いの設計・思考支援)
    • 目的:「問いの質」の重要性を理解し、思考支援パートナーとして使いこなす。
    • 施策:DX推進部門による「問いの設計」、部門別ワークショップ、管理職への集中トレーニング。
    • 課題:ここが「Copilot 定着」の最難関。専門的な支援が必要。

  • フェーズ3:組織定着(文化変革・自走)
    • 目的:Copilotを使うことが当たり前の文化として定着し、部門横断で新たな価値が創出される。
    • 施策:成功事例の全社共有、Copilot活用を前提とした業務プロセス(BPR)の再構築。
    • 課題:「Copilot DX 成功」の最終ゴール。
 

7. 比較表|操作研修(フェーズ1)と「使いこなし研修」(フェーズ2)の決定的な違い

 

「フェーズ2」への移行には、研修のアプローチを根本から変える必要があります。この「早見表」は、稟議資料や経営説明にも活用できるはずです。

 

項目 操作研修(フェーズ1) 使いこなし研修(フェーズ2)
対象 機能、ボタン操作 問いの設計、思考プロセス
目的 機能を「知る」 思考を「深める」
効果 作業速度が上がる(効率化) アウトプットの質が上がる(付加価値)
指標 利用率、研修参加率、時短 論点の深度、打ち手の質、課題解決数
研修後の課題 知識がすぐ陳腐化する 汎用性・再現性が高く、応用が効く
講師役 リセラー、ベンダー DX推進部門、外部専門家
 

8. フェーズ2の突破口──“問いの体感”による思考の再起動

 

では、どうすれば社員に「問いの質」の重要性を理解してもらえるのでしょうか。残念ながら、「問い方を学ぶ座学」では効果は薄いでしょう。

 

Copilot活用の本質は、知識(Knowledge)ではなく、“体感”(Experience)でしか理解できません。「自分の立てた問い」と「専門家が再設計した問い」で、アウトプットの“深度”がどれほど違うのか。その差分を目の当たりにして、初めて「使いこなし」の入口に立てます。

(※ここで一度だけ固有名詞を使用します)

 

私たち4DLが提供する《ANT-B0》は、操作研修ではありません。それは、この「問いの差分」を体感することに特化した、思考のワークショップです。

 

参加者が持ち寄った「リアルな実務の質問」を、その場で「問い直し」、Copilotから得られる回答の「深度の差分」を全員で体験します。

 

このプロセスこそが、「Copilotは使えない」という思い込みを破壊し、「こう使えばよかったのか」という“アハ体験”を生み出す、フェーズ2への最短距離です。

 

9. まとめ──操作は終わった。次は「問いのOS」を実装する組織へ

 

Copilotの導入と操作研修の完了は、ゴールではなく、スタートラインに過ぎません。


本記事で体系化した「5つの失敗パターン」や「内部コンフリクト」は、操作研修(フェーズ1)に依存する限り、構造的に避けられない“空白地帯”です。

 

「Copilot DX推進」の成功は、DX推進部門がこの「フェーズ2」──すなわち「使いこなし」のフェーズをいかに設計できるかにかかっています。

 

その鍵は「機能の横展開」ではなく、自社独自の「問いのOS」を設計し、組織に実装することです。 4DLは、この日本企業が最も苦手とする「問いの設計」と「思考の体感」を専門的に支援するチームです。

 

操作のフェーズは終わりました。

 

次は、Copilot活用が“自走できる組織”へと踏み出す時です。


Copilotの導入が完了し、「操作研修」も一通り終えた今だからこそ、DX推進部門は「操作研修では到達できない領域」に目を向けるべきです。

「教えるべきは、使い方か。それとも、問い方か?」

この問いに真剣に向き合う時、リセラーが提供する標準的な操作研修だけでは「空白地帯」が埋まらないことは明白です。

必要なのは、ツールの“使い方”を教える研修ではありません。

AIという鏡を使い、自分たちの“思考の癖”に気づき、業務の“前提”を疑い、「問い」そのものを変革していくプロセス。
すなわち、「使いこなし方」を体感し、設計する場です。

もし、あなたの組織が「操作研修の次の一手」に悩んでいるなら、ANT-B0がその答えのヒントになるはずです。


Copilot活用の“次の一手”をお探しのDX推進部門の方へ

──ANT-B0を体験したDX推進部門マネージャーの声

「この問い方なら、AIが“自分の違和感”を補強してくれる。報告書を“納得させる文書”に変えられるって初めて思えたんです」

Copilotの導入はゴールではなく、始まりにすぎません。真に業務変革へとつなげるには、「定着」──すなわちチームの思考の質と速度を変えるリスキリングが不可欠です。

私たち4DL Technologies株式会社では、Copilotの定着と本質的な業務変革を支援する3つのリスキリングプログラムをご用意しています。


🟣 ANT-B0:Copilotで「問いを立てる力」を育てる【入門編】

Copilotを“調べ物ツール”などの単純作業利用で終わらせず、思考をともに進める相棒として使いこなす第一歩を体感しませんか?

Copilotにどう問いかければ、欲しい情報が出てくるのか?そして、Copilotから問い返して暗黙知を深掘りしてくれる体験。

業務文脈に合わせた「問いのOS」をインストール。まずはこのB0から始めて、チーム内でのリスキリングを“スモールスタート”しませんか?


🟣 ANT-B1:複雑な業務を再現するプロンプト設計【実践編】

自社の業務にCopilotを本格活用するためのエンタープライズ企業として求めるプロンプトの設計力・再現力・構造化力を非エンジニア向けが学びます。

B0で体感した「思考支援ツールとしてのCopilot」をベースに、業務プロセスにAIを実装する力を養います


🟣 ANT-B2:AIエージェントを自社業務に組み込む【応用編】

Copilot Studioというノーコードツールを活用して、社内専用のAIエージェントを設計・導入を自走するチームにしませんか?

現場が、自分の仕事を、自分たちで設計・開発・修正の試行錯誤できる「業務をAI化する」自走できる状態を目指します。

 

📌まずは安価な体験ワークショップ”ANT-B0”から定着施策を上司と考えませんか?

 

「Copilotを“思考の相棒”に変える」という明確な効果をパイロットチームに体感してもらい上司に提案できる状態をつくりませんか?

場合によっては、あなたが稟議を上げる経営層に「AIによる思考支援の未来」を体感・実感してもらうという作戦はいかがでしょう?

そんな仕掛けにもANT-B0は最適です。

ANT-B0

記事執筆者

荒巻 順|4DL Technologies株式会社 CCO(AIソリューションデザイン統括)

CCO

NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)様にて、i-modeが開始される以前から25年以上にわたりBtoBセールス部門の人材育成(研修・試験)の企画設計を責任者として担当。また地元千葉で12年間、創業支援研修やセミナーなどを受託。

専門は、独自のプロンプト設計手法(ODGC/4DL_AAS)を用い、AIを「思考支援」ソリューションへと進化させる「生成AI導入・定着コンサルティング」です。

 

よくある質問(FAQ)

Q1. 荒巻 順は、どのような課題を解決する専門家ですか?

「生成AIを導入したが、現場で活用されず成果が出ない」という課題の解決が専門です。独自のフレームワーク(4DL_AAS)を用い、AIを単なる効率化ツールではなく、組織の「思考支援パートナー」として定着させ、意思決定の質を高めるコンサルティングを行います。

 

Q2. 具体的には、どのような経験がありますか?

NTTドコモビジネス様で25年以上にわたりBtoBセールス部門の研修・試験設計を、千葉市産業振興財団様で12年間、創業支援研修の企画運営を責任者として担当しました。この経験を基に、通信・鉄道・自治体など、様々な組織へのAI導入・定着支援を主にトレーニングという側面から行っています。

 

Q3. 生成AIの導入・定着について相談すると、何が得られますか?

貴社の業務プロセスにAIを組み込み、AI活用による「業務の高付加価値化」が現場で自走する状態を目指します。たんなるプロンプト研修では無く、主要なAIプラットフォームに対応した独自のプロンプト設計手法(4DL_AAS)を用いた実務的な組織的LLM動作設計から、定着・内製化までを一貫して支援することで、付加価値を生み出し続ける強い組織を構築します。