プロローグ:また、この言葉だ…
「今回は見送らせてください」
受話器を置いた僕の手には、じっとりと汗がにじんでいた。まただ。顧客の要望を完璧にヒアリングし、仕様も価格も納期も、すべて要望通りに盛り込んだ提案書だったはずだ。手応えだって、悪くなかったのに。
僕は、大手通信キャリアの代理店で法人営業をしている。仕事には、真面目に取り組んできたつもりだ。顧客の言うことには、誰よりも懸命に応えてきた。でも、ここ最近、ずっと壁にぶつかっている。
お客様との関係は悪くない。雑談だって弾む。
「君は本当に真面目だね」と褒めてもらえることもある。
でも、どこか物足りない。そうだ、僕はいつだって「イイ奴」どまりで、本当の意味で「頼れるパートナー」にはなれていないんじゃないか…?
このモヤモヤの正体は一体、何なんだろう。
みなさん こんにちは《聴くチカラ研究所》の4DL Technologies株式会社のCCO荒巻順です。ブログへのご訪問、ありがとうございます。
今回の記事は、とある法人営業代理店へのANC導入支援の中でのアドバイスを元に書いた記事です。
お客様やニーズ、案件の様子は全く支援事実とは異なりますが、支援中にお伝えした内容の肝になる部分「問いの構造」を記事にしています。
目次
- 第1章:「What」だけの御用聞きになっていた僕
- 第2章:営業の景色を変えた「問いの構造」
- 第3章:「Why」を問う恐怖と、その先にある信頼
- 第4章:思考OSのアップデートで、誰でも再現できる
- エピローグ:顧客の「変化」に貢献するということ
第1章:「What」だけの御用聞きになっていた僕
きっかけは、ある商談だった。
お客様がこう言ったんだ。
「社員のスキルアップのために、eラーニング教材を探しているんです」
きた!と思った。僕はすぐさま、取り扱いのあるLMSソリューションのカタログをタブレットでお見せし、価格、機能、納期をまとめて完璧な提案書を作成した。これ以上ない提案だと、自分でも思っていた。
しかし、結果は冒頭の通り、「見送り」だった。
後日、風の噂で、競合の会社が「育成体系から見直す」という、まったく思いもよらなかった切り口で契約を勝ち取ったと聞いた。
なぜだ…? 顧客は「eラーニング教材が欲しい」と言ったじゃないか。
その話を荒巻さんにその他意見を打ち明けた時、核心を突く一言が返ってきた。
「うーん、それはお客様の『What=欲しいもの』に応えただけってことです。よく言う「ただの御用聞き」ってやつで、それこそあなたの目指す所ではないですよね?
なぜ(Why)、お客様はeラーニングが必要だと思ったんでしょう?
eラーニングを導入すること(How)が、本当にお客様にとっての課題解決であり、あなたのお役立ちだったのか振り返ってみましょうか?」
第2章:営業の景色を変えた「問いの構造」
荒巻さんが教えてくれたのは、僕の「問いの立て方」を根底から変える、シンプルな「問いの構造」だった。
- What:何が欲しいのか?(顧客が口にする、顕在的なニーズ)
- Why:なぜそれが必要なのか?(ニーズが生まれた背景、本当の課題)
- How:では、どうするのが理想か?(課題を解決し、理想を叶える打ち手)
僕は今まで、「What」に即応することばかり考えていた。とにかく契約を早く獲得したいが為の脊髄反射型の提案だ。
でも、お客様が本当に解決したい課題は、その奥にある「Why」に隠されている。
もし、あの商談をこの三段構造で捉え直したら…?
僕:「eラーニング教材ですね。差し支えなければ、どのような背景でご検討されているのか、少し伺ってもよろしいですか?」
(→ Whyの問いかけ)
顧客:「最近、若手の離職が増えてきてね…。でも部長たちは“育成は大事だ”って言うだけで、本気度が感じられないんだ。まずは手軽に始められるeラーニングで形だけでも作らないと、と思ってね」
…そうか。お客様の本当の課題は「教材の導入」ではなく、「育成が形骸化している組織風土」だったんだ。だとしたら、僕が本当にすべきだった提案は、LMSの性能やコンテンツのバラエティをを並べることじゃない。
僕:「その状況でしたら、まず部長クラスの方々を巻き込んで、“どんな会社にしたいか”を考えるワークショップからご一緒しませんか?そこで固まった方針に基づいて、最適な育成プラン(eラーニングを含む)を設計するのが理想的(How)だと思います」
これだ。これこそが、「パートナー」としての提案だ。もしかしたら、今目の前の契約には繋がらないかもしれない。でも、ちょっと踏み込むだけでアップセルやクロスセルに繋がる可能性も出てくる。
それが本当のWin-Winの関係って奴だったんだ。
第3章:「Why」を問う恐怖と、その先にある信頼
頭では分かっても、「Why」を問うのは、正直怖かった。
「そこまで踏み込んでいいのか?」
「知ったような口を利くな、と怒られないか?」
“マインドブロック”があったんだ。でも、勇気を出して、荒巻さんに言われたことを別の商談で試してみた。
「もし差し支えなければ、今回そのツールを重視されている“きっかけ”について、もう少しお伺いしてもよろしいですか?」
すると、お客様は一瞬驚いた顔をして、こう言った。
「ああ、いいよ。実はね…」
お客様は、これまで誰にも話していなかったであろう、社内の課題や自身の悩みを打ち明けてくれた。
僕が「モノ売り」ではなく、「本気で理解しようとする人間」だと感じてくれた瞬間だったのかもしれないと感じた。
「Why」を問うことは、相手を尋問することじゃない。「あなたの成功に本気で貢献したい」という意思表示なんだ。
第4章:思考OSのアップデートで、誰でも再現できる
この経験は、まぐれやセンスじゃない。
荒巻さんは、この“問いの技術”が構造化された思考OS「OSSI(Operating System of Strategic Inquiry)」に基づいていると教えてくれた。
OSSIは、問いを「Objective(目的)→Structure(構造)→Split(分解)→Interaction(対話)」の順で設計する思考のフレームワークだ。
このOSを自分にインストールすれば、僕のような凡庸な営業でも、優れた「問いの立て方」が誰でも再現可能になる。属人的なスキルだった営業力が、“技術”に変わるんだ。
OSSIは、パワポ資料でもクロージング話法でもない。
ビジネスという“思考行為そのもの”を支えるOSだ。
商品や業界が変わっても、この「問いの構造」は変わらない。だからこそ、個人のスキルに依存しない“再現性のあるビジネスの武器”になる。
エピローグ:顧客の「変化」に貢献するということ
「顧客の言う通りに応える」のは、スタート地点に過ぎない。
「そのニーズは、なぜ生まれたのか?」と問い、共に考える。
その対話の先にこそ、営業という仕事の本当の価値がある。
もし、かつての僕のように、真面目にやっているのに成果が出ず、モヤモヤを抱えているなら。
まずはあなたの思考OSをアップデートすることから始めてみませんか?
「問いの構造」を持っている人間は、会議でも商談でも“浮き彫り”になる。問いの立て方ひとつで、“考えられる人”として評価されるようになるからだ。
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この記事の主人公は、特別な誰かではありません。
営業、企画、マネジメント…どんな職種であれ、AIの時代にこそ「問いの質」があなたの価値を決めます。
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